これまでの話から,今回の話もオチが見えていると思いますが,そのとおりです。以上!
っていうのは,あまりに乱暴なので,きちんとお話をしましょう。
皆様の中には,なんとなく感じている人もいませんか?「なんか,農業って,後継者不足とかいう問題があるけれど,一方で,農業に対する補助とかフォローってかなりあるよね。」っていうことを。
もちろん,農業とは,食生活を支えるきわめて重要な産業であり,有事のことを考えると,食料自給率は高めておく必要があります。したがって,農政というものは,かなり国民的レベルで真剣に議論し,そして政策的に様々なフォローをしていくべきテーマであるといえます。
しかし,現状は,ほかの産業と比較すると,明らかにばらまき的な施策が存在するほか,様々な法規制により,事実上新規参入ができない状態となっているなど,相当な保護政策が貫かれています。のみならず,TPPにおいても,商工業界は積極であるのに対し,農業界は消極であるがために,未だに進展がないという状態です(もっとも,そもそもTPP自体に対する是非論がありますが。)。
このように農業政策が特に優遇される背景のひとつとして,実は選挙経営学があるのです。農業だけあって,まさに「票田」なのです。
選挙経営学においては,「士農工商」という格言があります。いわゆる,これを押さえたら絶対に勝てるという団体です(ちなみに,士とは地元の大物政治家や官僚です。)。農業関係には,それくらい強い力があり,政治家とてここには足を向けて眠れません。なぜでしょうか?
それは,農業人口が日本の人口で結構多くの割合を占めていること,農協という強力な組織で基本的に意思統一が取れていること,農村部の団結力は半端なく強いためまず裏切られることはないこと,そしてその団結力により投票率がかなり高いことなどがあげられます。
したがって,農業,もっと端的に言うと,農協を押さえれば,選挙では勝ったも同然なのです。まさしく,選挙経営学では,「JAの建物が票の束に見える」という感じになるのです。
そうなると,当然ですが,農業,特に農協に逆らうことはできません。まして,農協の意向に反するような施策を行うことなんてまず無理です。そうすると,論理必然的に,新規参入を抑制したり,輸入農作物に対する強い規制を設けたりするなどという保護政策になります。
したがって,例えば外国との強い競争力を持たせるためには,国内での競争力を高め,大規模農業の展開や,農作物販売の自由化など,新規参入を容易にするなどというような施策を言おうものなら,一発で農協に嫌われ,その瞬間,票が0になります。
それゆえ,選挙経営学においては,濡れ手で粟の票確保のため,「とにかく今の農業を守るだけ守りましょう。そのためにも農協さんのためにがんばります。」という保護政策メインとなるのです。
もちろん,保護政策のすべてが悪いとは言いませんが,選挙経営学に徹すると,純粋な農業振興や食料問題などという観点を抜きに,「単に農協を守る」ということしか考えないのです。しかも,それを長期ビジョンや全体構想という観点で検討しているならまだしも,単なる「票を取る」だけの理由に過ぎないのです。
結果,時には過度のばらまき施策になったり,農業優遇と見えたりしてしまうのです。のみならず,農協メインの発想となるため,本来あるべき農業の姿や農家の実情等とは大きく乖離してしまう可能性すらあるのです。
冒頭でもふれたように,日本の農業には実は大きな悩み,問題点が数多くあります。これを真剣に解決するためには,いろんな視点で検討し,時には改革するなどして実現していくことが本来は必要なのですが,選挙経営学メインで「票田」という発想が強い政治家が多い以上,農業関係については,単なるばらまき的な施策と単純な保護主義だけが続くことになってしまい,農業に関する多くの問題が改善されていくという道は遠いことでしょう。
選挙経営学によらず,自由な議論を通じて,よりよい農業政策が国民全体的な議論にならない限り,日本の農業は国際競争力に負け,農業人口も減少し,そしてやがて食糧難に陥るかもしれません。農業問題も実は他人事ではないテーマなのです。農業問題をきちんと分析して,現状の是非を論じる候補者をしっかり見極めて,農業従事者はもとより,消費者たるすべての有権者が「これからの食料政策」という観点で判断して選挙にでも行かない限り,近い将来,食料問題に関してはリアルに大変なことになるでしょう。
今日のまとめ
選挙経営学の政治家にとって,農業とは,「単なる票田」としかみていないため,うわべだけで既存の農業(特に農協)を保護することしか考えない。しかし,中身がないため,結果的に日本の農業を崩壊させ,食料事情を悪化させるおそれもある。選挙経営学によらず,真剣に農業問題を考える候補者に農業従事者のみならず消費者たるすべての有権者も選挙によりリアクションを起こさなければ,深刻な食糧難等が起こるかもしれないだろう。
戻る
第5章へ進む
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ
っていうのは,あまりに乱暴なので,きちんとお話をしましょう。
皆様の中には,なんとなく感じている人もいませんか?「なんか,農業って,後継者不足とかいう問題があるけれど,一方で,農業に対する補助とかフォローってかなりあるよね。」っていうことを。
もちろん,農業とは,食生活を支えるきわめて重要な産業であり,有事のことを考えると,食料自給率は高めておく必要があります。したがって,農政というものは,かなり国民的レベルで真剣に議論し,そして政策的に様々なフォローをしていくべきテーマであるといえます。
しかし,現状は,ほかの産業と比較すると,明らかにばらまき的な施策が存在するほか,様々な法規制により,事実上新規参入ができない状態となっているなど,相当な保護政策が貫かれています。のみならず,TPPにおいても,商工業界は積極であるのに対し,農業界は消極であるがために,未だに進展がないという状態です(もっとも,そもそもTPP自体に対する是非論がありますが。)。
このように農業政策が特に優遇される背景のひとつとして,実は選挙経営学があるのです。農業だけあって,まさに「票田」なのです。
選挙経営学においては,「士農工商」という格言があります。いわゆる,これを押さえたら絶対に勝てるという団体です(ちなみに,士とは地元の大物政治家や官僚です。)。農業関係には,それくらい強い力があり,政治家とてここには足を向けて眠れません。なぜでしょうか?
それは,農業人口が日本の人口で結構多くの割合を占めていること,農協という強力な組織で基本的に意思統一が取れていること,農村部の団結力は半端なく強いためまず裏切られることはないこと,そしてその団結力により投票率がかなり高いことなどがあげられます。
したがって,農業,もっと端的に言うと,農協を押さえれば,選挙では勝ったも同然なのです。まさしく,選挙経営学では,「JAの建物が票の束に見える」という感じになるのです。
そうなると,当然ですが,農業,特に農協に逆らうことはできません。まして,農協の意向に反するような施策を行うことなんてまず無理です。そうすると,論理必然的に,新規参入を抑制したり,輸入農作物に対する強い規制を設けたりするなどという保護政策になります。
したがって,例えば外国との強い競争力を持たせるためには,国内での競争力を高め,大規模農業の展開や,農作物販売の自由化など,新規参入を容易にするなどというような施策を言おうものなら,一発で農協に嫌われ,その瞬間,票が0になります。
それゆえ,選挙経営学においては,濡れ手で粟の票確保のため,「とにかく今の農業を守るだけ守りましょう。そのためにも農協さんのためにがんばります。」という保護政策メインとなるのです。
もちろん,保護政策のすべてが悪いとは言いませんが,選挙経営学に徹すると,純粋な農業振興や食料問題などという観点を抜きに,「単に農協を守る」ということしか考えないのです。しかも,それを長期ビジョンや全体構想という観点で検討しているならまだしも,単なる「票を取る」だけの理由に過ぎないのです。
結果,時には過度のばらまき施策になったり,農業優遇と見えたりしてしまうのです。のみならず,農協メインの発想となるため,本来あるべき農業の姿や農家の実情等とは大きく乖離してしまう可能性すらあるのです。
冒頭でもふれたように,日本の農業には実は大きな悩み,問題点が数多くあります。これを真剣に解決するためには,いろんな視点で検討し,時には改革するなどして実現していくことが本来は必要なのですが,選挙経営学メインで「票田」という発想が強い政治家が多い以上,農業関係については,単なるばらまき的な施策と単純な保護主義だけが続くことになってしまい,農業に関する多くの問題が改善されていくという道は遠いことでしょう。
選挙経営学によらず,自由な議論を通じて,よりよい農業政策が国民全体的な議論にならない限り,日本の農業は国際競争力に負け,農業人口も減少し,そしてやがて食糧難に陥るかもしれません。農業問題も実は他人事ではないテーマなのです。農業問題をきちんと分析して,現状の是非を論じる候補者をしっかり見極めて,農業従事者はもとより,消費者たるすべての有権者が「これからの食料政策」という観点で判断して選挙にでも行かない限り,近い将来,食料問題に関してはリアルに大変なことになるでしょう。
今日のまとめ
選挙経営学の政治家にとって,農業とは,「単なる票田」としかみていないため,うわべだけで既存の農業(特に農協)を保護することしか考えない。しかし,中身がないため,結果的に日本の農業を崩壊させ,食料事情を悪化させるおそれもある。選挙経営学によらず,真剣に農業問題を考える候補者に農業従事者のみならず消費者たるすべての有権者も選挙によりリアクションを起こさなければ,深刻な食糧難等が起こるかもしれないだろう。
戻る
第5章へ進む
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ