UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 295P

2023-10-14 20:21:19 | 日記

「ばかにするような……って言ってるけど、草案ちゃんよくマジックやってたよね?」

「うぐっ」

 野々野小頭のスマホから視線さえ上げない何気ない言葉。もしかしたらただ会話をスルーしながらも聞いてて、野々野小頭も無意識的にその言葉を発したのかもしれない。けどその言葉は草陰草案にはクリティカルヒットをかましてた。

「な、なんのことかな?」

 そんな風に視線をそらしてごまかす草陰草案。注目が一気に野々野小頭へと集まる。

「え? なに?」

 するとその視線の気持ち悪さにでも気づいたのだろう。野々野小頭は驚いた。でもなんで驚くってのか周囲の気持ちだ。やっぱり野々野小頭は草陰草案の言葉に無意識的に反応してたらしい。

 それはきっと普段からそうだからだろう。実際、野々野小頭はオカルトになんか興味ない。けど草陰草案とは長い付き合いだ。いや、つきあわされてきた。なので無限に興味ない事を喋り続ける草陰草案対策として、野々野小頭はスルースキルを向上させたのだ。

 その結果、草陰草案に対しては無意識下で反応できる様になってしまった。なので今回注目されてる意味が野々野小頭にはわからないからびっくりしたのだ。

「ほらほら、いいじゃないですか。彼女はこんな話に興味ないし。邪魔しちゃ悪いですよ」

 そう言って再びこの力を公開するのかどうなのかの激論に戻ろうとする草陰草案。けどその言葉にはちょっとイラッときた野々野小頭である。だって……だ。だってここに野々野小頭が居るのは草陰草案のためだった。それなのに……興味ないから……それはたしかにそうだ。けどそんな興味ないとわかってて、これまで振り回してきたのは草陰草案だ。

 それに付き合って、それでも友達だと思ってた野々野小頭。今のは言葉の綾だったのかもしれない。けど……一言言ってやらないとと思った。だってここについてきたのだって、野々野小頭は草陰草案が心配だったからだ。

「なにそれ? 邪魔って私あんたがのこのここんな所に行こうとするから心配して興味も無いのに来たんだけど?」

「だから頼んでないし……それにほら、全然大丈夫だったでしょ?」

 ピッキーン

 ――となにかが野々野小頭の頭の中で切れる音がした。これで草陰草案が「ごめん」と一言言ってくれれば、それで良かった。それでただいつも通りに「仕方ない」で済ませられた。

 でも今のは野々野小頭の中ではなかった。なにせ自身の想いが踏みにじられたような気がしたからだ。

「あっそ……わかった。私帰るから」

 それでも野々野小頭は激昂なんてしなかった。ただ見切りって奴をつけたのだ。そんな野々野小頭の行動に対して、草陰草案は「うん、またねー」とか言ってる。わかってない。野々野小頭の怒りを全くわかってない反応。だから扉を閉める前にこれだけは言ってやると思って野々野小頭は口を開く。

「もう連絡しないでよね!!」

 バタン――と大きな音を立ててあえて閉めた。その行動に会話が止まる草陰草案達。そして野々野小頭はズカズカと玄関を目指す。

「なんなのあれ!? 何なのよバカ!!」

 そんな事を言いながら靴を履いて、ガチャ――と限界を開く。するとそこにはなんかゴスロリチックな女性がいた。

「あ、すみませ……え?」

 なんかニタァァァと笑ったその女性はおもむろに野々野小頭に近づいてきた。いや、近づいてきたと言うよりも倒れ込むように近寄ってきた。そして何やら変な感触が身体に伝わる。冷たいような……熱いような……そんな不思議な感覚。

「なに――かふっ……え?」

 口から溢れる血。何が起こってるのかわからない野々野小頭。足から力が抜けて後ろ向きに倒れた。

(力……はいんない……)

 霞む視界の中で、見えるのはさっきの女。その女は笑ってた変な声を上げて笑って、そして野々野小頭に向かって叫んでる。

「おまえが! お前が近づくから!! あの人に……あの人は私の!! 私のものだ!! 私のなんだ!!」

 そう言って腕を掲げた時、何が起きたのか理解した野々野小頭。その女が持ってたのは果物ナイフだった。野々野小頭は思った。

(ああ、私死ぬんだ……)


転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 932

2023-10-14 20:10:15 | 日記

『ええ、わかってます。もぐりこむこと自体は簡単でした。これからは目的に適合する相手を探してみます』

『どうでしょう? こいつはどうやら誰からも頼られる存在らしいです。他人のことを放っておけないらしく、ここに来たばかりの俺たちにもよく――いや、厄介をしてきますよ。

 本当にむかつきます。まるで自分が上かのように……こいつはその美貌で有名です。それなのに、高飛車でもなく、教会の神父をよく手伝ってるのだとか。狙ってる男どもは沢山います。

 なので実行に移す前にいいですかね? ――へへ。

 こいつは相談役らしいです。困ったことがあったらこいつを頼ればいいとはなかなかここでは評判らしいです。確かに地上に生きる奴らにしては長生きしてるようですが、すぐにでも砂に帰りそうなやつです。こいつは一番先にやって砂に返してやりましょう』

『へへ、やってやりました。でもあの爺、やけに大人しかったんですよ。なので何回も何回もさしてやりましたよ。まあそれでも一切声を上げなかったですけどね。ただなんか……いえ、戯言ですね』

『はは、どうやらここの警備はザルみたいですよ。まああいつが誰彼構わず信用してたりするからなんですけど。大切な話があるっていえば、のこのこやってきましたよ』

『なんかやっぱり砂にまみれた女はダメっすね。なんかひん剥いたあとそれでもやけに抵抗してきたから、ヤル前に殺してしまいました。

 よく考えたら砂の上で生活してる奴らなんてどんな虫が巣くってるか分かったものじゃないからよかったですよ。はははははははは』

 それはもう一つのモニターに流された映像だ。今まさに自分は「やってない」と叫んでたやつの生々しい声としぐさ。はっりき言ってめっちゃ近くで、表情さえも分かるほどの映像だった。

 まるでインタビューでもしててカメラを向けられて意気揚々としゃべってるんじゃないか? と錯覚するほどである。けどこれは盗聴である。決してインタビューをしてるわけじゃない。

 でもここまで鮮明でさらに近くの映像はドローンでは実際難しい。なにせさすがに近くにいるとドローンは駆動音がするからだ。じゃあ何が撮ったのか? というと、これはG-01の一部である。G-01の指型スパイガジェットとでもいえる代物。なにせG-01の指は分離して稼働できる。まあけどそのままだと気持ち悪いし、そもそもが人より大きなG-01である。指だけど、その大きさは野球ボールくらいはある。なのでそのまま動き回ってるとそこそこ目立つので、改良を施したのだ。今やG-01の指から出てくるガジェットは多脚ロボだ。平たい体にタンポポの房みたいなのかついてそれらの先端に収音機と映像をとらえるカメラがあるのだ。さらには多脚部分はどんなところも踏破できるようになってる。

 さらには緊急用のブースターも完備というかなりの高性能である。ドローンとどっちが高性能化というとこっちの方が高性能だ。そんなのが撮った映像だから鮮明である。声だってばっちり。

 あいつ等は最初だけ仲間で集まって、あとは全く集まるということをしなかった。きっと誰かか捕まっても大丈夫なように他人を貫いてたんだろう。けどそれぞれで同じような報告をしてるわけで……まあこうやって情報を集めてる私からしたらその関連性をつなげるのはわけない。

 私は追加でドローンが持ち上げてる奴や、ほかの場所で拘束されてる奴らの映像もここでドカーンと流してやった。まだ勇者のところにいる奴はいい。なにせ針の筵になってないのだから。私がドローンで持ち上げた教会の刺客は皆からそれこそ射殺されんばかりの視線を浴びている。