「ちょっ!? 男性は見ちゃダメです!!」
草陰草案はバサァ――と飛んでるその存在、悪魔の様な女性の方を見てハッとしてそういった。さらには――
「カメラもダメ! 映さないで!」
――この場で見てるだけの人達なら、まだ信頼できる知り合いである。けど、今この放送は配信されてる。つまりは彼女の裸は全世界に配信されてる。それを草陰草案は危惧した。同じ女性だからかもしれない。
一応悪魔の女性はそこまで裸感はない。なにせその体には色がついてるからだ。脚には赤い模様が太ももまで、そして腕は全体に独特な模様が広がってて、それは胸の前面からわき腹の方に回って、そして下腹部の所までのびて肌色部分は案外すくない。
けどよく見ると実際何もきてない事に気づくだろう。画面越しでどこまで見えるかはわからない。けど東海道馬脚たちはちゃんと機材にも投資していいカメラを配信に使ってる。それこそ4Kとかで配信してたりする。
そうなるとはっきりと見えてる可能性はある。しかも彼女は飛んでるわけで、草陰草案たちは見上げてる形である。何も履いてない彼女の大切な部分……それがもろに出てるのは疑いようがない事実。
「う、写さないってそれは……」
そんな風に東海道馬脚はいう。撮影全般を担当してる彼である。この状況を事実のままに伝えたいという思いがあるのかもしれない。なにせ人が自分自身に生えてる羽で宙に飛んでる。
そこにはCGなんてのはない。本当ならこれは映画とかでしか見られない光景。でも……それが目の前で起きてるんだ。
「なんで……どうして……なんで……どうして……」
そんな事を彼女をずっとブツブツといってる。さっきアンゴラ氏による攻撃を受けたはずだけど、そのダメージは見られない。
「なんで……私は……私は……やってない……やってないの……」
違う言葉を紡ぎだす彼女。とっても悲しそうな彼女。それを見てると、草陰草案はどこか心が痛む。
「なにが……なにがあったの?」
「うおおおおおおおおおおおおおん!」
「くうううううううう!!」
「つっおおおおおおおおおお!」
「ええ? 何!? どうしたの!?」
いきなり周囲の男達が泣き出した。それも大の大人が普通に見せないように泣くというわけじゃなく、もうワンワンである。大人とは思えないくらいにないてる。
そのいきなりの事に草陰草案はまさか……と思った。
(まさかこれって……)
彼女のせい?