前屈・・・ ヨガと言えばみんな前屈して床に手がつくことだと思っていますよね。だから前屈はヨガを代表するアーサナと言ってよいと思います。
体位的に、ヨガの前屈が、ストレッチの前屈と違うのは、手の位置です。 手は足の横です。前ではなく。
手 足足 手
という配置です。 英語では
前屈はフロントベンド
後屈はバックベンド、
側屈はサイドベンド
ベンドというのは曲がるという英語です。
体前屈のもっとも大きな知恵は・・・
「脊椎をベンドしながら伸張させる」 平たく言うと「曲げながら伸ばす」ということです。
曲げながら伸ばすなんて矛盾? そうでしょうか?
長座で座ります。その時背中を伸ばすことはできますよね。でもカラダそのものは90℃曲がっています。
これと同じことで深い前屈では、脊椎は足の付け根から前倒しになりつつ、脊椎そのものは伸びます。
この背中の伸びが初心者でも端的に感じられるのが、定番ダウンドッグです。ダウンドッグは初歩的な前屈なのです。
カラダが折り畳みの携帯電話のように二つに折れているとき、お腹で呼吸しようとしても、もちろん入りません。逆にいうと、深い前屈はすべて、体の中から不要なものを排出したのちでないとできません。つまり空腹がアサナの成功のポイントです。さらに前屈をしていくうちに体内の不要なモノ(滞留便など)も排泄されます。
深い前屈をしているとき、ポーズを深めるには、何度も深い呼吸をして、背中(肺)に呼吸を入れます。吸うと肺が膨らみ、その分椎骨と椎骨の間が広がり、脊椎が伸びるので、その伸びた位置でホールドしてさらに吸います。この時伸びるのは、脊椎の上部です。
ヨガのポーズのことをアーサナと言いますが、アーサナというのは、全部人生の比喩です。
前屈が表しているものは、「自分の内側を見る」「自己を知る」と言うこと。
つまり、前屈は自分自身と向き合うためのアーサナなのです。逆に後屈は世界と向き合うためのアーサナ。「心を開く」ポーズです。
余談ですが、カラダに良いと言われているヨガは意外にも怪我が多いアクティビティです。
怪我の内容は、高い順に
一位 手首
二位 腰
三位 首
四位 膝
です。手首はアームバランスの時、腰は後屈の時、首は逆転のポーズの時、痛めます。これらはすべて上級のポーズです。
要するに、皆、すごいアーサナをやろうとして(煩悩ですね~!!)、不用意に高難易度なアーサナに臨むとこうなるということですね。
ヨガというものは、そもそも、そうした虚栄、競争の心、スゴイと言われたい心、生き急ぐ心、などの煩悩を排し、自分自身の内なる平穏を見出すためのものなのに。 怪我が絶えないという事実から、フィットネスとしてのヨガも激情の世界(ラジャス)の世界に属していることが分かります。
アーサナは凄くなるためにやるものではありません!
最後に、前屈においてヨガのレッスンの決まりごとに、「レッスンは必ず前屈で終わらなくてはならない」という決まりがあります。