UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 301P

2023-10-22 20:18:52 | 日記

『これでよかったのですか?』

 そんなことをアースの奴が言ってくる。これで……というのは世間の反応のことだろう。野々野足軽は自身で『力』というものを公表する気はなかった。公にしたら確実に面倒なことになると思ってたからだ。

 でもだからと言って、野々野足軽にもそういう思いがなかったわけじゃない。なにしろ『力』があるとなればちやほやされるか、それか遠巻きにされるか、さらに言えば迫害が起きるか………とかかもしれなかった。

 実際どっちに転ぶかなんて、野々野足軽にだってわからなかった。それに………どこぞの組織、秘密結社………そんなのに狙われたりするのも厄介だと思ってたから野々野足軽は『力』をひた隠しにしてきたんだ。

 けどもちろん興味はあった。それこそ組織やら秘密結社やら………もしかしたらこの世界には『力』を持った存在は自分だけではないのかもしれない――そんな希望は野々野足軽には常にあったわけだ。

 そもそもが今や人類は70億とかいうアホみたいな数字に達してる。その中のたった一人に選ばれたのが野々野足軽は『自分』だけ………なんて思うのはおごりなのでは? と思ってたんだ。

 だから試してみたい気持ちはあったし、この『力』を共有できる誰かを野々野足軽は欲してもいた。

 でもそれをできなかったのは先述したようなリスクの問題だ。自身が矢面に立つような人柄ではないと野々野足軽は理解してる。

 それにその組織とか秘密結社がもしも存在してるとして、友好的になれるかなんてのはわからなかった。半々の確率で敵対する可能性だってある。

 でも今の状況なら、もしもただ注目されるだけでも、どっかの組織やらと対立することになったとしても、その矢面に立つのは野々野足軽自身ではない。

(それならまあ……)

 ということで草陰草案やらなんやらの動きを諦観してた。そして彼らは『力』の存在を世界へとばらした。センセーショナルな方法でだ。

 けど野々野足軽的にもあのくらいしないと、色々と加工技術が上がってる現代では簡単には信じられなかっただろう。

 実際今でも草陰草案をペテン師とののしる輩はいる。でもすでに圧倒的に是が多い。それは定期的に草陰草案達が生放送で『神秘』と呼ぶ力で『奇跡』を行ってるからだ。

 それによって、草陰草案の『力』は証明された。だから世間は今や超超能力ブームになりつつある。家電量販店のテレビには常に彼女の動画が流れてるし、手品の本やら神秘的なスピリチュアル系の本がバカ売れ中だ。

 草陰草案はテレビとかにも出て、いろんな大手の動画配信者とコラボしてる。そして草陰草案とかかわって人たちは誰一人として彼女を『偽物』とは言わない。

 このテクノロジーにあふれた世界で、超常がもてはやされ人々は人間の持つ可能性に再び喚起してる。きっと誰もが思ってる――

『次はそう………自分かもしれない』

 ――と。野々野足軽は夜風を受けながら眼下の町を見下ろしてる。そしてアースの問いに答えた。

「いいんじゃないか? 楽しくなりそうじゃん」


転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 938

2023-10-22 20:12:29 | 日記

「ヌポポ、首尾はどうですか? あなたの解釈ではこれで………」

「「全ては天上へと続く道の為」」

「ぬははは、わかっとる。すべては順調よ。王も異界の輩も、勘違いしておるからの。勝ち負けなどと………それはなんぞや?」

「「全ては天上へと続く道の為」」

「勝利とは我らが楽園へと至ることでしょう。我らの悲願はそれです。もうずっと………見続けてきた果てない夢」

 中央の三人はそんな会話をしてる。まあ一人は………たくさんの人の集合体みたいな奴は同じことしか言ってないから会話してる……とは言えないかもしれないけど。

「そうよな……誰もがそう思っておる……われらの夢は楽園へと進むこと。そう、そのはずじゃ」

「何が言いたい?」

「ぬははは、なに、開いてみればわかること。そして鍵はあと少し……そうじゃろう?」

「「全ては天上へと……天上へと……」」

 何やら一番大きく、そして真ん中にいるそいつが同じ言葉を繰り返す事をやめた。そして祈ってた腕を開放して、高く掲げる。するとその腕からさらに腕か生えてて、さらにいろいろな器官がついたそれは枝分かれするように伸びていく。いやいや、さすがにそれはローブの中に収納できないだろって突っ込みたかった。

 けど私は空気を読んだよ。自身の体の数倍にも伸びて生えたその腕や器官……そこには当然だけど、口もある。それも無数に、それが一斉に何やら言い出した。

「「行こうぞ」」「「誘おうぞ」」「「招かれようぞ」」「「帰ろう」」「「帰ろう」」「「帰ろう」」

 もっともっとたくさんの言葉をいってる。私の……このG-01でもすべてを聞き取るのは不可能だ。そしてそいつのその言葉に反応してか、一番この中で外周にいる巫女たちが苦しみだした。

 でも彼女たちはおびえてたさっきまでとは違った。何やら皆で中央の奴の言葉を諳んじてる。そして目から真っ赤な涙を流して、祈りとともに……爆散していく。