私は32歳の誕生日に長男を出産しました。当然ですが2人の誕生日は同じで、息子の誕生は私にとって人生最高のバースデーギフトとなりました。そして、どう説明したらいいのかわかりませんが、その出産を機に私の成長が完全に止まってしまったように感じるのです。もちろん毎年誕生日が来て息子と一緒に祝っていますが、私の中で年を重ね成長している実感がなくなり、上昇志向のようなものがきれいさっぱりなくなってしまいました。
それから3年経って次男が生まれ、彼が3歳になって幼稚園通いが始まると、少し状況が変わってきました。子どもが自分たちの時間を持つようになるに連れ、自分自身の時間が戻ってきたのです。上昇志向がなくなった分、水平志向が強くなり、横へ横へと自分の興味の赴くままに視野が広がっていきました。2000年にビーズ・アクセサリー作りに出会い、1年後の2001年のNZ再訪で人生の後半の方向性が一瞬にして決まりました。アクセのお陰でもともと手作りするのが好きだったことを改めて自覚し、ガラス細工を手始めに、最近では念願だったタイルモザイクも始めました。それでも陶芸、組み紐、レース編み、ステンシルと、やってみたいことは目白押しです。
長男は私と同じ誕生日にこの世に生を受けて以降、母親の分までスクスクと竹のように成長しています。いつの間にか膝にも乗らなくなり(35キロもあるからムリですが)、今年から大人のカジュアル服を着せることにし、子ども服とは完全にサヨナラしました。
「2人で着よう!」
とニュージーランド行きの前には一緒にダウンジャケットを買いにも行きました。(今年の滞在は1月だったのにクライストチャーチでは9度という日がありました)
先日、夕食前にジョギングに行こうとすると、
「ボクも行きたい。」
とついて来ました。歩いて5分の近所の競馬場に1周1キロのジョギングトラックがあるので、2人で走り始めると200メートルもしないうちに、
「ママ、お腹痛くなりそう。」
と言って立ち止まってしまいました。子どもなので長い距離を走ることに慣れておらず、呼吸と足が合っていないのです。それが隣にいてよくわかったので、一応、足の動きに合わせて息を吸って吐いて・・・と教えてみたものの、
「ちょっと休む。」
というので、
「じゃ、先に行ってすぐ戻ってくるからここで待ってて。」
と言い残しその場を去りました。
1周走って同じ場所に戻ってみると姿が見えませんでした。
「あれ?走り始めたんだろうか?」
と思い、長男を探しながらもう1周走ってみましたが見つかりません。
「暗くなってきて1人で帰ったんだろう。」
と思いながらもしばらく待ってみましたが、同じジョガーが2周してくるほど経っても来なかったのでひとまず家へ戻りました。ところが彼は家にもいなかったのです!慌てて外に飛び出し、いくら陽の長い夏とはいえ、もうとっぷり暮れてしまった夜の中を競馬場に向かって駆け出しました。大きくなったといっても彼はまだ8歳・・・
その時、坂の下の方から白いTシャツが闇に浮かび上がるように誰かが上ってくるのが見えました。
「いた!」
と走り寄ると、ニコニコしながら軽く手を挙げ、
「やっぱり、ママ帰っちゃったんだ~」
と言うではありませんか?
「どうしたの。探してたのよ!」
と言うと、
「走ってたんだよ。ボクだってママのこと探したよ。」
「走ってた?」
「うん。3周走ったよ」
「!!!!」
息子は歩いたり走ったりしながら、私の姿を探しつつトラックを3周したんだそうです。計3キロ!中央に電光掲示板や植え込みがある上にこの闇。お互い見失ってしまったようです。息子の快挙に思わず抱きしめ、
「すごいじゃない!やったね!」
と興奮気味に言うと、本人は初めてそんな距離を走ったにもかかわらず至って淡々としたもので、
「水泳のウォーミングアップでプールを8往復させられる方がもっと大変だよ。」
と謙遜でもなくケロリ。
(※この頃から水中が好きだった長男)
子どもに対して、つい私の口をついて出てしまうのは、
「1人でできる?」
「大丈夫?」
という転ばぬ先の杖的なことばかり。親だから心配して当然ですが、本人の能力を信じていないことの表れでもあります。でも息子は成長しない私の分まで日々成長しており、昨日できなかったことが今日はできるという日進月歩の変化を遂げているのです。そう遠くないうちに息子の背中を見ながら走る日が来るのでしょう。
「ママ、大丈夫?ボク先に行ってるからね」
と言われながら・・・
=============
編集後記「マヨネーズ」
バリで何年ぶりかでビキニを着ました。夫と知り合った90年代はハイレグ全盛期。最近は日焼け怖さで水着になることもなかったので、ブームがビキニに変わってからもすっかりご無沙汰でした(確か善が生まれた年、子どもプールにお風呂状態で漬かっていたのが最後だったはず)。着てはみたもののお腹の周りのゆとり(!?)にギョッとして、旅行前の走り込みで(まさに競馬場のジョギングはソレ)、急きょ1.5キロ落として臨みました(笑)
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後日談「ふたこと、みこと」(2021年1月):
本人の能力を信じていないことの表れでもあります、と言っていますが、子育てでこうした経験を繰り返す中、『愛の正体は信頼』という私なりの結論にたどり着きました。
長男はNZの高校で水中ホッケーという世にも不思議なスポーツに目覚め、競技人口がめちゃくちゃ少ないという利点はあるにしても、高校在学中に2回全国大会で優勝しました。
それから3年経って次男が生まれ、彼が3歳になって幼稚園通いが始まると、少し状況が変わってきました。子どもが自分たちの時間を持つようになるに連れ、自分自身の時間が戻ってきたのです。上昇志向がなくなった分、水平志向が強くなり、横へ横へと自分の興味の赴くままに視野が広がっていきました。2000年にビーズ・アクセサリー作りに出会い、1年後の2001年のNZ再訪で人生の後半の方向性が一瞬にして決まりました。アクセのお陰でもともと手作りするのが好きだったことを改めて自覚し、ガラス細工を手始めに、最近では念願だったタイルモザイクも始めました。それでも陶芸、組み紐、レース編み、ステンシルと、やってみたいことは目白押しです。
長男は私と同じ誕生日にこの世に生を受けて以降、母親の分までスクスクと竹のように成長しています。いつの間にか膝にも乗らなくなり(35キロもあるからムリですが)、今年から大人のカジュアル服を着せることにし、子ども服とは完全にサヨナラしました。
「2人で着よう!」
とニュージーランド行きの前には一緒にダウンジャケットを買いにも行きました。(今年の滞在は1月だったのにクライストチャーチでは9度という日がありました)
先日、夕食前にジョギングに行こうとすると、
「ボクも行きたい。」
とついて来ました。歩いて5分の近所の競馬場に1周1キロのジョギングトラックがあるので、2人で走り始めると200メートルもしないうちに、
「ママ、お腹痛くなりそう。」
と言って立ち止まってしまいました。子どもなので長い距離を走ることに慣れておらず、呼吸と足が合っていないのです。それが隣にいてよくわかったので、一応、足の動きに合わせて息を吸って吐いて・・・と教えてみたものの、
「ちょっと休む。」
というので、
「じゃ、先に行ってすぐ戻ってくるからここで待ってて。」
と言い残しその場を去りました。
1周走って同じ場所に戻ってみると姿が見えませんでした。
「あれ?走り始めたんだろうか?」
と思い、長男を探しながらもう1周走ってみましたが見つかりません。
「暗くなってきて1人で帰ったんだろう。」
と思いながらもしばらく待ってみましたが、同じジョガーが2周してくるほど経っても来なかったのでひとまず家へ戻りました。ところが彼は家にもいなかったのです!慌てて外に飛び出し、いくら陽の長い夏とはいえ、もうとっぷり暮れてしまった夜の中を競馬場に向かって駆け出しました。大きくなったといっても彼はまだ8歳・・・
その時、坂の下の方から白いTシャツが闇に浮かび上がるように誰かが上ってくるのが見えました。
「いた!」
と走り寄ると、ニコニコしながら軽く手を挙げ、
「やっぱり、ママ帰っちゃったんだ~」
と言うではありませんか?
「どうしたの。探してたのよ!」
と言うと、
「走ってたんだよ。ボクだってママのこと探したよ。」
「走ってた?」
「うん。3周走ったよ」
「!!!!」
息子は歩いたり走ったりしながら、私の姿を探しつつトラックを3周したんだそうです。計3キロ!中央に電光掲示板や植え込みがある上にこの闇。お互い見失ってしまったようです。息子の快挙に思わず抱きしめ、
「すごいじゃない!やったね!」
と興奮気味に言うと、本人は初めてそんな距離を走ったにもかかわらず至って淡々としたもので、
「水泳のウォーミングアップでプールを8往復させられる方がもっと大変だよ。」
と謙遜でもなくケロリ。
(※この頃から水中が好きだった長男)
子どもに対して、つい私の口をついて出てしまうのは、
「1人でできる?」
「大丈夫?」
という転ばぬ先の杖的なことばかり。親だから心配して当然ですが、本人の能力を信じていないことの表れでもあります。でも息子は成長しない私の分まで日々成長しており、昨日できなかったことが今日はできるという日進月歩の変化を遂げているのです。そう遠くないうちに息子の背中を見ながら走る日が来るのでしょう。
「ママ、大丈夫?ボク先に行ってるからね」
と言われながら・・・
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編集後記「マヨネーズ」
バリで何年ぶりかでビキニを着ました。夫と知り合った90年代はハイレグ全盛期。最近は日焼け怖さで水着になることもなかったので、ブームがビキニに変わってからもすっかりご無沙汰でした(確か善が生まれた年、子どもプールにお風呂状態で漬かっていたのが最後だったはず)。着てはみたもののお腹の周りのゆとり(!?)にギョッとして、旅行前の走り込みで(まさに競馬場のジョギングはソレ)、急きょ1.5キロ落として臨みました(笑)
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後日談「ふたこと、みこと」(2021年1月):
本人の能力を信じていないことの表れでもあります、と言っていますが、子育てでこうした経験を繰り返す中、『愛の正体は信頼』という私なりの結論にたどり着きました。
長男はNZの高校で水中ホッケーという世にも不思議なスポーツに目覚め、競技人口がめちゃくちゃ少ないという利点はあるにしても、高校在学中に2回全国大会で優勝しました。