日立製作所の大型リストラを受けて,日立市では「このままでは街がつぶれる」という危機感を抱いているようです。記事によると,リストラを受けて,いわゆる下請け企業も仕事がなくなることにより倒産や廃業などを余儀なくされることや,飲食店等も労働者がいなくなることが売り上げが大幅に減少し,やはり廃業などを余儀なくされるということで,かなりの危機感を住民も抱き始めたということのようです。
「先見通せない」「この町はつぶれる」日立城下町に激震(朝日新聞) - goo ニュース
企業城下町は結局炭鉱の町に似ている
この話,何も日立市に限った話ではありません。いわゆる企業城下町と呼ばれる市町村では同様の問題が発生します。特に,企業税収が街の税収の1割を超えるような市町村の場合,大型リストラにより当該企業の収益が大きく減少すれば,当然税収も減りますし,まして撤退ということになれば,税収は一気に0円になります。
しかも,恐ろしいのは,「街が企業の税収をあてにして事業展開をしていた」というケースです。つまり,「税収があるから箱ものを作ろう」とか「税収をベースに福祉政策を充実させよう」ということだけを考えていた場合,「企業=金のなる木」と考えてしまい,ツケを将来に送ってしまっている場合があります。そうすると,企業の撤退により金のなる木がなくなった瞬間,ツケが払えなくなってしまいます。
これは,いうなれば,夕張市が炭鉱廃止によって一気に税収が減少した状態と同じことになります。しかも,炭鉱廃止よりたちが悪いのは,炭鉱廃止の場合は,国策による廃止であるため,廃止後は国からの補助金や交付金などの特別支援策による延命措置が講じられました(もっとも,この延命策も,もっぱら「箱もの作って客を呼ぼう」的発想だったため,結果的にツケを残すだけに終わってしまったのはいうまでもありません。)が,企業撤退の場合,国策でも何でもありませんから,国からの特別支援策は期待できません。せいぜい,交付税が増える程度です。
っていうことは,新たな税収等収入源を確立しない限り,街の財政はあっという間に破綻するということになるのです。
「街がつぶれる」という意味は,この記事のように「街の商店や企業などの産業が廃れる」ということも当然ありますが,それと相まって「街自身が財政再建団体に落ちる」という意味もあるのです。
現在,企業城下町がどの程度あるか分かりませんが,企業城下町の多くの自治体は,まだまだ「企業依存型財政」になっているのではないでしょうか。
しかし,企業は一夜にして消える可能性があることが今回明らかになりました。日立市もそうですが,他の自治体も「企業一本槍の収入をいかに改めるか」という点と「企業がなくなってもやっていける将来的財政計画」をたてる必要があるでしょう。今はよくても,明日がよい保障が全くありません。当然,国が何らかのフォローをしてくれることも期待はできません。国策のミスであった夕張市ですら,国は「夕張市が悪い」といって見捨てたわけですから,企業城下町から企業が消えた街の財政再建を支援するとはとうてい思えません。
あなたの街,大丈夫ですか?大きな企業がある場合,その企業の業績はどうですか?そもそもあなたの街の財政状況はどうですか?その企業の税収に頼っていませんか?景気対策と称して変なもの作ってませんか?
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企業城下町は結局炭鉱の町に似ている
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しかも,恐ろしいのは,「街が企業の税収をあてにして事業展開をしていた」というケースです。つまり,「税収があるから箱ものを作ろう」とか「税収をベースに福祉政策を充実させよう」ということだけを考えていた場合,「企業=金のなる木」と考えてしまい,ツケを将来に送ってしまっている場合があります。そうすると,企業の撤退により金のなる木がなくなった瞬間,ツケが払えなくなってしまいます。
これは,いうなれば,夕張市が炭鉱廃止によって一気に税収が減少した状態と同じことになります。しかも,炭鉱廃止よりたちが悪いのは,炭鉱廃止の場合は,国策による廃止であるため,廃止後は国からの補助金や交付金などの特別支援策による延命措置が講じられました(もっとも,この延命策も,もっぱら「箱もの作って客を呼ぼう」的発想だったため,結果的にツケを残すだけに終わってしまったのはいうまでもありません。)が,企業撤退の場合,国策でも何でもありませんから,国からの特別支援策は期待できません。せいぜい,交付税が増える程度です。
っていうことは,新たな税収等収入源を確立しない限り,街の財政はあっという間に破綻するということになるのです。
「街がつぶれる」という意味は,この記事のように「街の商店や企業などの産業が廃れる」ということも当然ありますが,それと相まって「街自身が財政再建団体に落ちる」という意味もあるのです。
現在,企業城下町がどの程度あるか分かりませんが,企業城下町の多くの自治体は,まだまだ「企業依存型財政」になっているのではないでしょうか。
しかし,企業は一夜にして消える可能性があることが今回明らかになりました。日立市もそうですが,他の自治体も「企業一本槍の収入をいかに改めるか」という点と「企業がなくなってもやっていける将来的財政計画」をたてる必要があるでしょう。今はよくても,明日がよい保障が全くありません。当然,国が何らかのフォローをしてくれることも期待はできません。国策のミスであった夕張市ですら,国は「夕張市が悪い」といって見捨てたわけですから,企業城下町から企業が消えた街の財政再建を支援するとはとうてい思えません。
あなたの街,大丈夫ですか?大きな企業がある場合,その企業の業績はどうですか?そもそもあなたの街の財政状況はどうですか?その企業の税収に頼っていませんか?景気対策と称して変なもの作ってませんか?
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大企業の減収は,それに付随して下請け企業の業績も下がるため,街の税収は相当下落すると思います。
また,合併市町村については,基本的に「人件費の整備」が進まない限り,合併のメリットはありません。それどころか,交付税措置が5年目から減少することになり,10年後には通常の計算式に戻るとなっています。
ちょうど平成15,6年に合併した町が多いので,まさに今年度予算からは「歳入がもっと減る」ということになりうるでしょう。
県下で2番目に大きい市も財政難になってるようですね。
数年前に合併したけど、するとしないで、財政的にどうなのでしょうね?
また、地方や海外からの労働者が多いようで、わが町もですけど、人口減少での影響も出そうな気がします。
単一収入の場合,それが破綻したような場合にどうするかを常に考えておく必要があります。
企業城下町以外にも,「観光依存型」や「原発交付金依存型」などの自治体でも同様のことを常に念頭に置く必要がありますね。
そういえば、夕張は、かつては不交付団体だったような気が・・・。
あの街は,撤退後のショッピングセンターによく行ったものです。ただ,そこも早くも一部大型店舗が撤退するらしく,これまた街の悩みの種になっているようです。
やはり,「景気対策のUFO特番」という格言(?)のとおり,矢追さんの出番ですね。
企業城下町の財政は,確かにいろいろな要素が絡んでいるため,一概に「頼ったら危ない」とも言い難いところはあります。
ただ,関連税収も含め,やはり当該企業に依存しているところが多いため,自治体としては,常に「その会社がつぶれたらどうなるか」を考えておく必要があるのかな,なんて思ったりラジバンダリな訳です。
とはいえ,ご指摘のとおり,この問題,実は「日本は大丈夫?」っていう大きな問題は秘めているのです。恐いですねー,恐ろしいですねー。
大企業の技術もおっしゃるとおり,町工場がその大半を支えています。今回のリストラにより,町工場との契約の多くも失うことになりますが,それにより「確かな技術」を失う可能性もあり,さらなる業績悪化を招くという負のスパイラルも懸念されます。
地方自治体も,こうした負のスパイラルに巻き込まれてしまうと,財政再建どころの話ではなくなってしまうかもしれませんね。
つい数年前,日産の工場が撤退し,町がピンチになった武蔵○山市の例がありましたね。
やはり日立の城下町に,景気の救世主・矢追純一氏を降臨させねば!
> あなたの街,大丈夫ですか?
おかにゃんさん、”大丈夫な街”よりも、人口構成や出生率やらセンセイ諸君の現状?(謎)を考えますと、どっちかつぅと”日本、大丈夫ですか?”と言えなくもないような?(滝謎)
自治体の税収には、法人事業税、法人民税、消費税、たばこ税、住民税、固定資産税などがありますけれども、人口動態が大きな変化をしないであろう大都市等を除き、少子高齢化(人口流出・過疎化)に伴うマイナスの人口動態傾向がみえる地方では、不景気要因(法人税関連)に加え、人口動態要因(住民税及び固定資産税滞納など)に依る税収減もあるでしょうから、自治体財政は当該自治体の責任とは言い切れない側面も垣間見えます(構造的問題汗)
ですからそうした街づくりの理念は長期的戦略としても、公共事業支出の是非は格別、当面の複合的財政問題と企業依存型財政問題とは分けて考えるべきだと思うところであります(分類汗)
http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/akai/04.html
人口問題では育児と労働の両立という社会的インフラ整備、教育・養育費の優先的扶助(インセンティブ制度)や社会保障政策、地方過疎化を抑止できるような軽減税制とか税収格差の衡平化等・・・まぁ立法面では(法理論上は)障害も出るでしょう。でもそうした具体的な長期的ビジョンをもって次の世代を考えた政治を進めないと、下手をすれば”日本は大丈夫?”は現実化するんじゃないか?と思えたりします、ボンクラ親爺は(汗)
日本の技術の大元は、実は町工場などが作る部品あってのものだという現実。これを自治体も見ていかないと、『税収一枚看板都市』はポスト夕張になる可能性が今後も増えていくと思いますね。