UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 351P

2023-12-30 18:37:11 | 日記
(ただ初心に戻っただけだな)
『大切なことでしょう?』
 
 確かに……と野々野足軽は思った。初心は大切だ。それを思い出させるためにアースのやつは声を掛けてきたのか? ありがたいが、おせっかいともいうか……とりあえず気合を入れ直した野々野足軽は踊るように空を舞ってる風の子をみる。でも見るだけじゃ駄目だ。
 しっかり見るだけで、その風の動き、制御の仕方……なんかを図れるが、もっと詳細に、それこそ風の子の力の循環。いや世界に漂う風の把握をしないと……
 
(いや流石に世界の風をすべて把握するなんて今の俺じゃ無理だ。範囲が広すぎる。なんでも抱え過ぎはよくない。出来ることを一つずつ……だ)
 
 そうだ。初心……と野々野足軽は唱える。なにせ力が発現した時、野々野足軽は自分のしたいことをとりあえず試そうとしてみた。けど当然だけど、ほぼできなかった。もちろんそれは最初で力が本当に微々たるものしかなかったから……というのもあるが、ただのイメージでだけで力任せにやろうとしてたことも大きい。
 でも今はそれなりに力の使い方ってやつをわかってきてる野々野足軽だ。ただ闇雲に力を使ってもいいということはない。まあだからってすべてを理解してるわけでもない。曖昧な部分はたくさんある。なんで病気を治せてるのか? とかよくわかってないからだ。一応骨折とかは繋げればいいからわかりやすい。
 でも病気はそうじゃない。体内で病原菌とかをどうやってるのはなぞなのだ。そこら辺は力が勝手に作用してると考えるしか無い。でもある程度は力の方向性ってやつを示してるし、これは怪我なのか病気なのかって判断はしてる。
 
 ただ闇雲に身体の調子が悪いという人を治すことと、どこどこが痛むとか、悪いとか言う人の方が直しやすいのは検証済みである。だからこそ、この風の子の行動を無駄にしないためにももっと狭く深くする必要がある。
 全部を理解して力を使う必要性なんてない。ある程度でいい。まあその下限は難しいけど……と野々野足軽は思う。
 
(風で押すとか、力の放出で移動する方法は考えたんだよな……)
 
 なにせ自分で推進力を生み出せるのなら、それを考えることは当然だろう。野々野足軽はもちろんそれをやってる。けど、それではやっぱり自由自在……とは行かなかった。なにせ放つ推進力は一方向でしか出せない。無理矢理に色んな方向に出せばそれこそ急旋回ってやつも出来たが、それは曲がってるというか、マガラされてる……というか? だった。
 それにもっというとそんな風に推進力として、風……いや大気を集めて圧出して放つ……となったらそれは飛んでるというよりも――吹っ飛んでる――だった。
 だからそれは野々野足軽的には受け入れられることではなかった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 989

2023-12-30 18:31:51 | 日記
 殺した教会のやつを放置して俺たちは動き出した。どうやら事前にこの女にはある程度の情報ってやつがあるらしい。だから女の歩みに迷いはない。
 それに付き従いながら、俺は不満を漏らす。
 
「殺せたんだからいいだろ? それに……ただ見張るだけなら、俺なんていらないだろ?」
 
 そうだ。アンタだけでいい。何もやらないんなら、俺なんて必要ないんだ。それともそれだけでかなり危険とか? でもアイツ等は俺の存在にだってその直前まで気づいてなんかなかったぞ。
 それにもう教会とは敵対が表明されてるんだ。王様とかに媚を売るにも、沢山の教会のやつを狩るのがいいと思うんだが? なにせ俺は軍から逃げ出してる。
 それも武器をもって……ここで下手に俺なんかに反抗されたらうざいとは思っても厄介とは思わないだろう。ただ何人かの人を送り込んで始末させればいいだけ。
 でもそんな俺がここの体制ではなくて、教会を狩ってるとなれば、見逃される可能性は高くなる。親父だってそれを臨んでるんだと思うんだが? それでどうにか上の方にかけあうとか……そんなのかもしれない。
 そうなるといくら教会のやつを殺したか――が重要になると思う。だから殺したい……今の俺は最初の一回が上手くいったから血に飢えてるのだ。
 
「戦うのは最後の手段だ。それにこうやって二人でやるのは万が一のためだ。どっちが死んでも、必ず情報を届ける為の保険だよ。まあ私はやられる気はないが」
 
 それはこっちだって……と思った。俺だってやられる気は無い。大体教会のやつなんてのは鍛えてもない奴らが多い。ヒョロガリか、太っていつだって汗をごまかすための香水臭い奴らばかり。
 この剣が届けば確実にやれるだろう。
 
「いっただろう? さっきのはたまたまだ。奴らには魔法がある。魔法を使う相手と戦った事があるか?」
「それは……ないけど……」
 
 ある訳がない。なにせこの世界で魔法を使えるのは教会の奴らだけだ。そしてこれまでは教会には出来得る限り媚びを売る――というのが常識だったんだから。戦うなんてきっと想定してない。でも今はもうそんなことは言ってられない。
 教会と戦うということは魔法を相手にすると同義。でもそういうことか……俺たちにはその魔法の知識とかいうのが全くない。『魔法』という言葉を知ってるだけで、その中身はふわふわで曖昧なもの。
 でも必要以上に怯えるのは違うだろう。
 
「魔法なんかよりも早く動いてしまえばいい。近づいて切る……それでなんとかなっただろ?」
「さっきはな……だか私達は魔法を知らなさすぎる。だから何が起きるかわからない。こっちには準備してるようには見えなくても、魔法で迎撃するすべはあるかも知れない」
「それは――ん?」
 
 なんかいきなりさっきまで前にいた女が見えなくなった。いやそれだけじゃない。なんか暗い。真っ暗だ。まるで目を閉じたのかのような暗さ。そして喧騒も聞こえない。
 これは一体?