「傾向と対策」 vs 「分析と戦略」

2010-08-31 11:32:39 | 福岡&中野&メルボルン時代
■ 違和感

英語と日本語には不思議な溝、違和感がある単語が多くあります。

一言、「辞書の弊害」と言って岩波あたりの責任にしてしまうことも
できるのですが(笑)、考えてみると面白いなぁ・・・といつも
思います。

例えば、ビジネスでおなじみの”傾向と対策”の”対策”って何よ?

もちろん、対策、を英語に直すことはできます。でも、”傾向と対策”が
使われるような場所で使われる単語じゃないんだな・・・。格調が高すぎる。

もっと普通な感じ・・・で、普通はなんというかというと Strategyです。

”傾向と対策”はさしずめ”Analysis and strategy”がピッタリです。

でも・・・これを和訳してしまうと・・・”分析と戦略”。 全然違うニュアンスになる。格調高くなってしまう。英語はもっと平易で小学6年生にもわかる単語です。


■ 英語は主体的ナノダ

「傾向と対策」 の対策は、相手が起こしたアクションに対し、自分はこう
対策した、という意味で、他者依存、相手次第です。

一方、「分析と戦略」の場合は、相手のアクションを待つことも含めて、
自分はこうする、という主体的な行動を意味します。

対策は・・・相手が△したから、自分は○する。 行動の起点が相手。
戦略は・・・相手はこうであろうという分析(仮説)に基づく。行動の起点が自分。

「傾向」と「分析」を比べてみても・・・「傾向」は分析の結果。 「分析」 には
結論未満の感じがあるでしょう。 総合的です。一方「傾向」には、有無を言わせない
響きが。

結局中身は同じようなことをするんです。でも、「これが傾向だ!」と断定して
から「相手の動きを見て対策」するのと、「分析」を踏まえて「戦略」に基づいて
行動するほうが、しっかり一本の糸が通った感じがしないでしょうか・・・?

「こういう傾向があるからこう対策しました」は対症療法的だし、
「こういう分析結果を踏まえてこう戦略を立てました」だと包括的です。

小さいことですが、言葉がもつ力ってあるように思うんですよね。

■ バイリンガルな使い道

「傾向と対策」だと「傾向」がでてこないかぎり、いつまで経っても「対策」へ進めない。

 しかし、一方マーケティングやビジネスでは相手を優先することが
成功の鍵です。こういう場合は分析して戦略で攻めるより、急がず
傾向を見極め、対策を施すほうがあっているような気がしますね。
対策が日本がお得意のカイゼン、なワケですから。 

ストラテジーにはカイゼンのニュアンスはなく、あくまで自分勝手にやっている感じ。ストラテジーは頼もしい反面、外すリスクもあります。

「傾向と対策」が生きるのは、他者優先する場面。→ビジネス
「分析と戦略」が生きるのは、主体性が必要な場面。→ 人生、国策

こんな風に考えると、日本人が働くのはお得意でも、自分らしく
生きるのが苦手なのがなんとなく納得できないでしょうか・・・。

これからは 傾向と対策より、分析と戦略で・・・



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