本日記者会見で公開された海渡雄一弁護士のメッセージです。
筆者は全く共感しますので、ご紹介いたします。
選挙に行きましょう!
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2014年12月1日
秘密保護法成立を強行した安倍内閣を許さない
海渡 雄一(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)
12月10日に迫る法の施行
安倍政権が市民の大きな反対の声を無視して秘密保護法を強行採決した屈辱の12月6日からまもなく一周年がめぐってこようとしている。政府は、よりによって総選挙中のしかも「世界人権デー」の12月10日に「21世紀最悪」とも評されるこの悪法を施行しようとしている。
秘密保護法の下では、なにが秘密にされるか分からない。ちゃんと秘密が指定されていることを確認する手続きがない。まともな第3者機関もない。そして何よりも「政府に不都合なことを秘密にしてはいけない」という当然のことがこの法律の中には書かれていないのだ。そして秘密を漏えいした公務員だけでなく、これを取得し、あるいはしようとしたジャーナリスト・市民にも最高懲役10年の重刑が予定されている。
戦争は政府のウソからはじまる
内外の現代史をひもとけば、隣国への敵意を煽る誤った情報によって戦争が始められた事例には事欠かない。1931年9月18日、日本の所有する南満州鉄道の線路が爆破された柳条湖(りゅうじょうこ)事件が、関東軍高級参謀板垣征四郎大佐と関東軍作戦主任参謀石原莞爾中佐らが仕組んだ謀略事件であったことは、今では誰もが知ることのできる客観的事実である。しかし、事件当時、大阪朝日新聞は、高原操編集局長の下で、柳条湖事件について「この戦争はおかしいのではないか、謀略的な匂い、侵略的な匂いがする」と報道していたという。しかし、在郷軍人会などが組織した激しい不買運動を受け、10月12日の役員会議で高原編集局長は次のように述べたことが憲兵調書に記録されている。「今後の方針として、軍備の縮小を強調するのは従来のごとくなるも、国家重大の時に際し、日本国民として軍部を支持し、国論の統一を図るは当然のことにして、現在の軍部及び軍事行動に絶対批判を下さず、極力これを支持すべきこと」(半藤一利・保坂正康『そして、メディアは日本を戦争に導いた』2014 東洋経済新報社 51-52ページ)
秘密保護法は集団的自衛権の行使容認、憲法改悪と一体となった、戦争をはじめるための政策の一環なのである。
秘密保護法は民主主義の中枢をむしばむガン
安倍首相は、秘密保護法は普通の市民生活には無関係だと述べた。本当に無関係だろうか。政府が自らに都合の悪い重要な情報が秘密にできるなら、原発事故が起きても、正確な情報は市民に提供されないまま、無用な被曝を強いられるだろう。隣国への敵意を煽る謀略に乗ぜられ、誤った戦争にも賛成してしまうだろう。
安倍首相の述べる「普通の市民生活」とは、主権者として知る権利を放棄し、真実を暴いていくようなジャーナリズムと市民の活動を断念するところに成立するものだ。
施行の時期が近づくにつれ、市民の間には基地や原発の監視活動を今までどおり継続していて大丈夫かという危機感が高まっている。適性評価制度の対象とされる公務員や情報提供を求められる医師の間にも懸念が深まっている。この法律が成立したことにより、政府の指定する特定秘密に触れる可能性のある活動には一定の危険性が生じている。政府情報に迫るジャーナリスト、原発や基地の監視を続けている市民活動家、武力紛争地域で人道支援活動に取り組む国際協力NGOなどには、これまで政府から得られた情報が得られなくなるなどのさまざまな影響が生じてくる可能性がある。秘密保護法は共謀や独立教唆、煽動まで取り締まっているので、特定秘密に触れるところまで行かなくても、嫌疑をかけられる危険がある。しかし、我々が萎縮して、これまで遂行できていた市民活動を断念してしまうようなことは政府側の思うつぼだ。
秘密保護法廃止運動の到達点
法律が制定されたあとも、我々はこの一年間粘り強く廃止運動を全国で続けてきた。署名活動に取り組み、国際シンポジウムを開催し、運用基準などに関する政府のパブコメにも多くの意見を提出した。2014年7月、国連自由権規約委員会は、規約19条にもとづいて、秘密指定には厳格な定義が必要であること、制約が必要最小限度のものでなければならないこと、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰から除外されるべきことを求めた。忘れっぽいとされる日本の社会の中で、このような運動は画期的なものである。我々の施行反対の声に応えて、衆院解散前の国会に、共産党、社民党などによる秘密保護法廃止法案、民主党などによる施行延期法案が提出された。自民党の中からも秘密保護法に対する懸念の声がようやく高まっている。
安倍政権の暴挙を心に刻む衆院選の投票を呼びかける
衆議院の解散により、時ならぬ総選挙が闘われている。我々は、安倍政権の一年前の暴挙をしっかりと心に刻み、この選挙で、秘密保護法の制定に手を貸した安倍政権与党とその国会議員に厳しい歴史的審判を下さなければならない。我々は、解散総選挙により国会の「監視機関」すら機能しない中で強行される12月10日の施行を許さない。そして、我々は、この法律の威嚇に萎縮することなく、秘密保護法の廃止を求めて闘い続ける。
筆者は全く共感しますので、ご紹介いたします。
選挙に行きましょう!
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2014年12月1日
秘密保護法成立を強行した安倍内閣を許さない
海渡 雄一(「秘密保護法」廃止へ!実行委員会)
12月10日に迫る法の施行
安倍政権が市民の大きな反対の声を無視して秘密保護法を強行採決した屈辱の12月6日からまもなく一周年がめぐってこようとしている。政府は、よりによって総選挙中のしかも「世界人権デー」の12月10日に「21世紀最悪」とも評されるこの悪法を施行しようとしている。
秘密保護法の下では、なにが秘密にされるか分からない。ちゃんと秘密が指定されていることを確認する手続きがない。まともな第3者機関もない。そして何よりも「政府に不都合なことを秘密にしてはいけない」という当然のことがこの法律の中には書かれていないのだ。そして秘密を漏えいした公務員だけでなく、これを取得し、あるいはしようとしたジャーナリスト・市民にも最高懲役10年の重刑が予定されている。
戦争は政府のウソからはじまる
内外の現代史をひもとけば、隣国への敵意を煽る誤った情報によって戦争が始められた事例には事欠かない。1931年9月18日、日本の所有する南満州鉄道の線路が爆破された柳条湖(りゅうじょうこ)事件が、関東軍高級参謀板垣征四郎大佐と関東軍作戦主任参謀石原莞爾中佐らが仕組んだ謀略事件であったことは、今では誰もが知ることのできる客観的事実である。しかし、事件当時、大阪朝日新聞は、高原操編集局長の下で、柳条湖事件について「この戦争はおかしいのではないか、謀略的な匂い、侵略的な匂いがする」と報道していたという。しかし、在郷軍人会などが組織した激しい不買運動を受け、10月12日の役員会議で高原編集局長は次のように述べたことが憲兵調書に記録されている。「今後の方針として、軍備の縮小を強調するのは従来のごとくなるも、国家重大の時に際し、日本国民として軍部を支持し、国論の統一を図るは当然のことにして、現在の軍部及び軍事行動に絶対批判を下さず、極力これを支持すべきこと」(半藤一利・保坂正康『そして、メディアは日本を戦争に導いた』2014 東洋経済新報社 51-52ページ)
秘密保護法は集団的自衛権の行使容認、憲法改悪と一体となった、戦争をはじめるための政策の一環なのである。
秘密保護法は民主主義の中枢をむしばむガン
安倍首相は、秘密保護法は普通の市民生活には無関係だと述べた。本当に無関係だろうか。政府が自らに都合の悪い重要な情報が秘密にできるなら、原発事故が起きても、正確な情報は市民に提供されないまま、無用な被曝を強いられるだろう。隣国への敵意を煽る謀略に乗ぜられ、誤った戦争にも賛成してしまうだろう。
安倍首相の述べる「普通の市民生活」とは、主権者として知る権利を放棄し、真実を暴いていくようなジャーナリズムと市民の活動を断念するところに成立するものだ。
施行の時期が近づくにつれ、市民の間には基地や原発の監視活動を今までどおり継続していて大丈夫かという危機感が高まっている。適性評価制度の対象とされる公務員や情報提供を求められる医師の間にも懸念が深まっている。この法律が成立したことにより、政府の指定する特定秘密に触れる可能性のある活動には一定の危険性が生じている。政府情報に迫るジャーナリスト、原発や基地の監視を続けている市民活動家、武力紛争地域で人道支援活動に取り組む国際協力NGOなどには、これまで政府から得られた情報が得られなくなるなどのさまざまな影響が生じてくる可能性がある。秘密保護法は共謀や独立教唆、煽動まで取り締まっているので、特定秘密に触れるところまで行かなくても、嫌疑をかけられる危険がある。しかし、我々が萎縮して、これまで遂行できていた市民活動を断念してしまうようなことは政府側の思うつぼだ。
秘密保護法廃止運動の到達点
法律が制定されたあとも、我々はこの一年間粘り強く廃止運動を全国で続けてきた。署名活動に取り組み、国際シンポジウムを開催し、運用基準などに関する政府のパブコメにも多くの意見を提出した。2014年7月、国連自由権規約委員会は、規約19条にもとづいて、秘密指定には厳格な定義が必要であること、制約が必要最小限度のものでなければならないこと、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰から除外されるべきことを求めた。忘れっぽいとされる日本の社会の中で、このような運動は画期的なものである。我々の施行反対の声に応えて、衆院解散前の国会に、共産党、社民党などによる秘密保護法廃止法案、民主党などによる施行延期法案が提出された。自民党の中からも秘密保護法に対する懸念の声がようやく高まっている。
安倍政権の暴挙を心に刻む衆院選の投票を呼びかける
衆議院の解散により、時ならぬ総選挙が闘われている。我々は、安倍政権の一年前の暴挙をしっかりと心に刻み、この選挙で、秘密保護法の制定に手を貸した安倍政権与党とその国会議員に厳しい歴史的審判を下さなければならない。我々は、解散総選挙により国会の「監視機関」すら機能しない中で強行される12月10日の施行を許さない。そして、我々は、この法律の威嚇に萎縮することなく、秘密保護法の廃止を求めて闘い続ける。