2週間に渡る熱い戦いを繰り広げたロンドンオリンピック,閉幕しました。
ロンドン五輪、成功裏に閉幕=日本のメダル数、史上最多の38個―次回はリオ〔五輪〕(時事通信) - goo ニュース
選手の皆様,本当にお疲れ様でした。
今回のロンドンオリンピック,日本が最多37個のメダルを取ったからという理由もあるかもしれませんか,かなり熱い試合,感動するする試合が多かったなあって思います。おそらく,記録だけではなく記憶にも残る大会の一つになったかと思います。
また,結果はどんなものであれ,少なくとも日本代表選手は1人として,手を抜き,またはいい加減な試合はしていませんでした。そういう意味で,選手の皆様に対しては,心から御礼申し上げます。
さて,今回のオリンピックですが,例によって独自の視点から日本代表の特徴や今後の課題等を整理してみたいと思います。
1 団体戦が強かった
2 金が少なく,銀,銅が多かった
3 世代交代に対応できるか否かが命運を分けた(過去の栄光?)
4 ナショナルトレーニングセンターが活用された
5 やはり最後は「資金力」。でも,すべてが税金とする必要はない
1 団体戦が強かった
今回は,団体競技が非常に強かったです。
これを単に「震災の復興を願う絆だから」という理由でくくるのはあまりに雑かなあって思います。
正しくいうと,「日本はもともと団体が強い国」ということです。もっとはっきり言うと,「スーパースターが不在」なのです。
スポーツに限りませんが,日本の風土,文化,教育は,「横並び大好き,出る杭は打たれる」というものなので,トップスターがどうしても生まれにくいものです。
もちろん0とはいいません。今回のオリンピックでも,個人で大活躍した人はいます。ただ,あくまでも一部の競技だけです。
原因の一つには,教育制度にありますが,それをいうと話がやっかいな方向にいくので,そこはあえて割愛します。
一方,逆に,横並び大好きというところで,連携を取れる団体は強くなります。
すなわち,「全員2位」の実力があれば十分なのです。まさに,「2位じゃだめなんですか?」「いいんです」っていうのが日本の団体なのです。
従って,今後の戦略としては,「まずは団体勝負」というのが,無難だとは思います。
とはいえ,「スーパースター不在」が続くと,日本は「金メダルがない国」となる可能性も高くなります。スーパースターが育ちやすい環境をもっと構築することも考えるべきでしょう。
2 金が少なく,銀,銅が多かった
1のとおりです。平均点上位の選手が多数そろったが,トップ成績の選手が少ないという点に尽きるでしょう。
あとは,国として,また日本国民として「2位じゃダメですか?」という点に対し,良しとするか悪しとするかという判断になるでしょう。
ただし,当然の前提として,「2位じゃダメですか」だけを質問したら「ダメだろう」っていう回答が圧倒的多数を占めるのは明らかです。むしろ,ここで考えるべき点は,「多額の税金を投与して,スポーツ振興,そしてオリンピック選手の強化を図るという点は是か非か」ということになります。
つまり「2位じゃダメですか?」の真意は,まさに黒ラベル蓮舫議員の意図そのまんま「オリンピックで金メダルを取るために税金使う意味があるんですか?」ということになります。ここに国民のコンセンサスが必要となるでしょう。
もちろん,企業の資金を活用することも当然含まれますが,一般論として,さらなるスポーツ振興を図るためには,それなりの税金投入が必要となります。
3 世代交代に対応できるか否かが命運を分けた(これがメインか?)
典型例は水泳と柔道です。
水泳は,メダルラッシュでしたが,柔道は男子の金が全滅など,思ったほどの活躍はできませんでした(誤解のないようにいいますが,柔道の活躍自体はすばらしいものでした。)。
これもいろんな要素がありますが,水泳は,アンダー世代が順調に育っていたが,柔道はそこまで育っていなかったということにつきます。
では,なぜでしょうか。それは,以前も少し書きましたが,特に柔道の場合,「指導者が国際化に対応できていない」という点にあるといえます。
今や,「柔道」と「JUDO」は別物です。ところが,町の柔道場の先生は,ほぼ全員が「柔道」の先生です(あ,これは自体は悪いこと一つもありませんよ,誤解のないように。)。
それで育って国内で強くなり,国際大会出場することになりますが,強化委員の多くが,「柔道」の時代に活躍した世代なので,実はまだまだ「柔道」の先生なのです。
そうです,今,日本には「JUDO」の先生がほとんどいないのです。その変革に気がついているのかどうかは分かりませんが,そうした時代の流れにうまくついていかず,「昔はこうだった」という点に固執しすぎると,そりゃ勝てるはずがありません。
また,マラソンも男子のみならず女子も苦戦を強いられるようになりました。これも,事情はいろいろありますが,ものすごく簡単に言うと,「日本の練習スタイルが輸出されてしまったため,身体能力の強い外国人選手が有利になった」というだけのことです。男子でその傾向が出ていたため,一部論者は,数年前から「女子マラソンも危ない」と予告していましたが,まさにそのとおりとなってしまっただけのことです。
この道理は,シンクロも同じです。井村コーチが中国に行くなど,日本スタイルが輸出されてしまったことによります。
これは,日本として科学的トレーニングを編み出すしかないでしょう。体力差を補う工夫ですね。
なお,今後の懸念事項として「女子レスリング」にあります。ここは,まさにこれまでの真逆の話,すなわち「女王君臨」状態ですが,そろそろ世代交代の時期に来ています。女王が強すぎるため,アンダー世代がどの程度国際大会に出場し,対応しているか分かりませんが,たとえ女王による絶対王政状態であったとしても,アンダーを育て上げる土壌を作らなければ,柔道同様,うまく世代交代ができない可能性があります(これも誤解のないようにいますと,女王が強すぎるのが悪い,という意味ではありません。強い人は,ずーっと君臨していればいいんです。ただ,次を育てることも忘れずに,っていうことなのです。)。
4 ナショナルトレーニングセンターが活用された
以下はおまけです。
一応,そういうことにしておきましょう。
ただし,ここも,運用主体がいわゆる「天下り団体」ですから,税金の使い方とのかねあいが再燃するかもしれません。
国民として,ここに税金をつぎ込むことが是か非かという点も考える必要があるかもしれません(もちろん,天下りとセンター運営の維持は論理必然の関係にありませんが。)。
5 やはり最後は「資金力」。でも,すべてが税金とする必要はない
韓国が金メダルをたくさん取っている背景に,「マイナー競技に強い」という点があります(冬季もそうですよね。)。
これは,「メジャーは絶対勝てないから,そうではない部分で勝てるように強化しよう」という韓国の方針だといえるでしょう。平たくいうと,メジャー競技に100億円積むのと,マイナー競技に100億円積むのとでは,競技人口やレベルを考えると,マイナー競技に積んだ方が,効果は大きいということになります。
日本もこれをまねしろ,っていう単純なことをいうつもりはありません。日本は日本としてスポーツ振興をすればよいからです(まあ,そういう意味でも,「2位じゃダメですか」がここでも出てきます。)。
ただ,メジャーであれ,マイナーであれ,結果を出すには根性だけでは無理な時代です。やはり,それなりの練習施設,スタッフ等の体制が必要です。また,選手がアルバイトしないと生活できないというのも,国によっては奇異に映るようです(それだけ優遇されている国もあります。)。
したがって,ある程度の資金を投入する必要があります。
ただし,すべてが税金である必要はありません。企業資金を活用すればよいのです。
ところが,日本の企業も不景気のあおりを受けて,スポーツから撤退する動きが進んでいます。こういうときこそ,国とタイアップして,企業スポーツをフォローするような体制を構築すれば,国が支出する税金も最小限で済み,企業もスポーツ活動を維持できることで,それがさらなる雇用やCM効果にもつながるなどメリットが出てくるのではないでしょうか。
以上が今回のオリンピックから見え隠れする日本の実情及び今後の課題といえるでしょう。
まとめると「2位じゃダメですか」ということに対して国民としてどういう対応を取るかという点と,「常に次世代を意識しているか」という点によるでしょう。
ただ,以上の事情は,あくまでも「大人の事情」側です。今,4年後に向けて努力をしている多くのアスリートたちの方々におかれましては,こんな大人の事情は気にせず,日々努力してもらえればと思います。大人の事情は,こうした努力を最大限サポートできるか否かも問題なのです。
頑張れ日本,そして,「リーオ,リーオ,リーオ!」
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ロンドン五輪、成功裏に閉幕=日本のメダル数、史上最多の38個―次回はリオ〔五輪〕(時事通信) - goo ニュース
選手の皆様,本当にお疲れ様でした。
今回のロンドンオリンピック,日本が最多37個のメダルを取ったからという理由もあるかもしれませんか,かなり熱い試合,感動するする試合が多かったなあって思います。おそらく,記録だけではなく記憶にも残る大会の一つになったかと思います。
また,結果はどんなものであれ,少なくとも日本代表選手は1人として,手を抜き,またはいい加減な試合はしていませんでした。そういう意味で,選手の皆様に対しては,心から御礼申し上げます。
さて,今回のオリンピックですが,例によって独自の視点から日本代表の特徴や今後の課題等を整理してみたいと思います。
1 団体戦が強かった
2 金が少なく,銀,銅が多かった
3 世代交代に対応できるか否かが命運を分けた(過去の栄光?)
4 ナショナルトレーニングセンターが活用された
5 やはり最後は「資金力」。でも,すべてが税金とする必要はない
1 団体戦が強かった
今回は,団体競技が非常に強かったです。
これを単に「震災の復興を願う絆だから」という理由でくくるのはあまりに雑かなあって思います。
正しくいうと,「日本はもともと団体が強い国」ということです。もっとはっきり言うと,「スーパースターが不在」なのです。
スポーツに限りませんが,日本の風土,文化,教育は,「横並び大好き,出る杭は打たれる」というものなので,トップスターがどうしても生まれにくいものです。
もちろん0とはいいません。今回のオリンピックでも,個人で大活躍した人はいます。ただ,あくまでも一部の競技だけです。
原因の一つには,教育制度にありますが,それをいうと話がやっかいな方向にいくので,そこはあえて割愛します。
一方,逆に,横並び大好きというところで,連携を取れる団体は強くなります。
すなわち,「全員2位」の実力があれば十分なのです。まさに,「2位じゃだめなんですか?」「いいんです」っていうのが日本の団体なのです。
従って,今後の戦略としては,「まずは団体勝負」というのが,無難だとは思います。
とはいえ,「スーパースター不在」が続くと,日本は「金メダルがない国」となる可能性も高くなります。スーパースターが育ちやすい環境をもっと構築することも考えるべきでしょう。
2 金が少なく,銀,銅が多かった
1のとおりです。平均点上位の選手が多数そろったが,トップ成績の選手が少ないという点に尽きるでしょう。
あとは,国として,また日本国民として「2位じゃダメですか?」という点に対し,良しとするか悪しとするかという判断になるでしょう。
ただし,当然の前提として,「2位じゃダメですか」だけを質問したら「ダメだろう」っていう回答が圧倒的多数を占めるのは明らかです。むしろ,ここで考えるべき点は,「多額の税金を投与して,スポーツ振興,そしてオリンピック選手の強化を図るという点は是か非か」ということになります。
つまり「2位じゃダメですか?」の真意は,まさに黒ラベル蓮舫議員の意図そのまんま「オリンピックで金メダルを取るために税金使う意味があるんですか?」ということになります。ここに国民のコンセンサスが必要となるでしょう。
もちろん,企業の資金を活用することも当然含まれますが,一般論として,さらなるスポーツ振興を図るためには,それなりの税金投入が必要となります。
3 世代交代に対応できるか否かが命運を分けた(これがメインか?)
典型例は水泳と柔道です。
水泳は,メダルラッシュでしたが,柔道は男子の金が全滅など,思ったほどの活躍はできませんでした(誤解のないようにいいますが,柔道の活躍自体はすばらしいものでした。)。
これもいろんな要素がありますが,水泳は,アンダー世代が順調に育っていたが,柔道はそこまで育っていなかったということにつきます。
では,なぜでしょうか。それは,以前も少し書きましたが,特に柔道の場合,「指導者が国際化に対応できていない」という点にあるといえます。
今や,「柔道」と「JUDO」は別物です。ところが,町の柔道場の先生は,ほぼ全員が「柔道」の先生です(あ,これは自体は悪いこと一つもありませんよ,誤解のないように。)。
それで育って国内で強くなり,国際大会出場することになりますが,強化委員の多くが,「柔道」の時代に活躍した世代なので,実はまだまだ「柔道」の先生なのです。
そうです,今,日本には「JUDO」の先生がほとんどいないのです。その変革に気がついているのかどうかは分かりませんが,そうした時代の流れにうまくついていかず,「昔はこうだった」という点に固執しすぎると,そりゃ勝てるはずがありません。
また,マラソンも男子のみならず女子も苦戦を強いられるようになりました。これも,事情はいろいろありますが,ものすごく簡単に言うと,「日本の練習スタイルが輸出されてしまったため,身体能力の強い外国人選手が有利になった」というだけのことです。男子でその傾向が出ていたため,一部論者は,数年前から「女子マラソンも危ない」と予告していましたが,まさにそのとおりとなってしまっただけのことです。
この道理は,シンクロも同じです。井村コーチが中国に行くなど,日本スタイルが輸出されてしまったことによります。
これは,日本として科学的トレーニングを編み出すしかないでしょう。体力差を補う工夫ですね。
なお,今後の懸念事項として「女子レスリング」にあります。ここは,まさにこれまでの真逆の話,すなわち「女王君臨」状態ですが,そろそろ世代交代の時期に来ています。女王が強すぎるため,アンダー世代がどの程度国際大会に出場し,対応しているか分かりませんが,たとえ女王による絶対王政状態であったとしても,アンダーを育て上げる土壌を作らなければ,柔道同様,うまく世代交代ができない可能性があります(これも誤解のないようにいますと,女王が強すぎるのが悪い,という意味ではありません。強い人は,ずーっと君臨していればいいんです。ただ,次を育てることも忘れずに,っていうことなのです。)。
4 ナショナルトレーニングセンターが活用された
以下はおまけです。
一応,そういうことにしておきましょう。
ただし,ここも,運用主体がいわゆる「天下り団体」ですから,税金の使い方とのかねあいが再燃するかもしれません。
国民として,ここに税金をつぎ込むことが是か非かという点も考える必要があるかもしれません(もちろん,天下りとセンター運営の維持は論理必然の関係にありませんが。)。
5 やはり最後は「資金力」。でも,すべてが税金とする必要はない
韓国が金メダルをたくさん取っている背景に,「マイナー競技に強い」という点があります(冬季もそうですよね。)。
これは,「メジャーは絶対勝てないから,そうではない部分で勝てるように強化しよう」という韓国の方針だといえるでしょう。平たくいうと,メジャー競技に100億円積むのと,マイナー競技に100億円積むのとでは,競技人口やレベルを考えると,マイナー競技に積んだ方が,効果は大きいということになります。
日本もこれをまねしろ,っていう単純なことをいうつもりはありません。日本は日本としてスポーツ振興をすればよいからです(まあ,そういう意味でも,「2位じゃダメですか」がここでも出てきます。)。
ただ,メジャーであれ,マイナーであれ,結果を出すには根性だけでは無理な時代です。やはり,それなりの練習施設,スタッフ等の体制が必要です。また,選手がアルバイトしないと生活できないというのも,国によっては奇異に映るようです(それだけ優遇されている国もあります。)。
したがって,ある程度の資金を投入する必要があります。
ただし,すべてが税金である必要はありません。企業資金を活用すればよいのです。
ところが,日本の企業も不景気のあおりを受けて,スポーツから撤退する動きが進んでいます。こういうときこそ,国とタイアップして,企業スポーツをフォローするような体制を構築すれば,国が支出する税金も最小限で済み,企業もスポーツ活動を維持できることで,それがさらなる雇用やCM効果にもつながるなどメリットが出てくるのではないでしょうか。
以上が今回のオリンピックから見え隠れする日本の実情及び今後の課題といえるでしょう。
まとめると「2位じゃダメですか」ということに対して国民としてどういう対応を取るかという点と,「常に次世代を意識しているか」という点によるでしょう。
ただ,以上の事情は,あくまでも「大人の事情」側です。今,4年後に向けて努力をしている多くのアスリートたちの方々におかれましては,こんな大人の事情は気にせず,日々努力してもらえればと思います。大人の事情は,こうした努力を最大限サポートできるか否かも問題なのです。
頑張れ日本,そして,「リーオ,リーオ,リーオ!」
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