おかあさんのうた

どこをどう歩いてきたんだろう。
おかあさん、子供たちよ。
あのぬくもりはもう帰っては来ないのだろうか。

ホウセンカ

2010-11-19 00:02:51 | 随筆


 去年の11月だった。

戒名と仏具が送ってきたときは、涙も声も枯れてしまった。

ほんとうの別れだ・・・と堪えた。

感情さえも泥流に押し流されて、心は無機質に、無感動に、打ちひしがれていた。

生きる希望も生き甲斐も見いだせなくて虚ろな日々を過ごしていた。

淋しかった。

哀しかった

やめてた煙草ものみ始めた。

近間の居酒屋で無為な時を過ごすことが多くなった。


あれから一年。

父や母に申し訳なくて、翌年の、そう今年2月に小さな仏壇を買った。

仏壇を前にして、生前には思うことのほとんどが何もしてやれなかったことを思い知った。

今では、毎朝、炊き立てのごはんを供えているよ。

夕食は、酒と肴も同じものを飲み、食べている。

盆にはね、送り盆には仏壇の前で一緒にご馳走を食べ、酒を飲んで酔ったよ。

ごめんねって謝った。

この地では「紙銭」を焼いてあの世に持たせるんだって。

そうしたよ。

深夜、ひとり燃やす煙にむせながら泣けてきちゃった。

いままでは何も考えなかったのに。


由布子、ありがとう。

いま判る、おまえのあたたかさが。

数十年、振り返りもしなかった父や母をおまえは守ってくれたんだ。


今からでもいいから、供養しろと教えてくれたんだ。

せめて、残された人生で償いをしろと言ってくれたんだ。

その日が来たら、おまえの前で両手を突くよ。

許してくれるかな。


そう信じて生きて行く。


アコの好きだったホウセンカを今年5月に見つけたんだ。

元気にしてるかな。 

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