あれは,あれで良いのかなPART2

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玉虫色ながら増税確定した消費税

2009年01月24日 23時52分53秒 | 増税問題
自民党は,税制関連法案の附則に消費税増税について記載することについて,概ね了承することになりました。ただし,2011年に増税という形ではなく,2011年度までに必要な法制度を整備するという二段階方式を付記することになりました。一部議員からは,「玉虫色の決着だ」などという意見も出されましたが,このまま法案として提出される見込みです。

消費増税「2段階で」 政府案を自民了承、反対派も容認(朝日新聞) - goo ニュース

とはいえ消費税増税確定

今回,政府与党は,「あくまでも今後の経済情勢などを踏まえて,3年後を目安に法案を作成し,そこで消費税率の変更などを検討する」ということで,「直ちに増税にはならない」と説明しています。
しかし,これまでの政府与党の手法を踏まえると,ほぼ確実に3年後には消費税率の改訂,すなわち「消費税増税」になると思います。そのシミュレーションは次のとおりです。なお,今年の選挙で,自民党が与党になり続けた場合と,民主党が与党になった場合,両方のパターンで検証します。

自民党が与党の場合
1 今年の選挙では公約に消費税増税について「消費税について総合的に検討する」的な表現にしてあったとしても,選挙に勝ったことで「消費税増税については,国民の信任を得た」と説明する。
2 2011年の景気については,対前年度の伸び率(おそらく2010年くらいが景気の底)などの数字で「ほーら,景気が回復し始めた」と説明し,あたかも「景気が良くなった」と説明する。
3 「これはすでに法律に書かれたことなので,今の政権でそれを粛々と進めるだけ」と増税の責任は現政権(麻生政権)のせいにする。
4 「とにかく,今お金がない」を強調する。そのために,意図的に2011年度の当初予算では,福祉関連費用と教育関連費用を大幅に削減する(見せしめ的削減)。

民主党が与党になった場合
1 選挙公約で「消費税増税はやらない」とうたっていたとしても,国会で野党に下野した自民党から,「消費税の見直しをしないことは法律違反だ」と批判を受ける。
2 財務省を中心とした官僚からは,「消費税を上げないと予算が組めない」という議員レクを繰り返し行われ,民主党議員の洗脳を始める。
3 自民党地方議員を中心に,「消費税が上がらないから地方の経済がよくならない。もっと地方に金を回せ。」というネガティブキャンペーンが展開され,結果,地方の民主党議員もその動きに同調せざるを得なくなる。
4 「消費税増税法案を出さないと審議拒否だ」と自民党が言い,国会は完全に空転する。一方,2009年の税制関連法案の附則については,これを削除しようとしても「附則を改正することが国民生活に意味があるのか」などという批判が自民党から出され,これまた国会が空転する。結果,民主党としては,消費税に関する何らかの法案を出さざるを得なくなる
5 しかし,すると国民から「公約違反だ。それなら総選挙で国民の真意を問え。」という意見が強く出始め,自民党もそれを後押しするため,衆議院解散を余儀なくされる。
6 その選挙,どっちが勝っても,「やっぱり増税」になる。

とまあ,以上が想定される動きです。
自民党政権が維持されれば,「国民の信任を得た」という言葉を繰り返し使い続けるでしょうし,民主党政権になった場合は「消費税について検討しないのは法律違反だ」を繰り返し使い続けるでしょう。
つまり,一見すると「単なる玉虫色的な附則の文言」にすぎない今回の法案は,実は,3年後の消費税増税にとって大きなくさびになり,かつ民主党政権になったとしたら,それが大きな足かせになってしまうのです。
そして,これに近いシナリオまでは,政府与党は既に用意していると思います。自民党の部会はアトラクションの一つにすぎませんから。

このシナリオどおりにならないためには,「次の選挙で公約をきちんと確認する」しかありません。抽象的,あいまいな表現の候補者や政党は選択しないなどという自分なりの基準を作って選挙に臨むべきです。しかも,結構カギを握るのは,「地方議員」です。彼らがどんな考えを持っているのか,こうした点についてもちゃんと把握しておく必要があります。地方議員の場合,義理で投票することが国政選挙より多いかと思いますが,安易な義理投票は,場合によっては自分の首を絞めることになります。
逆に,いつもいいますが,選挙に行かないということは,「消費税が何パーセントになろうとも,保険制度がおかしくなろうとも,変な施設が作られようとも,年金が消えてなくなろうとも一切文句は言いません」ということに等しい行為です。

もちろん,消費税増税を一切許さないとまでは言いません。ようは,「本当に必要な増税なのか」と「増税の場合,バーターとして国民負担を軽減できる政策はあるのか」などを真剣に議論した結果であれば,多くの人たちは納得するでしょう。

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