この頃にはアナタは馴染んで
カラオケに行ったり距離が近くなった
ボクは相変わらず距離を取ろうとしたが
常に隣にいてゼロ距離で距離を詰めて
来てたが さり気なく 無駄に距離を
取ろうと意識した
鈍感なボクでもアナタの気持ちに
気付いていたが
その気持ちに応えることはしなかった
これがどれだけ残酷な事かを知っていた
しかし
アナタに惹かれていくことに戸惑い
いつものように距離を取れずにいた
そう アナタは よく似ていた
ボクは アナタを通して違うものを
感じていた 見えていた
ベランダでタバコを吸いながら空を見上げ
良くないよな 失礼だよな
アナタの大切な時間をボクに使わすことに
罪悪感を感じていた
そんな時スマホにアナタからLINEが届いた
会えませんか…今
どれだけの気持ちを込めて書いたのだろう
胸が締め付けられた 胃が痛い
今どこ 行くよ
覚悟を決めよう いつも通り終わらせよう
アナタのために
決してボクの為でなく 決して…
公園のベンチにアナタは座っていた
ワンピース姿のアナタは
今にも折れてしまいそうな感じがした
お待たせ
もう遅いです
ゴメン 道が混んでて
ベンチの隣に座った
二人とも目の前の噴水を見てた
彼氏になってください
ゴメン
やっぱり そうですね
なぜか聞いてもいいですか
好きな人がいるから
そうですか
私って魅力ないのかな
好きになった人は
自分を見てくれないんですよね
そうかな
可愛いしそんなことないんじゃないかな
振った人が言っても説得力ゼロです
はぁー お腹空きました
なにが食べたい?
高いのがいいです
じゃーフグ行こう
やったー
腕を組まれて引っ張られた
付き合えないと言ったのに
まぁ いいか お金足りるかな
そこから3時間恋愛の愚痴を聞き続けた
日本酒制覇したよね この子
結局今公園の同じベンチに戻ってきて
隣で小さな寝息を立ててる
またスタート地点に戻ってきた
けども寝顔を見てると愛しさが
止まらない
もう恋してしまってるんだな
暫くして目を覚ましてボクを見て
ボクの頬に手を当てた
どうして そんなに辛そうな顔をしてるの
無理やり笑顔を作って
そうかな 気のせいじゃない
車で送るよ
立ち上がってごまかした
ちょっと座ってて
近くの自販機で水を2本買ってきて
1本渡して 自分の水を飲んだ
そうしたらアナタはボクの水を奪って
全部飲み干した
空のボトルと未開封の水を返してきて
やってやったの顔をして歩き出した
我に帰って慌てて追いかけた
この子は強いな もしかしたら…
車を出しても ご機嫌だ
テンションが高い 不思議な子
アナタの家の前に着いた
今日はご馳走様でした
アナタが降りた
その時助手席の窓を開けた
やっぱりさっきの答え 保留でいいかな
アナタはびっくりしてボクを見た
私これでもモテるから早くして下さいね
とびっきりの笑顔を向けてきた
努力するよ おやすみ
そして車を出した
バックミラーを見たらマンションに
入らずずっと手を振ってる
ボクの中で固まっていた歯車が
動き出したような気がした
Fin…