あれは,あれで良いのかなPART2

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24時間テレビは終わったが,障害者政策に終わりはない

2006年08月28日 01時10分18秒 | テレビ・メディア
日本テレビ系列で今年も24時間テレビをやっていたようです。アンガールズの2人が今年も時間ぎりぎりでマラソンが間に合うなど,エンターテイメント性満載の内容だったようですが,残念ながら私は笑点の大喜利と視覚障害者ダンスの一部だけしか見ていませんでした。

いろいろ挑戦して募金集めるだけ?

まず,誤解のないようにいいますと,このような番組は,障害者高齢者福祉のために役に立っていることは紛れもない事実であるため(福祉車両の寄付など寄付金を有効的に活用しているため),決して否定する気はありません。電波の垂れ流しよりよほど有益な番組といえるでしょう。
ただ,最近ではエンターテイメント性を強調するがあまり,「無理矢理何か挑戦させること」や「無理に感動を引き出そうとする」など過剰な演出があるような気がします。その集大成が100キロマラソンです(西村知美さんの時は,ある区間でオリンピック選手より早いタイムで走ったことで物議を醸したくらいですから。)。
そう考えたとき,この番組は「ただ募金を集めるだけでよいのか?」というコンセプトなのではないかという疑問を感じ始めました。

せっかくここまで社会派番組を行うのであれば,むしろ「現状の障害者福祉の問題点」や「高齢者福祉拡充のために私たちはどうするべきか」などという問題点を視聴者に投げかけ,みんなで問題意識を共有するということも大切だったのではないでしょうか。
今の福祉政策は,単なる募金だけで解決するほど単純なものではなくなっています。こういう視点を持った番組にすることを今後検討してほしいものです。
http://blog.goo.ne.jp/sunafukin-0101/e/23c277e8c5a8a497ffabe01ad4deb487
http://onimanju.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/post_e95f.html
ちなみに,私が考える今時点で主に問題となっていること(特に障害者福祉)については,次の点です。

1 障害者自立支援法により,自立が阻害されつつあること
  この法律により,施設利用や食事代などの負担が増えることになりました。障害者(特に重度心身障害者)の場合,仕事はできないため,年金のみで生活せざるを得ません。現状では,年金の枠内でどうにかやっていける状態ですが,1割負担になると年金で完全にとんとんかむしろ赤字になる状態だそうで,そうなると受けるべき福祉サービスを削減せざるを得なかったり,昼飯を抜いたりするなどかなり厳しい生活を強いることになるようです。
  障害者の家族が本当に望んでいるのは,本人の自己決定権の確保とか,あるいは電車乗り放題とかいう中途半端な特典ではありません。「普通の人と同じ程度の負担で生活できるようにしたい」という点なのです。

2 障害者の家族も格差社会が発生
  障害者といっても実はかなりの体系に分かれます。そして,一族みんなが障害を持つ家族の場合,年金だけではとてもやりくりができず,ほとんど破産状態になっています。ひどい場合は,障害者に支給された年金さえも自分の生活費に使ってしまい,施設費を滞納しているという事例すらあるようです(これは,決してパチンコなどの遊興費に使っているのではなく,本当に生活費で使っている場合がほとんどのようです。)。
  一方,障害者が1人だけでしかも他の家族が皆普通に仕事をしている場合,障害者の年金はそのままにしておける場合が多いようです。そうなると,障害者名義の預金はかなりたまっている,ということになります。
  ただし,この点は次の問題になります。

3 無理矢理貯金を切り崩す
  新制度では,350万円以上の資産がある場合,施設利用料などが極端に高くなります。そのため,一部施設では,「預金を減らせ」と指示をしているようで,その結果障害者名義の預金の切り崩しが始まっています。
  自立支援法の建前は,障害者それぞれの実情に応じて応分の負担を求めることにあるのでしょうが,前述のとおり,障害者の将来を考えて積み立てた預金を,そのような行政上の理由だけでおろしてしまっているという実情は,制度の建前とは大きく乖離した現象ですが,立法担当者はこうなることを想定できなかったのでしょうか。

4 成年後見制度を利用しなければならない
  今度の法律で,障害者入所施設は措置から契約に変わりました。しかし,障害者の多くは自分で判断することができないため,自分に変わって契約を締結するために代理人を建てる必要があります。そのため,民法の成年後見制度を活用することになります。
  ところが,成年後見制度はもともと財産のある人を想定した制度である上,後見人の業務は障害者が亡くなるまでずっと続くというロングランの仕事になります。さらに,家庭裁判所に申し立ててから後見人に選ばれるまでに数ヶ月かかり,精神鑑定も必要となるなど時間と費用が結構かかります。
  施設との契約だけができればそれで十分なはずなのに,果たしてここまで重たい制度が必要なのでしょうか。そもそも,立法担当者は「障害者は契約できない」ということを想定できたのではないでしょうか。その上であえて保護者にさらなる負担を課してもいいや,と考えたのでしょうか。

5 長期入院が困難
  医療制度改革により,通常の病院は3ヶ月で転院を余儀なくされます。そうなると,主治医が変わることや,そもそもの移動など物理的負担がかなりあるようです。

もっといろいろあるみたいですが,とりあえずこういう点が問題になります。
そして,最大の問題は,「このような障害者行政に対し,私たち健常人は無関心である」という点です。
実は,障害者といってもすべてがすべて生まれつきというわけではありません。ある日突然事故や病気によって自分や家族が障害者となることはかなりあります。
そうなってから「ありゃ,なんてひどい制度なんだ」と思ってももはや手遅れです。
「明日は我が身」という視点から今の障害者福祉を検討してみることをお薦めします。

なんていう視点を来年以降の24時間テレビで盛り込んでほしいものです。そして,あまりの不十分な制度に徳光さん涙,という方がインパクト強いでしょう。

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