あれは,あれで良いのかなPART2

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気を付けよう,甘い言葉と歳出削減

2006年06月30日 01時42分11秒 | 政治
少し前のニュースですが,自民党は,今後歳出を14兆円程度削減し,それでも不足する2,3兆円の負担のために,消費税2%程度増税するという方向で検討しているようです。
これにより,「無造作に増税するわけではなく,やるだけやったんだ。だけどちょっとだけ足らなかったから増税させてね。」というシナリオが完成することになります。

livedoor ニュース


ちょっと待て,削減を無条件に喜んで良いか?

歳出を14兆円も削減したという点は,一見すると「増税の抑制」という意味で効果がありそうな気がします。もちろん,この自助努力自体は評価できるでしょう。
しかし,実は歳出削減で一番考えなければならないのは,「いくら削減したか」なのではなく,「何を削減したのか」という点です。
これについて,自民党側は,主に社会福祉費と人件費,公共事業費を削減したと説明しています。
ところが,社会福祉費削減というのは,いわゆる弱者切り捨てに等しいことになります。もちろん,社会福祉費もしっかり見直して削減できるところはあるといえます(例えば,高齢者に関する費用については,健康な老人と病弱な老人を一律同じような扱いをしていますが,この点はもっと整理できるはずですから,こういう点を削減対象にすることはありでしょう。)。
ところが,本当に国による援助が必要な人まで切り捨て(金額の減額を含む)てしまうのはどうでしょうか。こうなると,端的に彼らに対して「実質的な増税」をしたに等しくなります。その上で,消費税増税をするとなると,二重増税となりかねません。
更に言うと,障害者自立支援法の影響で,実は障害者をもつ家族のほとんどは,「負担は増えたがサービスは減った」ということになってしまい,法が想定している「障害者の自立と自己決定権の確保」にはおよそほど遠いという実情があります。
社会福祉費については,金額の削減ではなく,そもそもの制度自体の見直しという全体的な視点から再検討した方がよいといえます

一方で,地方に関する費用は,今回の14兆円に含まれていません。これは,単に来年の参議院議員選挙対策のためにすぎません。すなわち,国の公共事業費を削減したとしても,その分は地方交付税や補助金をある程度維持しておくことで,実質的には「公共事業はすべて地方自治体に移管する」的な発想になっているといえます。もっといえば,「甘い汁は地方の法に言って吸ってくれ。見えないようにね。」と言っていると言えるでしょう。
もちろん,地方の財源が苦しいために国からの交付税などを削減しないことはいいことのようにも見えます。しかし,そもそも「財源の委譲」を打ち出しているわけですから,むしろ財源委譲を速やかに実施し,その上で交付税などを減額していくという方が国の歳出削減がもっと大きくなるのではないでしょうか(もちろん,歳入も減少するため,結果的にはとんとんなのかもしれませんが。)。

いずれにしても,この14兆円削減,はっきり言ってしまえば「眉唾」です。単に来年の選挙までの方便として使用するに過ぎないのではないでしょうか
問題なのは,野党の料理方法です。各政党がこの方針に対し,どこまで料理できるか,見物です。
もちろん,私たちも,今後もこの辺の動きを注目し,自民党の方針が本当に国民のためになっているのか,それとも野党の料理によって料理のうまい政党の話が妥当なのか,しっかりと吟味していくべきでしょう。

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