環境団体の「グリーンピース」が,調査捕鯨船乗員が鯨肉の一部を横領したとして東京地検に告発しましたが,その際の調査方法として,西濃運輸が保管していた荷物の一部を勝手に開けて調べたということで,今度は逆に西濃運輸が窃盗で被害届を提出しました。
宅配荷物紛失で被害届=環境団体持ち出しの鯨肉か-西濃運輸(時事通信) - goo ニュース
これが許されたら警察は令状いらない
西濃運輸が窃盗罪の被害届を出したのは,お客様から預かった荷物がなくなった以上当然の話なので,ここでは特に問題にはしません。
問題なのは,「グリーンピース」の告発です。世間では,この団体の胡散臭さが取りざたされていますが,胡散臭さを前提にすると争点がぼけるため,ここではあえて「ある人が勝手に人の荷物を開けた結果,横領の証拠が見つかった場合にどうなるか」という点に絞って説明したいと思います。
結論から言えば,これは「証拠として使えない」ということになります。人のものを勝手に開ける根拠がないからです。もし,これが許されるのであれば,警察は令状を裁判所からもらう必要がなくなります。イメージとしては,今あなたの家に警察が令状なしで「おい,ちょっとお前の部屋の中見せてもらうぞ」と乗り込んで室内を物色できるということになります。
それはどう見てもおかしいですよね。だから,憲法上の要請で他人の物を調べるためには令状が必要になっています。
警察でさえそうなのだから,一般人についてはなおさらのこと,「他人の物を無断で調べる」根拠はないのです。むしろ,他人が持っているものを勝手に調べるというのは,他人が管理保管しているものを取り出そうということにもなりますので,占有を侵害したとして「窃盗罪」になり得ます。
このように違法な行為で証拠を集めることを「違法収集証拠」といいます。そして,日本の刑事訴訟法では,このような違法収集証拠は裁判の証拠として採用されません。のみならず,違法捜査を抑制するという意味で,この違法収集証拠から派生した証拠についても「毒樹の果実」として証拠として採用されないのです。
今回のグリーンピースの行為は,担当弁護士が合法と言っていますが,西濃運輸との間に「荷物見て良いよ」という契約がない以上(そんな契約は普通はないが),違法行為となります。とすると,仮に警察が捜査をしたとしても,その段ボールやそこから派生する証拠は捜査資料に使えないと言うことになってしまうのです。あとは横領の事実として,伝票などを令状で押さえるしかありませんが,「じゃあ,なんで伝票を押さえる必要が出てきたの?」と裁判所は必ず疑問提示しますので,そこで「いやあ,実は一般人が勝手に開けた段ボールから横領のものが出てきたので,横領事実が分かったのですが,これ違法収集証拠なので使えなくなったから,別の証拠集めようと思って」と答えたら,令状は却下されます。これ認めたら,「とりあえず違法でもいいから勝手に見ちゃえ」が横行するからです。どうしても令状請求するならば,この段ボールとは全く関係のないアプローチで攻めるしかなくなります。しかも,攻めるきっかけも必要となるのです。
とすると,グリーンピースが行った行為は,「捜査協力」ではなく,「証拠隠滅行為という捜査妨害」にすぎないのです。
小さな親切のつもりかもしれませんが,捜査機関からすれば「大きなお世話どころかすべて台無しにしやがった」と思われても仕方ありません。
このように,世の中には,よかれと思ってもやって良いことと悪いことがあります。社会正義と思っても,それが実は社会悪になることがある,ということをこのグリーンピース問題から学んでください。これは,やった人が「グリーンピース」であろうと,報道目的のマスコミであろうと,信頼性の高いNPO団体であろうと同じことです。また,相手が暴力団であろうと,隣の家であろうと同じことです。
「**だから許される」という法理はありません。
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http://hon-5.blog.ocn.ne.jp/honshitsu/2008/05/post_1442.html
http://okiniiriyoutube.blog104.fc2.com/blog-entry-214.html
宅配荷物紛失で被害届=環境団体持ち出しの鯨肉か-西濃運輸(時事通信) - goo ニュース
これが許されたら警察は令状いらない
西濃運輸が窃盗罪の被害届を出したのは,お客様から預かった荷物がなくなった以上当然の話なので,ここでは特に問題にはしません。
問題なのは,「グリーンピース」の告発です。世間では,この団体の胡散臭さが取りざたされていますが,胡散臭さを前提にすると争点がぼけるため,ここではあえて「ある人が勝手に人の荷物を開けた結果,横領の証拠が見つかった場合にどうなるか」という点に絞って説明したいと思います。
結論から言えば,これは「証拠として使えない」ということになります。人のものを勝手に開ける根拠がないからです。もし,これが許されるのであれば,警察は令状を裁判所からもらう必要がなくなります。イメージとしては,今あなたの家に警察が令状なしで「おい,ちょっとお前の部屋の中見せてもらうぞ」と乗り込んで室内を物色できるということになります。
それはどう見てもおかしいですよね。だから,憲法上の要請で他人の物を調べるためには令状が必要になっています。
警察でさえそうなのだから,一般人についてはなおさらのこと,「他人の物を無断で調べる」根拠はないのです。むしろ,他人が持っているものを勝手に調べるというのは,他人が管理保管しているものを取り出そうということにもなりますので,占有を侵害したとして「窃盗罪」になり得ます。
このように違法な行為で証拠を集めることを「違法収集証拠」といいます。そして,日本の刑事訴訟法では,このような違法収集証拠は裁判の証拠として採用されません。のみならず,違法捜査を抑制するという意味で,この違法収集証拠から派生した証拠についても「毒樹の果実」として証拠として採用されないのです。
今回のグリーンピースの行為は,担当弁護士が合法と言っていますが,西濃運輸との間に「荷物見て良いよ」という契約がない以上(そんな契約は普通はないが),違法行為となります。とすると,仮に警察が捜査をしたとしても,その段ボールやそこから派生する証拠は捜査資料に使えないと言うことになってしまうのです。あとは横領の事実として,伝票などを令状で押さえるしかありませんが,「じゃあ,なんで伝票を押さえる必要が出てきたの?」と裁判所は必ず疑問提示しますので,そこで「いやあ,実は一般人が勝手に開けた段ボールから横領のものが出てきたので,横領事実が分かったのですが,これ違法収集証拠なので使えなくなったから,別の証拠集めようと思って」と答えたら,令状は却下されます。これ認めたら,「とりあえず違法でもいいから勝手に見ちゃえ」が横行するからです。どうしても令状請求するならば,この段ボールとは全く関係のないアプローチで攻めるしかなくなります。しかも,攻めるきっかけも必要となるのです。
とすると,グリーンピースが行った行為は,「捜査協力」ではなく,「証拠隠滅行為という捜査妨害」にすぎないのです。
小さな親切のつもりかもしれませんが,捜査機関からすれば「大きなお世話どころかすべて台無しにしやがった」と思われても仕方ありません。
このように,世の中には,よかれと思ってもやって良いことと悪いことがあります。社会正義と思っても,それが実は社会悪になることがある,ということをこのグリーンピース問題から学んでください。これは,やった人が「グリーンピース」であろうと,報道目的のマスコミであろうと,信頼性の高いNPO団体であろうと同じことです。また,相手が暴力団であろうと,隣の家であろうと同じことです。
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こんにちは。私は、この件に関しては、西濃運輸が届けを出すだけではなく、GPを訴えるべきだと思います。それが、西濃運輸の社会的貢献になると思います。裁判ということになれば、GPの日本国内でのテロ計画なども明らかになるかもしれません。洞爺湖サミットでのテロ活動も明らかになるかもしれません。それに、日本国内で資金源も解明されると思います。それに、日本は法治国家であり、組織による窃盗は立派な犯罪です。たとえ、小さな犯罪であろうと組織犯罪を見逃すわけにはいきません。訴訟して負けたとしても、得るところは大きく西濃運輸は一定の社会的評価を受けるものと思います。ここが、西濃運輸にとっての分岐点になるかもしれません。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。
他人の荷物を勝手にひらいて見る権利など誰にもないですね。中年親父が、女の子の荷物を開いて勝手見ていたら、立派な変態といわれます。やっぱり、グリーンピースは変態か(~・~!)
「自分たちが唯一絶対正しい存在である」と思いこんでいる時点で,既に共感できない存在になりますね。
「環境問題だから許される」という発想であるとすれば,それは偉大なる勘違いなのですがねえ。
コンプライアンスという観点からしても,西濃運輸には然るべき措置を講じてほしいと思います。例え,内通者がいたとしても,それは正直にさらけ出すことも大切でしょう。今なら,まだ非難されにくい時期でしょう。
とにかく,捜査機関がすべて捜査できるよう全面的に協力することが大切でしょうね。
アメリカのグリーンピースの人々の意見が知りたいものですね。
アメリカのグリーンピースの方々も,結構リーガルマインドに乏しい可能性がありますね。
少なくともオーストラリアの同種団体にはリーガルマインドという単語はありません。