あれは,あれで良いのかなPART2

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これからは天下りも安泰ではなくなるぞ

2009年06月10日 01時40分37秒 | 法律問題
農水省,総務省及び経済産業省の3省が出資して設立された「日本農村情報システム協会」が,元役員の不正流用と思われる不明瞭支出などの債務超過額が約6億円を超え,もはや事業継続は困難ということで,理事会において自己破産を申請することを決定しました。実質国の支配下にある社団法人が自己破産を申請することは異例とのことですが,今後裁判所において管財人が選任され,不正流用の実態把握や返還訴訟,さらには刑事告訴などあり得ると見ています。また,出資者たる3省の責任問題も出てくるものと思われます。

農水所管法人が自己破産 不正流用で債務超過(共同通信) - goo ニュース

天下り役員だとしたら,退職金がパーのみならず,それまでの貯金もパーかも

この法人のホームページを見ると,いわゆる天下りと思われる役員は2名しかいませんでした。しかし,会員には情報システム関連の企業もかなりあり,おそらくは>こうした民間会社での勤務をかましてからの天下り役員が多かったのではないかと推測されます。

それはさておき,国が関わっているといっても,経営が杜撰であれば当然倒産します。第三セクター企業がここ数年相次いで倒れていますが,これも杜撰な経営のケースが結構見受けられます。まあ,ある意味「当然の結果」だと思います。

今回の場合,その原因が不正支出と思われていますが,ここではありませんが,過去に県出資の法人の経理担当者がチリ人女性に10億円近く貢いだという事件(そうです,あれです,あれーだ!)もあり,そこで管理体制のあり方が問題となりました。今回,まだ全貌は分かりませんが,仮に今回も6億円が不正支出であったとしたら,完全に管理体制に問題があったと言えるでしょう。そして,出資者たる3省への報告や,3省の監査体制の不備にも問題があると言えます。そうなると,場合によっては,「他の法人も乱脈経営」の可能性が否定できません。

ただ,破産をしたことでのメリットもあります。それは,「不要な法人のリストラ」と「無駄な退職金支給の抑制」,さらには「天下りはアメだけではなく鞭もある」というリスクが明確になったという点です。
「不要な法人のリストラ」は,まさに外郭団体の見直しが全く進んでいない現状において,経営が成り立たない法人を法的につぶしていくことができ,結果,リストラが可能となります。行革担当大臣も,内心ほっとする場面かもしれません。
「無駄な退職金支給の抑制」は,破産決定することで,お金の管理は管財人に移ります。そして,従業員の給与は優先弁済権がありますが,役員報酬や退職金はむしろ劣後債権に移ります。したがって,事実上「退職金0」となります。普通の会社が倒産した場合,当然役員がそれなりの責任を負うのと同じ理屈です。
「アメとムチ」ですが,役員として一定の法的責任を追及されることもあり得ると言うことです。今回,仮に不正流出が原因だとしたら,役員としてそれをチェックしなかったかチェックが甘かったこと,経営判断が甘いと言うことなどから「経営責任としての損害賠償」を管財人から求められるっこともあり得ます。そうなると,退職金がもらえないだけではなく,逆に役員が1億円近い損害賠償金を支払わなければならない場合もあり得ます。そうなると,天下り役員だとしたら,過去にもらった退職金などもすべて弁済に回さなければならなくなり,ほぼ一文無しになります。当然,「天下り役員なので,そんな責任まで考えていませんでした。てへ。」ということは,裁判所では一切通用しません。
つまり,「天下り=おいしい」という方程式が崩れる場合もあるのです。いや,むしろ当然の話で,天下りに限りませんが,会社や法人の役員になるというのは,報酬が美味しい裏返しとしてこれだけ厳しい責任も潜んでいるです。
これで,安易な天下りも減少するかもしれません。

さて,役員はどのようにケツをふくでしょうか。また,3大臣はそれぞれどのように対応し,どのような責任の取り方を提言するでしょうか。さらに,次の破綻法人が出てくるでしょうか。さらにさらに,延長国会でどの程度の爆弾になるでしょうか。
今後の後処理に注目です。

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