あれは,あれで良いのかなPART2

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後見人は,気楽な稼業と,いえません!

2006年10月28日 23時00分24秒 | 法律問題
孫の未成年後見人であった祖母が孫の貯金を流用したとして逮捕起訴された裁判で,福島地裁は,この祖母に対し,業務上横領罪が適用されるとして,有罪判決(執行猶予)を下しました。
また,秋田地裁でも,叔母の成年後見人をしていた人が叔母の貯金を着服したとして逮捕起訴された裁判で,同じく有罪判決(実刑)を下しました。
いずれの裁判でも,「親族相盗」は適用されないとして,厳しい判決となりました。

孫の貯金流用した後見人の祖母、刑の免除せず 福島地裁(朝日新聞) - goo ニュース

後見人の責任は大きいです

今は障害者自立支援法の影響で後見人が必要となった人が急増したことや,高齢者社会のあおりを受け,また悪徳商法が多様化していることも加わり,成年後見制度の利用率が高くなっています。そして,半分以上は親族が後見人を務めています。
ところが,後見人になると財産管理を業務として行わなければならないところ,親族(特に親子)の場合,もともとしっかりと財産管理をしていなかったことから,この財産管理がかなりいい加減になっているケースが多いようです。
また,後見人になりますと,例え親子であっても,本人の財産状況の報告を毎年家庭裁判所にすることになります。今回の事例も,この報告の中から使い込みが発覚し,裁判所が警察に告発して逮捕されたということになっています。

このように,後見制度の注目が高い一方で,実際後見人が何をやるのかは意外と知られていません。逆に,「銀行からいわれたから」位の軽い気持ちで後見人になろうとしている方の方が多いのではないでしょうか。
しかし,後見人は例え親族であったも,「人の財産を管理する」重大な業務です。難しい言葉で言うと,「善管注意義務」があります。つまり,「自分の財産よりも大切に扱いなさい」という責任を後見人は負っていることになります。
さらに,後見人の業務は,本人が死ぬまで続くロングラン業務です。銀行の書類に判子押して終了,という訳にはいきません。
成年後見制度を活用しようとお考えの際は,その後の長期間にわたる業務と責任を十分理解したうえで申立をした方がいいでしょう。もちろん,親子兄弟であったとしても,後見人になった以上,勝手に本人の財産を使うことはできません。勝手に使うと,冒頭の通り「逮捕」されます。

なお,そんな責任はとても負えないが,後見制度で保護する必要がある,と思う場合は,司法書士に相談してみるといいでしょう。最近の司法書士は,成年後見を専門にしている方もだいぶ増えてきており,親身になって相談に応じてくれるはずです。ただし,登記しかできない司法書士もいますので,その点はよーく確認してみましょう。

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