さて、バッチリと仕上がった117クーペ。本物のXEはほとんど見ることもなく、自己満足して乗ってたところ、いかに2,000のツインカムとは言え、フローリアンと基本設計が同じ古いシャシーでは、そう速くは走れません。
そして、フロントヘビーな上に路面追従性が悪いリヤのリーフリジッド。LSDを組み込んでラリー用もどきのスパイクタイヤを履かせても、雪道に弱いことに変わりはありませんでした。
次のクルマは、できれば四駆、それもクロカンタイプではなく、世界のラリー界を席巻していたアウディクワトロのようにスポーティーなタイプが良いかなと考え始めた頃、私の117クーペをどうしても譲ってほしいという方とお会いしました。
そんな時にデビューしたのが、5代目のファミリア。初めてFFとなった先代の鮮烈なイメージはなく、どちらかと言うと地味なイメージでしたが、念願のツインカムターボ4WDが追加されたのです。
カタログをもらい、当然のごとく最上級グレードのGT-Xに的を絞って交渉したら、どうにも予算不足。でも、GTで妥協したら後悔しそうだし…すると、FFならばレカロのシートが標準装備のグレードがある!
これまで乗ってきたクルマには、どれもお気に入りのパーツを組み込み、ノーマルとの違いを楽しんできましたが、レカロには手が出なかった。いや、高価なため手を出せなかったのです。
ツインカムターボでパワーは十分、4WDでなくともFFならば117より雪道に強いはず。パワーステアリングとパワーウインドウはないけれど仕方がない。
早い話が、レカロの魅力にやられてしまったのでした。
オプションとしてはエアコンを付けただけで、後でまたお好みのパーツを揃えることにしました。色は納車が最も早いと言われた白とガンメタのツートンにしたのですが、4WDのツートンとは異なる塗り分けで、やっぱりツインカムターボ4WDは別格だったのでしょう。
さて、このファミリア、標準では5.5J-14のスチールホイールに185/60-14だったタイヤを流行り出したばかりの50タイヤに替えてやりたくなりました。117の最後に使っていた195/50-15のヨコハマアスペックと初代ソアラの純正アルミホイールではオフセットが合わないので、ボディー色に合わせた白のアルミにしました。お金がなくてファルケンの(笑)。
当時、50タイヤやボディー同色のホイールを履かせている人はほとんどおらず、とても目立ちました。
50タイヤ時代の写真が見つからず、純正の14インチを安物のアルミに組んだもので勘弁してください。
しかし、このファミリアアンフィニ、パワーステアリングは未装備(MC後はビスカスLSDと共に標準装備)。たった10ミリのタイヤ幅の違いで極重ステとなってしまいました。
おまけにツインカムターボのトルクステアもかなりのもの。峠へ走りに行っても、それほど楽しくなかったです。
丸みを帯びた3ドアハッチバックでリヤの広さは十分。乗り心地は堅かったけれど、実用的なクルマではありました。
当時は105km/h辺りで作動する速度警報装置が装備されていたので、ブザー本体の配線を外したりメーター裏のスイッチを無効にしていました。
このファミリアのスピードメーター裏にはもう一つ小さな接点があり、それはメーターの針が180km/hを超えたところで接触する仕組みでした。
こちらもちょっと傾けて細工しましたが、初期のスピードリミッターはこんなに簡単なものだったのです。
もっとも、その効果を体感する速度域に達したことはありませんでしたがね。
このクルマのエンジンはいわゆる『当たり』だったのか、静かで濃密な回り方をしました。一方、燃費は芳しくなく、街中でリッター8〜9キロ、高速を使わない長距離のドライブでも13キロ程度で、117クーペと大差なかったのにはガッカリでした。
ステアリングはナルディのスポルトという珍しいデザインのものに替え、フロアマットはアコードで使っていたオレンジ/黒チェックのKAROシザルヘンプを流用。FF車に乗る時のために捨てずに取っておいたんです。オーディオはオレンジ色のメーター照明に合わせた1DINタイプにしたことしか覚えておらず、我ながら記憶の衰えに落胆しています。
ところで、アンフィニは専用チューンの足回りが売りだったのですが、何となく重心が高く感じられ、コーナーリングでリヤが持ち上がる感覚の挙動でした。
保舵力も大きくて、翌年のMCでパワーステアリングが標準となったのが羨ましくて仕方なかったです。
秋の雨の夜、走り慣れた峠へ走りに行った私は、工事のため仮設ルートに切り替わっていたのを見逃し、その入り口の急カーブ、おまけに舗装直後で油分が浮いている路面で大きくスピン。クルマは黄と黒の'トラ板'を何枚かなぎ倒して、低い崖っぷちに辛うじて止まりました。
休日だったのでお昼にも走りに行き、その時はいつものルートだったのに、と悔やんでも仕方ありません。
幸い、クルマは左のリヤフェンダー以外は大した損傷もなく、崖っぷちから引き出してもらったら自走が可能でした。
警察によると、ちょうどその日が夜間だけルートが切り替えになるタイミングだったとのこと。照明灯もなかったので、これじゃ確かに危ないねと言われましたが、数日後、現場を通りかかると、大きな看板と照明が設置されていました。
「土建屋からトラ板の請求が来る。高いぞ」とその経験のある走り屋から脅かされ、まだ25歳だった私はビビったものでしたが、保険屋からは現場管理の不備もあるから請求はないだろうと言われ、結果的にそのとおりとなりました。
ファミリアは足回りのアライメントに狂いがなく、車両保険による若干の板金塗装で復活したものの、重たいステアリングとシフトフィールはどうしても好きになれず。
先代はとても軽快なクルマだったのに、二代目のFFファミリアは妙にドイツ車を意識したのか、いつまで経っても堅さが取れない感じでしたね。
冬タイヤには、氷上トライアル用のヨコハマIT-14、165/70-14を行きつけのスタンドで勧められ、マカロニピンを標準の本数だけ打ち込んだものを使いましたが、これが全くダメ。よく考えりゃ、そりゃそうだ。氷上走行に特化したモノが雪上でまともに機能するはずない。常時、スパイクピンの上で爪先立った感じで、不安でした。
「4WDにすれば良かった」冬の間はそればかり考えていたように思います。
そして、姉妹車でデザインが割と好みだったフォードレーザーのツインカムターボ4WDの中古車を偶然見つけ、半分本気で商談してみたら、とんでもない現実を突き付けられたのです。
1年落ちの下取査定が新車価格の3割ちょっと。55万円でした。
これがいわゆる『マツダ地獄』なんだ、と激しく落胆したこと、忘れられません。
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