前回に続きます。
3 小泉改革との比較
ここで,小泉改革と比較してみましょう。
列島改造論により,公共事業を積極的に起こし,日本の景気はよくなりました。さらに,バブル経済により,日本経済は絶好調になりました。
ところが,バブル崩壊し,またこれまでの公共事業の借金が雪だるま式に増え,さらには不景気により税収がどんどん減ってきて,国も地方も一気に財政難となりました。
そこで,小泉首相は改革を断行しました。
その第一弾が「道路公団民営化」や「郵政民営化」だったわけです。これは,いわゆる民間活力を推進するというものであるといえるでしょう。
また,現在検討している税制改革も,安定収入の確保のためのものといえます。
さらに,小泉首相は脱派閥として,大臣は実力のある人間を積極的に登用しています。
一方で,地方政策については,三位一体改革として地方に一定の権限と財源の付与を検討しています。いわば,地方にお金を出すということで,地方に権限(負担)を課すものです(逆上米法といえるでしょうか)。
もちろん,公共事業などの見直しを行い,不要不急な事業の延期,廃止を行う予定です(倹約質素の奨め)。
ところで,現代社会では,企業を中心に「勝ち組」「負け組」が二分化してきました。また,各企業は,政治献金を上納することで,自己に有利な政策を進めるように今でも展開しています(中には,1億円をもらったことさえ覚えていなかった政治家までも現れるほどですから。)。
以上を踏まえると,享保の改革と田沼の時代の施策と,小泉改革は時代背景も含めて極めて似ているといえます。
4 歴史からみる小泉改革の成果と今後の行方
歴史は繰り返すという前提に立って,小泉改革を検証してみましょう。
享保の改革は一応成功しましたが,米価が狂乱し,国民の生活はかなり苦しくなりました。
また,田沼の政治は,結局抵抗勢力の反対にあい,挫折しました。
このことからすれば,「小泉改革は一応成功するといえるが,郵政民営化により郵便局にある国債や資金が民間市場にはき出されることにより,プチインフレが発生し,景気回復どころか景気が更に悪化するおそれがある。また,税制も国にとっては有利であるが,庶民にとっては重税感が払拭できない制度となる可能性がある。さらに,肝心な民間活力の導入も,既得権益や官僚の抵抗に遭い,頓挫する可能性があり,結局不十分な結果に終わってしまう。」ということが想定されます。
もちろん,これは歴史からアプローチしているだけであり,現実面からのアプローチではありませんので,この辺の歴史を十分に反省して,過去の過ちを繰り返さないように進めているのであれば,当然違う結論になるでしょう。
ただ,いずれにしても,この歴史から学べることは,庶民のためといいながら,国の財政再建を最優先して考えてしまうと,確実に享保の改革の結果のごとく,国民の経済活動に大きな混乱が生じる可能性は極めて高いということです。この部分こそ,歴史が教えてくれていることです。
したがって,少なくとも「国民生活の安定」も視点に置いて改革を行わなければ,真の改革は達成しない,ということを結論として述べたいと思います。
5 ちなみに
もし,歴史だけをみて日本の今後を占うとしたらどうなるでしょうか(ちょっとしたシャレです。)。
小泉改革からしばらくして,日本は不景気が訪れます。すると,新たな総理が「ものすごく国民を規制する改革」を断行します(寛政の改革)。しかし,厳しすぎたため,その首相は選挙で敗退し,退陣します。
しばらくすると,さらに日本のシステムが完全に崩壊してきます。そこで,時の首相が「1955年体制の頃のやり方に戻そう」という改革を行おうとします(天保の改革)。しかし,時既に遅し,改革の威力がありません。
一方で,国外からはいろんな外圧がやってきて,ついにアメリカからは「アメリカとの貿易では,関税かけるな」という圧力がかかり,日本はこれに応じてしまいます(不平等条約)。
これに起こった一部都道府県知事らが中心となり,新たな政権が誕生します(大政奉還)。
これにより,「地方主権国家」が誕生する,ということになります。
以上ですが,あくまでも歴史から見ただけの話ですから,この部分は軽ーく読み流してください。
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3 小泉改革との比較
ここで,小泉改革と比較してみましょう。
列島改造論により,公共事業を積極的に起こし,日本の景気はよくなりました。さらに,バブル経済により,日本経済は絶好調になりました。
ところが,バブル崩壊し,またこれまでの公共事業の借金が雪だるま式に増え,さらには不景気により税収がどんどん減ってきて,国も地方も一気に財政難となりました。
そこで,小泉首相は改革を断行しました。
その第一弾が「道路公団民営化」や「郵政民営化」だったわけです。これは,いわゆる民間活力を推進するというものであるといえるでしょう。
また,現在検討している税制改革も,安定収入の確保のためのものといえます。
さらに,小泉首相は脱派閥として,大臣は実力のある人間を積極的に登用しています。
一方で,地方政策については,三位一体改革として地方に一定の権限と財源の付与を検討しています。いわば,地方にお金を出すということで,地方に権限(負担)を課すものです(逆上米法といえるでしょうか)。
もちろん,公共事業などの見直しを行い,不要不急な事業の延期,廃止を行う予定です(倹約質素の奨め)。
ところで,現代社会では,企業を中心に「勝ち組」「負け組」が二分化してきました。また,各企業は,政治献金を上納することで,自己に有利な政策を進めるように今でも展開しています(中には,1億円をもらったことさえ覚えていなかった政治家までも現れるほどですから。)。
以上を踏まえると,享保の改革と田沼の時代の施策と,小泉改革は時代背景も含めて極めて似ているといえます。
4 歴史からみる小泉改革の成果と今後の行方
歴史は繰り返すという前提に立って,小泉改革を検証してみましょう。
享保の改革は一応成功しましたが,米価が狂乱し,国民の生活はかなり苦しくなりました。
また,田沼の政治は,結局抵抗勢力の反対にあい,挫折しました。
このことからすれば,「小泉改革は一応成功するといえるが,郵政民営化により郵便局にある国債や資金が民間市場にはき出されることにより,プチインフレが発生し,景気回復どころか景気が更に悪化するおそれがある。また,税制も国にとっては有利であるが,庶民にとっては重税感が払拭できない制度となる可能性がある。さらに,肝心な民間活力の導入も,既得権益や官僚の抵抗に遭い,頓挫する可能性があり,結局不十分な結果に終わってしまう。」ということが想定されます。
もちろん,これは歴史からアプローチしているだけであり,現実面からのアプローチではありませんので,この辺の歴史を十分に反省して,過去の過ちを繰り返さないように進めているのであれば,当然違う結論になるでしょう。
ただ,いずれにしても,この歴史から学べることは,庶民のためといいながら,国の財政再建を最優先して考えてしまうと,確実に享保の改革の結果のごとく,国民の経済活動に大きな混乱が生じる可能性は極めて高いということです。この部分こそ,歴史が教えてくれていることです。
したがって,少なくとも「国民生活の安定」も視点に置いて改革を行わなければ,真の改革は達成しない,ということを結論として述べたいと思います。
5 ちなみに
もし,歴史だけをみて日本の今後を占うとしたらどうなるでしょうか(ちょっとしたシャレです。)。
小泉改革からしばらくして,日本は不景気が訪れます。すると,新たな総理が「ものすごく国民を規制する改革」を断行します(寛政の改革)。しかし,厳しすぎたため,その首相は選挙で敗退し,退陣します。
しばらくすると,さらに日本のシステムが完全に崩壊してきます。そこで,時の首相が「1955年体制の頃のやり方に戻そう」という改革を行おうとします(天保の改革)。しかし,時既に遅し,改革の威力がありません。
一方で,国外からはいろんな外圧がやってきて,ついにアメリカからは「アメリカとの貿易では,関税かけるな」という圧力がかかり,日本はこれに応じてしまいます(不平等条約)。
これに起こった一部都道府県知事らが中心となり,新たな政権が誕生します(大政奉還)。
これにより,「地方主権国家」が誕生する,ということになります。
以上ですが,あくまでも歴史から見ただけの話ですから,この部分は軽ーく読み流してください。
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