荻伏共同育成場日誌

北海道浦河町にある競走馬育成牧場・荻伏共同育成場の場長が日々の風景をお届けする徒然日誌。

育成場のお仕事~騎乗運動~

2015-06-24 06:59:59 | 仕事
 育成場においてメインの仕事と言えば、馬に乗って調教をつけることです。以前にもお話しした通り、育成場もその特性によってかなり細分化されるようになり、騎乗馴致から基礎体力強化を主体としている育成場、基礎体力強化から競馬場と同じ程度速い時計を出す育成場、競馬場近郊に位置し外厩のような役割すなわち出走させるということ以外は競馬場と同じような仕事をする育成場、そしてこれらを総合的に行う育成場まで千差万別です。私たちの育成場は一番はじめの馴致から基礎体力強化を行う牧場ですが、基礎体力強化と言ってもハロン17~8秒の時計で走るところまでは持っていく必要がありますし、要請があれば15-15までだすこともあります。
 このような形態の牧場なので、この時期になると近郊にあるトレセンなみの施設を持つBTCで調教を行う提携牧場へ移動したり、トレセンへ入るための最終段階を仕上げてもらうために本州の育成場へ移動したり、地方競馬ならば直接競馬場へ入厩したりしております。今残っている馬たちは、単純に成長が遅い馬でじっくり調教を積まれている馬、馬房調整がつかず入厩できない馬、故障して戻ってきた馬、そして休養馬が残っています。騎乗可能馬以外では、すでに1歳馬も入ってきており、昼夜放牧がおこなわれております。

 この時期の調教は進んでいる馬と、故障明けで慎重に進められている馬の差がはっきりしており、今日のメニューで行くと進んでいる馬はハロン18秒のキャンター(駆歩)を3200m行いますが、故障明けで慎重に立ち上げられている馬はダグ運動(速歩)のみです。これらのメニューは当日の状態や今までの経過、それに騎乗者や同じメニューの調教馬など様々な面を勘案し決められていきます。
そうしてきめられたメニューがこちら

水色はダグ運動のみ、黄色はキャンターを行う馬、馬割り下の爛は騎乗休止馬で、今日1頭退厩、3頭はウォーキングマシンでの運動のみ。下の欄はウォーキングマシンに入れる順番で、1鞍目などはダグ運動のみでも故障しているわけではなく昨日この仔たちにとって速い時計で走ったので今日は軽くしております。

 このような日々の積み重ねで基礎体力を強化し、競馬場での調教に耐えうる体作りをしているのです。騎乗運動は騎乗者にとって大変でもあり危険でもありますが、同時にとても楽しいものです。特に自分の乗った馬の中から大きなレースを勝つような馬が出たり、乗っている馬の走りが素晴らしかったりすると、それだけでテンションが上がります。それは騎乗者だけが味わえる特権であり、騎乗したものしかわからない感覚なのです。そんな経験がしてみたいやる気のある方がいらっしゃったら、うちはいつでも門戸を開いていますよ。最終決定は社長ですが。



同業者の方やこの職に興味がある方はコメントくださいね。


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