まるぞう備忘録

無題のドキュメント

多重層。知恵深き悪魔。

2013-11-05 10:26:52 | 多重層

もし知恵深き悪魔であったらば、

次はどのような一手を打ちましょうか。

ユダヤ人が素朴なヤハウェ信仰を信じている時代であれば

彼等の生活の不満心に火をつければ良かったです。

こんなに貧しい土地でいいのだろうか?

こんなに貧しい遊牧生活でいいのだろうか?

約束のカナンの土地なのになぜこんなに貧しいの?

隣のエジプトに出稼ぎに行けば裕福な生活ができるよ。

エジプトの神様は拝んだぶんだけ富を与えてくれるよ。

生贄を捧げた分だけ富を与えてくれるよ。

そのような誘惑で堕とすことができました。



では今回はどうでしょう。

彼らはゾロアスター教を通してカラクリを知ってしまいました。

この人生という魂の旅が、

悪の誘惑に打ち勝って善に戻るための旅であることを。

私たち悪魔が彼等を善から遠ざけるために裏で働いていることを。

そして彼らが私たちの誘惑に堕ちて悪を積み上げると

死後自らの後悔という業火に包まれることを。

彼らは知ってしまいました。

自分たちの魂は永遠であることを。

短い人生なら奪ったもの勝ちであります。

逃げ切ったものが勝ちであります。

しかし魂が永遠であるのなら、死後自らの裁きがあるのなら、

今生という短い期間は善をなす必要も当然です。

ワレヨシの我欲に溺れることなく謙虚に質素に生活の中で善をなす。

彼らユダヤ人はそれにとうとう気づいてしまいました。

パリサイ派というユダヤ人たちが気づいてしまいました。

そして彼らの教えがユダヤ人たちの中急速に広まっています。

これは何とかしなければいけないです。

彼らが自らの神性に気づかないようにしなければいけません。

彼らが神性から遠ざかるよう我欲に火をつけなければいけません。

どうする?

どうする?



そのように悪魔は熟考したことでしょう。

そして知恵深き悪魔はある作戦を思いつきました。

それは神への回帰を強く望む人ほどハマる罠でした。



「内なる神の声」を「外なる預言の声」に、

さりげな~く、さりげな~く、置き換えることでありました。

アブラハムもモーゼもイザヤもみな預言者でした。

ヤハウェの言葉を伝えるメッセンジャーでした。

本当はユダヤ人は全員が預言者でありますが、それは秘密とされました。

ごく限られた預言者だけがヤハウェの声を伝えることとします。

しかし預言者はもう過去の人たちばかりです。

だから聖職者(ラビ)の解釈が絶対なのです。

悪魔たちはそのようにパリサイ派の教えを巧妙に書き換えました。

ラビ(聖職者)たちの、

「自分は神に仕えたい」

「人々を神の道へと導きたい」

という願望が巧妙にすり替えられました。

人々が神のメッセンジャーとしてラビたちを崇めました。

聖職者であるがゆえの我欲に悪魔は目をつけました。

ラビたちは自らも気づかないうちに自分の神性から堕ちていきました。



真面目な人ほどキマリが好きです。

自分がキマリを守るのが好きです。

他人をキマリに守らせるのはもっと好きです。

神様にの名の元に、人々にキマリを守らせるのは至福の快感です。



日曜は安息日とモーゼの十戒に伝えられておる。

だから絶対に働いてはならぬ。

何?裁縫をした?いかんいかん絶対いかん。

それは神にそむく行為であるぞよ。

何なに?針を一針、衣にさしただけ?

う~む。これはどうするかのお。

よしそれでは二針以上縫った場合を労働とみなす。

一針ならば神様もお許しになることであろう。

しかし二針以上は絶対にならん。それは神を冒涜する行為じゃ。



真面目な人ほどキマリが好きです。

神様を熱く求める人ほど神様に関するキマリが好きです。

そして人にそれを強制することはもっと好きです。

今回知恵深い悪魔はその隙間をつきました。



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。邂逅。

2013-11-04 11:32:31 | 多重層

ユダヤの人たちが長い間共にあったヤハウェ信仰ですが

イスラエル王国が滅亡した時に大きな転換を迎えました。

一つの流れは東の果てのエデンの国に戻りました。

この日本に戻ったユダヤ人たちは、

ヤハウェを信仰していましたが、

ユダヤ教徒では有りませんでした。

ユダヤ教が誕生したのは彼らがイスラエルを脱した後です。

さてイスラエルにいたころ、そしてその以前、

ヤハウェは厳しい父なる神でありました。

しかし日本の土地に上陸すると、

ヤハウェは母なる愛情の神になりました。

彼らはヤハウェの鏡を神宝として上陸しました。

その鏡の裏には古代ヘブライ文字でヤハウェの言葉が書いてあります。

「私はありてあるものである。」

しかし日本ではその鏡は八咫の鏡と呼ばれ、

母なる太陽神「天照太御神」として祭られるようになりました。



大いなる神様には、

愛情深い母なる面(次元)もあれば、

厳しい父なる面(次元)もあります。

どちらを感じるかというのはこちらの人間側の問題です。

放浪のスサノオであったユダヤ人たちは、

ずっとヤハウェを厳しい父と感じていました。

しかし母性のふるさとに戻り安住したときに、

そのヤハウェが母なる太陽神になったのです。

とても興味深いことであります。



ゾロアスター教の最高神アフラ・マズダも同様です。

愛情深い母なる一面(次元)と、

悪を成敗する厳しい一面(次元)があります。

もしゾロアスター教が日本に戻ることがあれば、

アフラ・マズダは太陽神として祭られたでしょう。

「ラ」とは太陽神を意味します。

しかしイスラエルに残ったユダヤ人にとっては

アフラ・マズダは厳しい父なる神ヤハウェと映りました。



さて私たちが知るユダヤ教は、

ほとんどがその骨格をゾロアスター教から移管しました。

最高神が全知全能の光の神であること。

この世が善なる神と悪魔との闘いであること。

死後善なる魂は天国に行き悪なる魂は地獄に行くこと。

これらの思想はユダヤ教だけでなく、

キリスト教やイスラム教にも引き継がれ、

世界でもっともメジャーの宗教観になっています。

ただもとのヤハウェ信仰にはありませんでした。



さて、自らの神性に気づけるか戻れるか、というのが

古代からのユダヤ人たち(スサノオ)の課題でありました。

人(他民族)より神性を気づきやすいことの引き換えに

逆境や誘惑が多いという旅であります。

今回のイスラエル王国の滅亡で

ユダヤ人たちは一つの壁に突き当たりました。

民族の神性が何人もの預言者を輩出して、

彼らに警告を与え続けたのにこの結果です。

ワレヨシの欲のために御蔭信仰(偶像崇拝)に精をだし、

王国の繁栄を魔物との契約をしてしまいました。

そのため風紀も道徳も乱れ、

結局それらの因果により王国は消滅しました。

単なる預言では救えなかったのです。

もうこれで何度目でしょう。

やはり神性から離れた自我に対して自覚させるには

真理を教義として理解させることが必要です。

無垢な子供であれば純粋に神様を信じます。

しかし欲にまみれた大人であれば理屈が必要なのです。

なぜこの世に善と悪があるのか。

なぜ善を行わなければならないのか。

なぜ悪の誘惑に堕ちてはいけないのか。

この真理がユダヤ人たちに開示されました。



ヤハウェは私たちの中にある善なる心なのです。

ゾロアスター教を触媒として思い出した人たちがいました。

彼らを歴史家はパリサイ派と呼びます。

一方旧来のままヤハウェは豪華な神殿にいると唱えた人も残っています。

神殿関係の既得権益を持つ彼らはサドカイ派と呼ばれます。

権威主義であったサドカイ派は間もなく衰退し、

パリサイ派が唱えるヤハウェ信仰がユダヤ教となりました。

ユダヤ人たちが神性への回帰に近づいた瞬間でもありました。



しかし神に近づけば近づくほど、

悪魔の誘惑が巧妙になる旅でもあります。



つづく




おひさま、ありがとうございます。

多重層。ゾロアスター教。

2013-11-03 11:35:40 | 多重層

ゾロアスター教はその起源はよくわかっていません。

5千年前に出来たという説もありますが、

3千年前ごろという説もあります。

これだけ差があるということは、もうよくわかっていないということです。

そもそも当時の経典らしいものは残っているのですが、

ペルシャ語の方言が強く、誰も読めないのです。

ですから現存するゾロアスター教の教えから推測するしかありません。



ゾロアスター教で特徴的なのはその宇宙観です。

宇宙は時間のない状態(ズルワーン)でした。

気が遠くなるような退屈のあと、

ズルワーンは「時間(=この宇宙)」を生み出しました。

それは光と闇(陽と陰)の交互の振動でありました。

光の創造神をアフラ・マズダーと呼び、

闇の創造神をアンリ・マンユと呼びます。

この光と闇(陽と陰)の交互振動こそがこの宇宙(=時間)の実態です。



人間の魂もまた光(善)と闇(悪)の交互振動です。

人は死後、三日三晩かけて自分の人生を振り返ります。

自分の「言葉」「想い」「行動」について振り返ります。

そしてその善悪に見合った世界に引かれていきます。

善を生き切った人は「天国」と呼ばれる世界へ。

善を隠して誤魔化して生きた人は「地獄」という後悔の世界へ。

従って死後「後悔の世界」へ引き寄せられないためには、

生きている間の「生き方」が重要であります。

それも日常生活の善の実践が重要であると説きます。

どこかに修行にこもることではありません。

日常の生活(労働)の中の善(三徳)が重要なのです。

「善き言葉」「善き想い」「善き行動」



またゾロアスター教の儀式の中で最も重要とされているのが、

「感謝の儀式(ジャシャン)」です。

──────────
ゾロアスター教の儀式のなかで最も重要とされるのがジャシャンの儀式である。これは、「感謝の儀式」とも呼ばれ、物質的ないし精神的世界に平和と秩序をもたらすものと考えられている。ゾロアスター教徒は、この儀式に参加することによって生きていることの感謝の意を表し、儀式のなかでも感謝の念を捧げる。
(Wikipedia「ゾロアスター教」より)
──────────


ゾロアスター教は拝火教と呼ばれるように、

寺院では聖火をお祭りしています。

聖火は各自の中にある善(命の光)を思い出させます。

この世界にはいろいろ苦しいことがたくさんあります。

この世界には誘惑もたくさんあります。

しかし苦しさや誘惑という闇に流されるのではなく、

そこに自分の意志で善という炎を点火させます。

自分の善なる意志により、

闇の逆境や誘惑がまばゆい炎へと点火されるのです。

祭壇の聖なる炎は人に生まれてきた意味を思い出させます。



さてバビロンから解放されたユダヤ人たちは、

当時ペルシャの国教であったこのゾロアスター教に触れます。

そして自分たちが先祖代々伝え守ってきたヤハウェへの信仰と、

このゾロアスター教が彼等の中で融合していったのでした。

ヤハウェがアフラ・マズダであることを思い出したのでありました。

ユダヤ教と呼ばれる宗教の誕生でした。



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。ありてあるもの。

2013-11-02 13:11:32 | 多重層

当時のユダヤの人たちにとって、

ヤハウェとはどういう神だったのでしょうか。

ユダヤの先祖たちはエデンの園を出て、

自らの神性を発見する旅に挑戦している人たちでした。

自らの神性に気づきやすい性質(遺伝子)を持つと同時に、

自らの神性を見失いやすい境遇を与えられる人たちでした。

見失いやすい境遇とは、

放浪や流浪などの厳しい環境であり、

富や権力やふしだらな生活に溺れる誘惑でありました

これらの落差は他の民族よりもはるかに大きいのが彼等の契約でした。

人類進化の雛形となる陰陽の二組の古い遺伝子のうちの

陰の役割といえる存在であります。

ちなみにもう片割れの陽の役割の古い遺伝子民族は、

人類発祥の小さな島国で、母性を維持しています。

陰のスサノオと陽の天照太御神の関係であります。



ユダヤの人たちには自らの内なる神性を、

感じる人が多かったのではないかと思います。

彼らが感じた神性を「ヤハウェ」と呼びました。

ヤハウェとは自らの内側にあるものであり、

大地全体に空全体にあるものでした。

それはありてあるものでした。

その点では日本の神道と似ていますね。



ヤハウェはおかげを与える神ではありませんでした。

ヤハウェが約束したとされるイスラエルのカナンも

不作が続いたりと決して豊かとは言えません。

お隣のエジプトの方がずっと豊かです。

彼らの神様は御利益を与えてくれる神様です。

でもうちのヤハウェは御利益はありません。

それどころか厳しいことばかりです。

しかし御利益がないのが本当の神様です。

どんなに厳しい環境であっても、誘惑であっても、

自分の神性(思い遣りと道徳)を守り切ることができるか。

この旅を一緒に行っているのが各自のヤハウェであります。

ヤハウェが厳格であるとするならば、

それは彼らがユダヤの人たちの良心が、

自分たちを律しているということであります。



厳しい状態であればあるほど、

忘れかけていた神性を思い出す出来事がおこります。

そして神性を思い出せば思い出すほど、

ワレヨシが発露する逆境と誘惑がおこります。

このらせんが、ユダヤ民族の歴史であります。



イスラエル帝国のソロモン王の時に、

ユダヤ民族の大多数は自分たちのヤハウェから最も離れました

ソロモン王は72柱の悪魔を操り、

イスラエル帝国は短い栄華を誇り滅びました。



このあと彼らがヤハウェに回帰するために、

大きな二つの流れに分かれて行きます。

まだ自分たちの内なるヤハウェの声を聴ける人たちは

母なる極東のエデンの土地に戻りました

自らの神性により太陽の土地に呼ばれ帰郷しました。



もう一つの流れはイスラエルに留まる流れでした。

この厳しい土地で自らの神性を思い出そうとする試みでした。

バビロンに囚われたユダヤ人たちです。

この時彼らの中にいた(第二)イザヤは、

必ず私たちはイスラエルに戻ることができる。

と預言しつづけています。

そして捕囚されて約50年後のことです。

預言どおり彼らはイスラエルに戻ることができました。

彼らを征服したバビロンが滅んだからです。

バビロンを滅ぼしたのはペルシャという国です。

ペルシャ=ゾロアスター教 です。

彼らの「ヤハウェ信仰」が「ユダヤ教」へと変わる

歴史的大事件でした。



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。神武伝説。

2013-11-01 11:03:58 | 多重層

旧約聖書に残っているモーゼの出エジプト記は

年代的に謎が多いです。

この出エジプト記はイスラム伝承にも残っています。

エジプトからイスラエルのカナンまでは、

そう遠い距離ではないのに、

なぜ何十年もかかっても辿り着かなかったのか。

モーゼはイスラエルのカナンではなく、

極東のカナンを目指したのであろうと思います。

当時の旅程では中東から日本までは、

およそ10年ぐらいで辿り着けたようです。

モーゼはヤハウェの啓示を受けて、

十戒を刻んだ石板を極東のエデンまで運んだのでしょう。

しかし残念ながら

イスラエルのカナンには帰り着くことはありませんでした。

モーゼが埋葬されたという石川県の能登半島のそばには

今でもカナン(加南)と呼ばれる豊かな平野があります。



さて代わりにモーゼが託したのがヨシュアでした。

彼はモーゼの遺言どおりイスラエルのカナンに戻った

と、旧約聖書に記録が残っています。

ユダヤ民族がカナンを留守にした数百年の間、

他の民族がカナンに暮らしていたのです。

ヨシュアたちは彼らを武力で制圧し、

再び約束の地カナンに戻って来たのです。



当時ユダヤ民族は12の支族から成り立っていました。

ヨシュアを祖とするエフライム族もその一つです。

エフライム族やガド族など北イスラエル王国を形成していた

10の支族はアッシリアに攻め込まれたあと、

歴史の表舞台から忽然と消えてしまいます。

「失われた10支族」と呼ばれています。



されこのエフライム族ですが、

彼らの出自は日本の神話と奇妙な一致点があります。



ヤコブ(ニニギノミコト)は、

イスラエル民族(天孫民族)の父祖とされています。

ヤコブ(ニニギノミコト)は美女ラケル(コノハナサクヤヒメ)に

恋して彼女を妻にしようとします。

彼女の父は姉レア(イワナガヒメ)も妻にしてやってくれと頼みますが、

ヤコブ(ニニギノミコト)は姉レア(イワナガヒメ)を遠ざけます。

ヤコブ(ニニギノミコト)は妻ラケル(コノハナサクヤヒメ)との間に

ヨセフ(ホオリノミコト=山幸彦)を授かりますが、

彼は兄達(ホテリノミコト=海幸彦)に苛められ、

エジプトに奴隷として売られてしまいます。 

その後、彼はエジプトの宰相の地位まで上りつめ権力を持ち、

兄達が凶作に苦しみエジプトに来た時に、兄達を赦します。

ヨセフ(ホオリノミコト=山幸彦)は、

エジプトの祭司(海神)の娘(トヨタマヒメ)を妻にし、

その間にエフライム(ウガヤフキアエズ)を授かります。 

エフライム(ウガヤフキアエズ)には4人の息子が生まれ、

2番目と3番目の子は早死にし、4番目の息子として

ヨシュア(イワレヒコノミコト=神武天皇)が生まれます。

ヨシュア(神武天皇)はイスラエル民族(ヤマト民族)を率いて、

カナンの地を征服(東征)しました。 



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。イザヤの宮。

2013-10-31 13:07:38 | 多重層

イスラエル王国の全盛期であったのは、

三代目ソロモン王の時でした。

ソロモンはエジプトの魔術を駆使したといいます。

質素な遊牧の民であったユダヤ民族は、

贅沢な王国を築く民族へと変わって行きました。

しかし魔物との交換条件はほどなく発動します。

ソロモン王の死後、イスラエル王国は二つに分かれます。

そして北イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、

南のユダ王国はバビロンに滅ぼされます。

この時代に生きた預言者がイザヤです。

イザヤはユダヤの人たちが、

自分たちの内なる神(ヤハウェ)を忘れ、

ワレヨシの欲望にとらわれることに対して

警鐘を発し続けました。

ユダヤの人たちは、

モーゼが伝えた「自らの神性を保つ律法」と

大都市エジプト放つ「欲望の魔力」にはさまれました。

もちろん質素な遊牧生活を守ったユダヤ人もいたでしょう。

彼らは行く先々で幕屋を張りヤハウェを祭りました。

この幕屋は日本の神社と非常に似ています。

幕屋



神社



しかし大多数のユダヤ人は欲望の魔力を選びました。

イザヤの警鐘にも関わらず。

その結果、南と北のイスラエル王国は滅びました。

ほとんどのユダヤ人は殺されたか、

捕まって奴隷とされてしまいました。

エデンの園を出てからの旅の中で、

彼らが直面した最初の最大の危機であったことでしょう。

この最大の危機に瀕して二つの大きな出来事が起こります。

一つは当時イザヤが受けたこの啓示です。

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東で神をあがめ、海の島々(海沿いの国)でイスラエルの神、主の名をあがめよ
(イザヤ書24章15節)
----------

虐殺され奴隷にされる前に、

せめて良心(ヤハウェ)を守り続けた民だけでも

エデンの園に戻そうとしたのでしょう。

イザヤの弟子たちはこの啓示とともに

イスラエルを離れ極東の島国に辿り着きました。

そこはイザヤの預言のとおり、

太古の生命の樹が繁るエデンの園でありました。

その場所は今でもイザヤの宮とその国で呼ばれています。



つづく




おひさま、ありがとうございます。

多重層。ホルスの目。

2013-10-30 10:16:57 | 多重層

当時のエジプトは世界の文明の中心でありましたが

魔術分野においても世界の中心でした。

このエジプトのオカルト魔術は、

現代でも脈々とユダヤと絡み合いながら、

私たちの文明の背後に生き残っています。









キリストの言葉を、彼の死後300年後に、

真逆に書き換えた背後存在。

ユダヤ民族を大虐殺したナチスの背後存在。

共産主義を暴力全体主義に変質させた背後存在。

中東に戦火が消えないようにさせる背後存在。

世界中を経済で奴隷化しようとする国際資本の背後存在。

エトセトラエトセトラ。

エデンの園から旅立った集団。

自分のうちなるヤハウェのみを信じることを

試すために外に出た集団。

神と契約した集団であるからこそ、

魔界の存在が二本の糸のように絡み合います。

ヤハウェのメッセージを人々に伝える預言者が

彼らの集団から数多く輩出した理由です。



モーゼが、エジプトで奴隷にされていたユダヤ民族を

助け出した逸話は象徴的です。

社会的身分の奴隷ではあったでしょうが、

自分の自我の欲望の奴隷でもありました。

モーゼの十戒にある偶像を崇拝するべからず、

ということは彼らへの警告であります。

見かけは質素な生活であったとしても、

自分の内なるヤハウェの教えを守ることが、

彼らの民族の「契約」でありました。

しかし贅沢をしたい欲望に負けて、

多くのユダヤ民族は、

カナンを後にしエジプトに出稼ぎに来ました。

そして御利益信仰のために、

様々なエジプトの偶像に願掛けをしていました。

エジプトの神々は元は

それぞれ純粋な精霊であったことでしょう。

人間の欲望が純粋な精霊を変質させていくのです。

神様など見えない存在に願をかけるのではなく

地道に生活を努力していこう。

そして自分の内なるヤハウェとその元である父母に対し

感謝と敬いを忘れないで生きよう。

それがモーゼがヤハウェから得た啓示でした。

モーゼの物語は「出エジプト記」と題されますが、

まさに象徴的な題名であります。

エジプト=物質文明 であり

エジプト=欲望と契約した魔界 であります。



しかし絡み合う二本の糸はまだ続きます。

カナンの地にユダヤ民族による王国を築きます。

最も繁栄したのが二代目王のソロモンの時です。

しかしもうモーゼの時代から300年以上立っています。

彼の命を賭けたメッセージは形骸化したようでした。

ソロモン王はエジプトの魔術と引き換えに、

一時的に国家の繁栄を謳歌したのでありました。



つづく




おひさま、ありがとうございます。

多重層。十戒。

2013-10-29 09:56:17 | 多重層

国常立大神(ヤハウェ)の啓示を受けて、

西へ西へと向かった一団(ユダヤ民族)が、

たどりついた約束のイスラエルカナンの地は

かつての日本(エデンの園)のような

平和な土地ではありませんでした。

周囲には当時の大都会エジプト(今のニューヨーク並)や

他民族に囲まれています。

ユダヤの人たちは常に誘惑と征服という

逆境にさらされていました。

しかしそのような環境の中であっても、

自分の良心に従うことができるか。

その放蕩息子のチャレンジが、スサノオであります。

高い次元から低い次元まで自分の意志で移動できる存在。

母性(自分の良心)を探す旅でありました。

そのスサノオとは私たち人類一人一人であり、

また雛形としてのユダヤの人たちでありました。

ヤハウェの啓示を受ける預言者が、

彼らの中から何人も輩出された理由であります。

その一人がモーゼです。

約束の地カナンにたどりついたユダヤの一団は、

ヤハウェの啓示の通りつつましく敬虔な生活を送っていました。

彼らは羊飼いとして生計を立てていました。

しかし時代が下るにつれカナンを離れるものも

多くいたようです。

特に大都会エジプトは魅力的でした。

しかしいつの時代も出稼ぎは楽ではありません。

一攫千金を夢見て大都会に上京しても、

割り当てられるのは下積みの厳しい仕事ばかりです。

ユダヤの人たちもエジプトでは奴隷の待遇でした。

まさに誘惑と征服という良心を試される環境でした。

誘惑と征服とは同じ原因から生じます。

それは自我の執着です。

良い生活を送りたい。

社会的に人から認められたい。

肉体的快楽を得たい。

これらの欲望に負けてしまうと、

自分自身が縛られることとなります。

自分の執着に縛られることとなります。

自分の良心を捨てて媚びへつらうこととなります。

そんな状況の中でモーゼが啓示を受けます。

執着の奴隷となっていたユダヤの人たちを連れて

約束の地に帰ろうと決意します。

この時、雷(神鳴り)とともに

ヤハウェから受けた啓示が十戒と呼ばれます。

----------
1、自分の良心の声を唯一神として信じること

2、欲望をかなえるという外の神(魔)を信じないこと。

3、神に頼る生活ではなく自己努力を心がけること。

4、神様に感謝する習慣を生活の中に取り入れ守ること。

5、父母を敬うこと。

6、殺人をしてはいけないこと。

7、姦淫をしてはいけないこと。

8、盗んではいけないこと。

9、偽証してはいけないこと。

10、人を羨んだり嫉妬しないこと。
----------


これはユダヤの民たちが、

自我との葛藤のすえに得ることができた

魂の教訓でもありました。

モーゼはヤハウェの啓示により、

この十戒を持ち東へ東へと進みます。

かつての先祖とは逆方向です。

彼はエデンの土地のヤハウェの治まる場所に

この十戒を奉納します。



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。放蕩息子の話。

2013-10-28 10:14:07 | 多重層

ヤハウェ(国常立大神)の啓示を受けて、

日本列島を離れ西へ西へ向かった集団ですが

インドを越えて中東に入ったころに

旧約聖書にユダヤ民族の始祖としてあらわれます。

アブラムはヤハウェの啓示を受けながら、

カナン(現在のイスラエル)に向かって、

旅を始めるところから書かれています。



ユダヤ民族とは

ヤハウェの啓示を受ける民族であったわけです。

ここから後世間違った選民主義が生まれます。

確かに彼らの一族は

ヤハウェと共に移動してきた民族ではありますが

それは他民族より優れているというよりは、

他民族より重い責任を持っているということです。

神に仕えるものは神罰もまた厳格であります。



彼らはなぜエデンの園(古代日本)を離れて

西へ向かう啓示を受けたのでしょうか。

このユダヤの放浪を思うに、

キリストの放蕩息子の話を思い出します。



ある大金持ちに二人の息子がいました。

一人の兄弟が親元を離れ旅に出ます。

無垢であった彼は旅の中で自我の誘惑を知ります。

アタリマエであった無垢な良心ではなく、

自我の欲望はとても魅力的に見えました。

そして彼は欲望に身を渡し、

そして財産もすべてなくしドン底に堕ちます。

そして長い長い旅の結果、

自分の意志で自我の執着を手放し、

自分自身の良心を思い出すことができました。

そうして彼は再び父親の元に帰ることができました。

父親は息子の帰郷を心から歓待しました。

その歓待ぶりにもう一人の息子が質問しました。

その疑問に父は答えました。

息子よ。生まれついた無垢な良心は尊い。

しかし苦難を乗り越えて

自分の意志で思い出した良心は更に尊い。

それこそが私の喜びである。と。



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。エデンの園からの旅立ち。

2013-10-27 11:16:53 | 多重層

世界にはユダヤ陰謀論が数多く流布されています。

このシリーズの最初にお話しした

国際金融商品の先物取引もそうです。

一部の国際富裕層に都合のいいシステムで

まるでゴイムの財産を奪取するかのようです。

しかしこれらのユダヤ陰謀論は、

歴史の隠された一面を表したものではありますが

しかしながら所詮限られた一面しか述べていません。

陰謀論は人間の羨望と恐怖が暴走した、

幻想を養分として膨らんでいくからです。

私たちの歴史はもっと陰陽が絡み合った、

何層もの多重層から成り立っているのです。



ユダヤの真相を考える時に、

ベースとなるのは日ユ同祖論です。

一般的にこの論は日本の祖先はユダヤである。

というように解釈されております。

しかし真相は更に古く、

そのユダヤもまたかつて日本から出発した民族であった。

ということであります。

日本列島には現存する最古のC系統D系統遺伝子や

ごく最近のN系統O系統遺伝子が混在しています。

世界的に2種類以上の遺伝子系統がある地域は、

実は日本列島以外には発見されていないのです。

日本列島は遺伝子学的に特異な地域であります。

数万年単位では人類由来の地域と考えられます。

ユダヤが現在の皇室の起源となったのは、

ごくごく最近の二千数百年前の話です。



古代ユダヤ民族が日本列島を離れたことは

アダムとイブがエデンの園を追放されたことと重なります。

エデンの園=日本列島 です。

これは人類が進化の中で自我を持ったことが雛形です。

古代ユダヤ民族は人類の進化の型を、

演じる役割があったといえましょう。

彼らは日本神話のスサノオでもありました。

高天ヶ原という日本列島から離れて、

欲望や挫折にまみれた現実界に降り立ちます。

日本とユダヤの歴史を並行して俯瞰すると、

日本はエデンの園であり高天ヶ原でありますが、

ユダヤは自我を体験するスサノオであります。

もちろん人類全員が自我を体験するスサノオですが、

大きな人類というくくりで観れば、

ユダヤと日本の対比がその型を演じているといえましょう。

その型は今も継続しています。



ユダヤ民族はエデンを出て、

西へ西へと向かいました。

日本神道においてもスサノオの方角が

西とされているのとは偶然ではありますまい。

彼らはその放浪の旅の中で、

他民族と交わることは避けてきました。

これは日本との陰陽の型を維持するのに

必要なことであったからです。

こうして彼らはエデンの園とは反対側、

地の西の果てにたどりつきました。



日本列島が神の民族であるのと同様に、

ユダヤ民族も神の民族でありました。

ただ日本は土地自体が、

太陽と大地の御神気に包まれたエデンの園

でありました。

その土地に住む人間は、

無意識のレベルで神の子でありました。

ここ二千年の歴史をみてもわかります。

皇室(不変の王朝)を抱きながら豊かな自然の恵みと

高い文明を享受できている地域は他にありません。

一方ユダヤは対照的な型を演じます。

ユダヤ民族は常に自我(=悪魔)との誘惑を通じて

自らの神性に「努力」して戻らなければならない。

そのような厳しい型を演じています。

これがなぜユダヤのあの土地にだけ、

モーゼやキリストなどの神の言葉を伝える

メッセンジャーが現れたかという理由であります。

そして国を追われ迫害され、

常に悪魔の誘惑と挫折にさらされながらも、

ノーベル賞を排出する頭脳や、

世界中の富が彼らに集中する理由であります。



つづく





おひさま、ありがとうございます。

多重層。タムルード(ラビの権威)。

2013-10-26 12:29:37 | 多重層

タルムードとは旧約聖書とともに、

ユダヤ教の聖典といわれています。

モーゼが神から伝えらた内容のうち、

口伝として語り伝えらたものと、

それをユダヤ教の神官(ラビ)が解説したもの

そして当時の生活の規範や知恵をまとめたものです。

6世紀ごろにバビロニアタムルードとして

編纂された内容が現在一般的にタルムードとして

私たちが知っているものです。



モーゼが活躍したのは紀元前13世紀ですから、

約1900年かかって口伝がまとめられたわけです。

ですからタムルードとは、モーゼのメッセージが

根底にあったかもしれませんが、

それと同時にユダヤ教のラビの権威の言葉や

ユダヤ人の生き抜くための知恵の集大成であります。

ですからその内容も玉石混交であります。

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全人類は、たった一つの先祖しか持っていない。だから、どの人間がどの人間よりもすぐれている、ということはない

隣人とつねに平和を求めよ。隣人を楽しい席に招け。どの国から来た者も、豊かな者も貧しい者も、同じく裸で生まれた。そして最後には同じく土に眠るのである
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という神の言葉も残っておりますが、

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神はユダヤ人にすべての方法を用い、詐欺、強力、高利貸、窃盗によってキリスト教徒の財産を奪取することを命ずる。

汝らは人類であるが、世界の他の国民は人類にあらずして獣類である。

ゴイ(他民族=豚)に金を貸す時は必ず高利を以てすべし。

他民族の有する所有物はすべてユダヤ民族に属すべきものである。ゆえになんらの遠慮なくこれをユダヤ民族の手に収むること差し支えなし。
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このような悪魔の言葉もあります。

なぜ金融先物取引というシステムが、

使い切れない富を世界中から収奪しても、

更に更に富を掻きこもうとしているのか、

その原動力はこのタムルードにあると言ってよいでしょう。



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「タルムードはユダヤ教徒の聖典である。」という解説が今まで日本では多くなされてきているが、実際のところタルムードの権威はラビ(教師)の権威のことでもある。そのため、後世におけるラビの権威を認めない立場からはタルムードの権威を認めないことになり、タルムードの権威を認めないユダヤ教の宗派も少なからず存在する。
(Wikipedia「タルムード」より)
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キリストはこのタルムード(ラビの権威)を否定していました。

マタイ伝の15章に記載されています。



ある時ラビがキリストの元にやってきました。

とにかくユダヤ教の権威を否定するキリストを

やっつけてやりたいという意図だったのでしょう。



なぜあなたの弟子は食事の時に、

古来の人たちが決めた作法通りに手を洗わないのか?



とにかく当時のユダヤ教は、

戒律で民衆をがんじがらめに縛って、

権威を保つ宗教でありました。

今もあまり変わりないかもしれませんね。



キリストはラビたちに言いました。

あなたたちは古来の人たちの言葉が大切とおっしゃる。

しかしなぜそれならば、その元となる、

神の言葉を大切になさらないのですか?

神はこうおっしゃいました。

父母への親孝行こそが最も大切である。

父母をののしることは神を殺すことである。と。

しかしあなたたちは、

民衆にこう言っているではないですか。

父母に捧げるものはがあるのなら、

それは父母ではなく教会やラビ僧に捧げよ。と。

父母より教会やラビ僧を大切に敬え。と。



神はあなたたちのことを何とか呼ぶかご存知ですか?

「偽善者」というのですよ。

かつて預言者イザヤがこのことを述べています。

この者は口先だけでは「神を敬っています」と言いますが

心は神から最も遠く離れているのです。

人間が作った戒律を崇めさせて、

神様を敬っていると教えるのです。



つづく




ps
昨日のリマインダーは日付が間違えました。

正しくは昨日10月25日です。

おかげさまで地震が小難でおさまりましたね。


おひさま、ありがとうございます。

多重層。金融先物取引のトリックその2。

2013-10-25 10:44:22 | 多重層

金融商品先物取引の二つ目の柱は、

レバレッジが効かせられることです。

これは先物取引全般に言えることですが、

現在の手持ちのお金の何倍、何十倍、何百倍の

金額の取引をすることができるのです。

もともと先物取引とは来年の農作物を

予定した金額で購入しますよ。という取引です。

ですからその予約をした時点で全額のお金は不要です。

証拠金と呼ばれる金額を払えば取引ができます。

だいたいお米で50~100倍。金で1000倍です。

10万円の手元金で1億円の金が取引できます。

ですから儲かる時は大きいですが、

負ける時も一瞬です。

証拠金を超える損失が出そうな時は、

もうその時点で取引が清算されます。

今まで投資していた証拠金はゼロになります。

もしゼロにしたくなければ、

証拠金の追加しなければなりません。

商品が値上がりすればこれまでつぎこんで来た額は

一気に取り戻せるはずですから、

ここが辛抱のしどころです。

そうして個人投機家はお金を何とか工面して

あちこちから借金して、証拠金を追加します。

もしこれで運良く相場が持ち直したとしましょう。

今まで投資した額が回収できたとしましょう。

ああ、良かった。儲けが出た。

そういって取引をやめて清算するでしょうか。

いいえ、ほとんどの個人投機家は、

その額で更に先物取引に再投資するのです。

素人がギャンブルで失敗する理由は、

適当に勝ったところで抜けられないことにあります。

欲の皮は突っ張り始めたら、

自分の意思では弱めることが不可能となります。

同様に素人は適当な負けで、

損切りできないことも特徴です。



もし先物取引で追証したにも関わらず、

やはり相場が下がり続けたらどうしましょう。

大事な貯金が全てゼロになります。

借金だけが残ります。

何としてでもそれだけは避けたい。

もう少しだけ追証すればその間に市場は持ち直すはず。

大切なものを担保にしたり、

更に利息の高いところからお金を工面します。

もうちょっと。もうちょっとの辛抱やないかい。



先物取引のこわいところはここです。

手元金の何百倍もの取引ができる

レバレッジ(てこ)という仕組みのおかげで

儲けも大きいが損も大きいのです。

人間の欲の皮は一度突っ張り始めると、

自分の意思ではゆるむことはありませんから、

レバレッジの仕組みにハマってしまうと、

個人レベルの資産は一瞬で溶けます。



ただし、もし、

その賭けが絶対勝つとわかっていたらどうでしょう。

絶対に負けないとわかっていたらどうでしょう。

天文学的な資本を利用して、

相場を自由に操れるとしたらどうでしょう。

このレバレッジの仕組みを使えば、

短期間に世界中の富を回収することができます。



金融先物取引とはそういう発明でありました。





おひさま、ありがとうございます。

多重層。金融先物取引のトリックその1。

2013-10-24 10:24:27 | 多重層

レオ・メラッドという人物がおります。

もう高齢のユダヤ系アメリカ人です。

知る人ぞ知る金融界のドンであります。

それまで農作物しか取り扱っていなかった先物市場に、

世界で初めて金融資産商品を導入した人物です。

彼はポーランドに生まれたユダヤ人でした。

しかしヒトラーによる迫害を逃れて、

9歳にアメリカ・シカゴに亡命します。

その後彼は弁護士になるわけですが、

金融の世界にも惹かれていきます。

そしてある時、金融商品を取り扱った

先物市場をつくるというアイデアを実現するため

弁護士をやめて金融界に飛び込みます。

結果、シカゴは世界最大の金融先物市場の街となります。



先物取引とは元々は江戸時代の大阪で生まれました。

お米の豊作不作に関わらず、安定して購入する仕組みでした。

来年のお米は一俵いくらいくらで買いますよ、

と予約して売買するシステムでした。

もし自分が予約入札したお米の価格より、

実際値上がりするとその差分は儲けとなります。

安く仕入れて、高く売れるからです。

しかし逆にもしお米の値段が下がっていれば、

その差分だけ赤字になります。

元々米農家に対して安定して支払うシステムが、

このようにして投機性を持つこともできます。

メラッドはこの先物取引の投機性を更に一歩進めて、

金融商品に先物取引ルールを当てはめました。

勿論一介の青年弁護士では、

そんな市場を作る力はなかったと思います。

おそらく大きなスポンサーが、

彼のアイデアをバックアップしたのでしょう。



彼のこの「金融先物市場」という

アイデアの優れているところは、

一見公平に見えて、実は違うというところです。

大資本が残りの資本を総取りするという

実に巧妙なマネーゲームなのでした。



この巧妙なマネーゲームは、

二つの柱から成り立っています。

まず一つは先物価格の操作性です。

たとえば農作物の先物価格を

正確に予想するのは難しいです。

それは天候に左右されるからです。

豊作なら価格は下がりますが、

凶作なら価格は上がります。

しかし金融商品は価格のコントロールが簡単です。

もし大資本さえ手元にあれば。

たとえば現在1ドル100円とします。

一年後の10月1日に、

1ドル110円で買うと取引しましょう。

この日一日だけでいいですから、

1ドル110円以上であれば儲けになります。

ではどうすればいいか。

直前に手元の円を売ってドルを買えばいいのです。

もちろん少額じゃ意味がないです。

私のお小遣いレベルじゃびくともしません。

しかしもし国家予算並みであったなら?

円は大量に出回り価値が下がります。

それまで100円で1ドルと交換できたのが、

110円とか120円出さないと1ドルと交換できません。

このようにして1ドル110円で先物取引していれば、

当日の円安ドル高によって儲けが出ます。

実際はもっと複雑で巧妙ですが、

簡単にいうとこういうことです。



農作物の先物価格は天候が支配しますが、

金融商品の先物価格は大資本が支配します。

つまり大資本が自由に勝ち負けを決められるのです。

これが一つ目の柱です。

(つづく)





おひさま、ありがとうございます。