UENOUTAのお絵描きとかブログ

 お絵描きや小説、YouTubeとかの報告とかしていきます。

ある日、超能力に目覚めた件 345P

2023-12-20 23:38:43 | 日記
(あんまり危険なことはしないこと。いいな)
『でも……出来そうなら殺しちゃっていいですか?』
 
 それはあの悪魔の器である女性のことを言ってるわけじゃないよね? 中にいる悪魔のことだよね? ――と思う野々野足軽。そしてそれを言ったのは悪魔っ子ではなく、天使っ子である。
 いつもは悪魔っ子の勢いの後ろでオドオドしてるのに、言うことはなんか過激だ。ある意味で悪魔っ子よりも……
 
(駄目……)
『……そうですか』
『ちぇっ、まあ主が言うなら仕方ないか。ならいっぱい意地悪してやる!』
『……どうして?』
(うん?)
『どうして駄目なの主様? 主様の邪魔……なんだよね?』
 
 なんだろう……と野々野足軽は思った。
 
(なんだろう、圧を感じる。全然そんな顔はしてないのに……)
 
 そもそもが悪魔っ子も天使っ子も小さい。15センチくらいである。そして見た目は小さな少女なんだから、癒やされはすれ、圧なんて感じるほうが可笑しい。そんなことは野々野足軽だってわかってる。こんな小さな存在に圧? とね。それに野々野足軽はこの子達が言ってる通りに主であり、生みの親といって良い。彼女たちは野々野足軽の力によって支えられてる。だからこそ、消滅させるのだって簡単なんだ。
 ならば、圧をかけるのは天使っ子たちではなくて、寧ろ野々野足軽の方である。普通は。けど野々野足軽はそんなやつじゃないのだ。
 誰かに圧をかけるとか、それこそ自分からはしたこと無いような、日和者であって、平和主義者だ。確かに最近は色々とやってるし、危ないことにも首を突っ込んだりもしてるが、それが出来るのも全ては『力』があるからだ。
 それがなかったら肩がぶつ方だけで「すみません」ってヘコヘコするだろう。
 
(それは簡単なことだよ。悪魔に憑かれてるあの女性がどうなるかわかんないからだ。なにせあれは大本の悪魔だからね)
『大きな存在がその体から消えたらどうなるのかわからないからって事ですね?』
(そういう事)
『そんな事主には関係ないだろ!』
『主様は優しいのです。わかりました。悪は正しく成敗しないといけません』
 
 なんとか納得してくれたらしい天使っ子に野々野足軽はホッとした。そして二人を送り出す。ふわふわと飛んで行かせるわけじゃない。なにせこの子達には実態がないのだ。いうなればエネルギー体だ。
 なら瞬間移動とか――出来るのでは? と野々野足軽は思った。実は瞬間移動なんて男の子の夢だからなんとか実現しようと頑張ってはいる。
 でも今のところ実現にはいたってない。けどこの二人なら……と野々野足軽は思った。野々野足軽は天使っ子と悪魔っ子を自身の力で包んでそして意識を集中する。
 そして遠視で目的地……つまりは仮面の男と悪魔に宿られた美女の場所を見据えて、そこにも力を送った。ある程度の力を送って、その道を意識する。目を開けると、渦巻く光がそこにある。
 
『行ってくるぜ主!』
『言ってきます主様』
 
 そう言って二人はわかってたようにその渦へと飛び込んだ。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 983

2023-12-20 23:30:54 | 日記
「はあ!?」
 
 そんな声が狭い家に響く。こいつ今なんて言った? 俺を殴られるから? いやいやいや、流石にそれはないだろう。なにせ……だ。なにせこいつは俺に全然興味なかった……はずだ。そう言うとなんか傷つくが、実際そうだった。なにせずっとそっけない態度だった。
 
「それ、本当なのか? 俺をぶん殴りたかって……そんなくだらない」
「くだらない? はっ、お前はそうなんだろうな。だが、こっちは苛ついて仕方なかったんだよ。貴様の様なアホは殴ったほうが早いのに……」
 
 そういってギリっと拳を握りしめる。押し倒して腕も拘束してるわけだが、さっきまで抵抗してた力がなくなった。いや違う。反発するような力だったのが、それを今はためている。とどめているんだ。そしてそのせいで、腕がびくともしなくなってる。
 さっきまでは暴れてるこの女を押さえつけてる――その実感があった。けど、今はというと、抑えてるって感じはない。なぜなら自分の腕にはこの女の力は伝わってこないからだ。いや違うな。そうじゃない。実際力は感じる。なにせ押さえつけてる――それだけで全く動かないなんてことはない。
 なにせそれってつまりは俺の腕の力と女の腕の力がどういう形であれぶつかるからだ。ということはその力はどこかに流れるわけで、力と力がぶつかってると腕は上とか下とか右とか左とか……どこかには動く。
 でもそうなってない。まるで岩のように……ピタッと止まってる。俺は実はかなり力を込めてる。けどびくともしない。これってつまりはさっきまでは遊ばれてたってことか?
 
「殴ればよかっただろ? あんたならそれが出来た」
「私は厄介事には突っ込みたくないんだ」
「今の状況でそれをいうのか?」
「ふん、貴様がしつこすぎたせいだ。さすがの私も世間知らずのボンボンにお灸を据えたくもなる。それが親公認で、報酬も良いのならうけるだろ?」
「案外、がめついんだな」
「失望したか?」
「いや、安心したよ」
 
 俺はこいつの澄ました顔が嫌いだった。あの顔を歪ませたいと思ってた。それが出来てたといま知れて、とても満足感が高い。
 
「話したんだから訂正しろ」
「はいはい、お前は汚いおっさんに食われてなんかない。生娘だよ」
「そこまでは言ってない!」
「つっ!?」
 
 ググググ――と単純な力でこの女は俺を押してくる。それもこっちはこの女の手首をもってる。どう考えてもこっちの方が力を込めやすいだろう。
 なのに……なのにこの女は上半身を持ち上げて来やがった。どんな体幹をしてたら女が男からこんな正攻法で馬乗り状態から挽回できるんだ? この女、やっぱりかなりおかしいぞ。こんなのは女の力じゃない。