EOS-1D MarkⅢとEOS-1Ds MarkⅡ用の標準ズームとして適当なレンズを探していたのですが。
候補の1つとして考えていた、EF28-135mm F3.5-5.6 IS USM について、ちょっとレビューっぽい文章を。
写真では1Ds MarkⅡに装着しています。
【概要】
フィルム時代の末期に登場したIS搭載標準ズーム。
発売年次は古くて、1998年です。2012/3現在カタログに乗っているズームレンズの中では最も“ご長寿製品”の1つだと思います。
このレンズは日本よりもアメリカで人気があるレンズだと聞いたことがあります。日本ではデジタル時代に入ってAPS-Cサイズで扱いづらいから流行らなかったのかな? フルサイズデジタル用として考えるとこのズーム範囲は扱いやすいので、もっと注目されても良いレンズだと思うのですが。
ちなみにAPS-Hボディに装着すると換算36~175mmとなり、広角端が少々悩ましいところ。
【値段】
定価は¥78,000-らしいですが、価格コムの最安値は5万円を切っています。それ以外のお店だと6万円台が普通。
中古価格はだいたい2万円台が相場の模様。
私はネットオークションで並品を¥17,000-ほどで手に入れました。
【作り】
全体的な作りは、EFレンズ中堅グレードの典型的なもの。
28-105mmや24-85mmといった標準ズームに準じていて、質感もデザインもなかなか良いです。
ズームレンジが135mmまでということからか、標準ズームとしては大柄な部類です。
フードは花びら型のEW78BⅡです。内部に植毛処理されていて、良心的だと思います。私の場合は中古で買ったレンズ本体に付属していたものですが、もしかするとⅠ形も存在するのかな?
EOS-1D系のゴツいボディに負けない存在感。
重さは540g、決して軽いレンズじゃありませんが持ちやすいです。
ピントリングやズームリング、スイッチ類といった操作部の仕立ても良いです。
スイッチ類はこれだけ。
AF/MF切り替えがタテ方向なのに、IS ON/OFF切り替えがヨコ方向なのは、ご愛嬌?(笑)
ピントリングは細めです。中堅EFレンズの一般的な形なので特別にこのレンズがダメということではありませんが、もうちょっと太い方が使いやすいでしょうね。
ズーム操作による全長の変化は以下のような感じです。
28mm。
135mm。
そんなに伸びません。
ただし、ぶら下げて歩いていると自重でズームが伸びてしまいます。個体差もあるようですがちょっと格好悪い。
【描写】
ひとことでいって、とにかく標準的。
解像力もコントラストも必要にして十分。ひときわシャープに写るという事もありませんが、テレ端で描写が極端に甘くなるような事もないです。
周辺光量落ちは望遠端でやや目立つような気がします。広角端~70mm域までは1段絞ればだいたい改善しますが、100~135mm域は2段絞りたいかなぁという感じ。はっきり改善させるにはf10以上まで絞る必要があり、回折ボケとの折り合いが必要になるかもしれません。
残念なのは広角端の歪曲で、28mm端では結構大きめです。普通のスナップでも気になる場面がありそう。35mm辺りからはさほど目立ちません。
そうそう、余談ですが。
似たようなスペックで EF35-135mm F4-5.6 USM というレンズが存在しますが、まったく別物です。
以前に試用しましたが、EF28-135mm IS USM とは比較にならない、完全に旧世代のレンズでした。
【AFスピード】
中級EFレンズとしては並、速くはないです。
スナップなら十分以上ですが、動きモノを追うのは辛いかと。
撮り鉄な視点でいえば、サーボAFで列車を追いかける場合の食いつきはイマイチ。シチサンの走行写真なら良いのですが、曲線区間や見下ろし等で測距が刻々と変動するような場面は苦手です。
【手ブレ補正】
キャノンのImageStabilizer搭載レンズとしては初期のモデルで、カタログ規格値によれば補正効果は2段分。
実際に撮ってみると、手ブレ補正の効きはまあまあといったところ。
最近のISレンズと比較するとさすがに分が悪いです。たとえば EF28-300mmF3.5-5.6 IS のような驚異的な補正効果はありません。IS頼みで低速シャッターを多用したいというような使い方には不向きでしょう。
また、効き始めの動作が遅いような気がします。ジジーッという音がしてIS機構が動作しているのが分かるのですが、補正が効き始めるのがワンテンポ遅く、若干タイムラグを感じるのです。
したがって、このレンズでのISはあくまでアシスト機能と割り切る必要がありそうです...まあ、本来「手ブレ補正機能」なんてその程度のものと考えるべきだと思うんですけどねぇ(^_^;
【全体として】
描写はごく普通、ズーム範囲はフルサイズデジタルで常用するのに向いていて、旧式とはいえIS付き...ということで決して悪いレンズではないです。
APS-Hサイズ素子ボディ(=私の場合はEOS-1D MarkⅢ)で使う場合には広角端がもうひと声欲しいところですが、まるでダメという事はありません。
ただ 「いま新品で買うレンズか?」という視点で考えたら「No」だと思います。このレンズに6万円も払うのなら、もうちょっと頑張って EF24-105mm F4Lを買った方が良さそうです...ちなみにEF24-105mmというレンズ、私的にはテレ端が物足りないので検討対象外です、あと天邪鬼なんで普通の人とは違うのが使いたいという理由もあったりして(笑)。
ということで新品で買うのはどうかと思いますが、中古品ならば話が違って来ます。
不人気なせいか2万円程度で良品が手に入るので、それはそれで価値があります。
ISをオマケと割りきって、手ブレ補正のない普通の28-135mm標準ズームとして考えたら、けっこう魅力的な1本ではないでしょうか?
それから、APS-Cサイズ素子のボディとの組み合わせだと換算45~215mmなります。こうなるともはや「標準ズーム」とは呼び難いですが、むしろ標準域~中望遠~望遠をカバーしてくれるレンズとしてまた違った使い道がありそう。
たとえば撮り鉄用途には意外とぴったりハマるかも知れません。やや遅いAFが走行写真には不向きですが、置きピンで撮ればOKでしょう。
使い方によっては、面白いレンズだと思いますね。
...で、そんなことを言いつつも、実は私、この EF28-135mm F3.5-5.6 IS USM は既に手放してしまいました。
広角端28mmというのがAPS-H機だとどうしても使いづらかったのが最大の理由なんですが。
代わって、
シグマ 24-135mm F2.8-4.5 を購入しまして、既に主役交代しています。
追ってこちらも詳しくレビューしてみたいと思います。