今日はとっても幸せな日でした☆
小淵沢の節電木工のいとうぐみさんにおじゃまして、スプーンを作っていました。
スプーンを作る。スプーンなんて自分がすくって食べるためのごくごく初歩的な、基本的な道具です。
でも、そんな基本的な道具ひとつ、自分では作ったことが無い現代人のわたし。
うーん、なんか、やばくない??なんだかベーシックなところで。
わたしは昔から『自給自足系』大好きなのですが、都会生活では夢にみるだけで
ほんの初歩的なことも実行に移すことが出来ないので、この分野の興味や関心はながらく
棚上げ状態だったのでした。
山梨ではそこが少しずつ開放されつつあります。例えば山もそうです。
山って、いうのは基本歩くだけの行為です。歩いて行ける最果てまで行ってみよう!
基本、それだけの動機です。
でも実際、人間の歩ける距離は結構あり、人間ってなかなかすごいなぁと思ったりします。
登山道を下から眺めると結構あって、危険な岩場などでなくても、「けっこう人間の歩く力も捨てたもんじゃない」と思います。
下界から、北岳~農鳥までの稜線を見ると、「あそこ、あたし歩いたも~ん」(笑)。
とか、深い意味も無く自信を深めるのは、もしかして、自分の歩く力=生きる力を再確認中なのかな?
でもやっぱり自然の力はすごいなぁ。と思います。そう、人間は自然にはかなわない。
人間が自然を打ち負かそうなんて、傲慢もいいところだ。
アメリカ大陸を初めてみた日本人は自分たちがどんなバカな挑戦を挑んでいたのかが分かる。
そんな感じ。
そんなわたしですが、山と同じように、木工でのスプーン作りも謙虚な気持ちにさせられました。
あたしったら小刀一つ満足に持てないじゃないか(笑)。
元の材料
■ 3Dモデラー的能力
スプーンというか、木彫りって3Dの世界です。
最初に切り出した左右非対称のいびつなスプーンの少々情けない様… でも、プロの伊藤さんの手にかかると、輪郭線ではなく面が見えている模様。

この面を落として。この稜線とこの稜線をつないだここの凸が余分だ。この面とあの面をつなぐ第三
の面を作ると美しい。

ふむ~。スプーン作りには3Dモデラーの空間認識力が必要そうです。つまり、山と谷をつないで
地形を正確に認識する力。線ではなく、面とそして厚み(Mass=質量)を瞬時に認識し、
どこをどう削ればスプーンの形状が浮かび上がるか認識する力は、どうも、地図を見て、実際の
地形をリアルに思い描く能力と酷似していそうです。
これをやっていて、むかし小学生のころ、美術では級友たちにかなりの差をつけて
オールタイム美術5であったわたしが、石版に彫る顔の彫像では苦心したことを思いだしました。
むむ。あの、どこから手をつけましょう?的な、途方に暮れ感…。そうだ。これこれ。
■ 出来るようになる喜び
そして道具。なんだかぶきっちょなわたし。 でも、なんだかうれしい☆
大人になると、何か今まで出来なかったことを出来るようになる(例えば、子供がボタンを上手にかけれるようになるとか)というシンプルな喜びがあまりありません。
でも、出来なかったことができるようになるのは、理屈なしにうれしいものです。
思えばバレエもそうだったかもしれません。
たぶん、大人になると、”出来ないこと”そのものの数が少ない。もちろん、上を見ればキリがないので
例えば空中宙返りができるかというとできないのですが、やりたいかというとやりたくないわけですから
そういうのは除外。
でも生きる力とか基本的な道具を操る力とか、あるいはもしかしてピルエットを一回ぴたっと回って
終わる力とか(?笑)、結構大事にしたい能力なのかも?
大人社会では、何かを出来ない、という事態そのものに陥ることも少ないです。
別の知恵がついて、できないなら、別の道具を頼るから。地下鉄が止まっていればタクシーで。
ほんのちょっと面倒なだけで便利グッズを持ち出すのは特に日本人に顕著な傾向。じゃがいもの
皮を包丁でむけなけりゃ、皮むき器で。
というわけで、小刀というシンプルな道具で、なんとかする。ちょっとやりにくいけど
道具に習熟することで、不便を乗り越える。そんなチャレンジを感じました。
これって実は、震災など、文明の利器が使えない緊急のときにとっても役立つ力なんですよね。
ベーシックなサバイバル力。 パソコンは現代人の必修項目でこれはこれで今日を生きる人には
強力な武器であり、見方にしない手はありませんが(特にビンボー人には)ベーシックな力の
対極にはあるように思えますが、実はないです。パソコンって実はものすごく自由度が高く
使いこなせるかどうかは本人しだいの道具なので(笑)。
出来ないことを出来るようになりたい!という何かをマスターしたい気持ち。
分かった!スプーンを作りたいのではなくて、
・3Dをリアルに再現する力
・のこぎりやのみ、小刀を上手に扱うスキル
を身につけたいんだなぁ。木工って、地味な感じでしょう。
でもその実、やっている人の頭の中に起こっていることは超忙しいです。
だいたい、いまどき、自分でやるよりも、機械にやってもらったほうがどんなことだって仕上がりがいいです。例えば編み物だって自分で編んだものより買ってきたもののほうが仕上がりがいい。
そんな中でなんで今さら、手作り?
それは、本来人間が持っていて磨いてきたベーシックな”生きる力”機械が取り上げてしまったから。
高品質低価格なモノと引き換えに人がうしなったチカラ…。
考えてみれば、とっても引き換えに人間が差し出したさまざまな能力を思えば、とっても高くつきましたね。ちょっと前は地頭力がブームでしたが、地頭力も代表的なものかもしれません。
こうした事情が、今を生きる現代人が、生きているようでいてしっかりと生きた現実感が無い、その理由かもしれませんね。
今日はわたしはのこぎりのテクで、たて引き、というのをマスターし、とってもうれしかったです。
早速アマゾンでたて引き用ののこをチェック。こんどホームセンターに行って買ってこよう!

蒔ストーブの音、スプーンを削るのみの音、静かで幸福な時間でした。
小淵沢の節電木工のいとうぐみさんにおじゃまして、スプーンを作っていました。
スプーンを作る。スプーンなんて自分がすくって食べるためのごくごく初歩的な、基本的な道具です。
でも、そんな基本的な道具ひとつ、自分では作ったことが無い現代人のわたし。
うーん、なんか、やばくない??なんだかベーシックなところで。
わたしは昔から『自給自足系』大好きなのですが、都会生活では夢にみるだけで
ほんの初歩的なことも実行に移すことが出来ないので、この分野の興味や関心はながらく
棚上げ状態だったのでした。
山梨ではそこが少しずつ開放されつつあります。例えば山もそうです。
山って、いうのは基本歩くだけの行為です。歩いて行ける最果てまで行ってみよう!
基本、それだけの動機です。
でも実際、人間の歩ける距離は結構あり、人間ってなかなかすごいなぁと思ったりします。
登山道を下から眺めると結構あって、危険な岩場などでなくても、「けっこう人間の歩く力も捨てたもんじゃない」と思います。
下界から、北岳~農鳥までの稜線を見ると、「あそこ、あたし歩いたも~ん」(笑)。
とか、深い意味も無く自信を深めるのは、もしかして、自分の歩く力=生きる力を再確認中なのかな?
でもやっぱり自然の力はすごいなぁ。と思います。そう、人間は自然にはかなわない。
人間が自然を打ち負かそうなんて、傲慢もいいところだ。
アメリカ大陸を初めてみた日本人は自分たちがどんなバカな挑戦を挑んでいたのかが分かる。
そんな感じ。
そんなわたしですが、山と同じように、木工でのスプーン作りも謙虚な気持ちにさせられました。
あたしったら小刀一つ満足に持てないじゃないか(笑)。

■ 3Dモデラー的能力
スプーンというか、木彫りって3Dの世界です。
最初に切り出した左右非対称のいびつなスプーンの少々情けない様… でも、プロの伊藤さんの手にかかると、輪郭線ではなく面が見えている模様。

この面を落として。この稜線とこの稜線をつないだここの凸が余分だ。この面とあの面をつなぐ第三
の面を作ると美しい。

ふむ~。スプーン作りには3Dモデラーの空間認識力が必要そうです。つまり、山と谷をつないで
地形を正確に認識する力。線ではなく、面とそして厚み(Mass=質量)を瞬時に認識し、
どこをどう削ればスプーンの形状が浮かび上がるか認識する力は、どうも、地図を見て、実際の
地形をリアルに思い描く能力と酷似していそうです。
これをやっていて、むかし小学生のころ、美術では級友たちにかなりの差をつけて
オールタイム美術5であったわたしが、石版に彫る顔の彫像では苦心したことを思いだしました。
むむ。あの、どこから手をつけましょう?的な、途方に暮れ感…。そうだ。これこれ。
■ 出来るようになる喜び
そして道具。なんだかぶきっちょなわたし。 でも、なんだかうれしい☆
大人になると、何か今まで出来なかったことを出来るようになる(例えば、子供がボタンを上手にかけれるようになるとか)というシンプルな喜びがあまりありません。
でも、出来なかったことができるようになるのは、理屈なしにうれしいものです。
思えばバレエもそうだったかもしれません。
たぶん、大人になると、”出来ないこと”そのものの数が少ない。もちろん、上を見ればキリがないので
例えば空中宙返りができるかというとできないのですが、やりたいかというとやりたくないわけですから
そういうのは除外。
でも生きる力とか基本的な道具を操る力とか、あるいはもしかしてピルエットを一回ぴたっと回って
終わる力とか(?笑)、結構大事にしたい能力なのかも?
大人社会では、何かを出来ない、という事態そのものに陥ることも少ないです。
別の知恵がついて、できないなら、別の道具を頼るから。地下鉄が止まっていればタクシーで。
ほんのちょっと面倒なだけで便利グッズを持ち出すのは特に日本人に顕著な傾向。じゃがいもの
皮を包丁でむけなけりゃ、皮むき器で。
というわけで、小刀というシンプルな道具で、なんとかする。ちょっとやりにくいけど
道具に習熟することで、不便を乗り越える。そんなチャレンジを感じました。
これって実は、震災など、文明の利器が使えない緊急のときにとっても役立つ力なんですよね。
ベーシックなサバイバル力。 パソコンは現代人の必修項目でこれはこれで今日を生きる人には
強力な武器であり、見方にしない手はありませんが(特にビンボー人には)ベーシックな力の
対極にはあるように思えますが、実はないです。パソコンって実はものすごく自由度が高く
使いこなせるかどうかは本人しだいの道具なので(笑)。
出来ないことを出来るようになりたい!という何かをマスターしたい気持ち。
分かった!スプーンを作りたいのではなくて、
・3Dをリアルに再現する力
・のこぎりやのみ、小刀を上手に扱うスキル
を身につけたいんだなぁ。木工って、地味な感じでしょう。
でもその実、やっている人の頭の中に起こっていることは超忙しいです。
だいたい、いまどき、自分でやるよりも、機械にやってもらったほうがどんなことだって仕上がりがいいです。例えば編み物だって自分で編んだものより買ってきたもののほうが仕上がりがいい。
そんな中でなんで今さら、手作り?
それは、本来人間が持っていて磨いてきたベーシックな”生きる力”機械が取り上げてしまったから。
高品質低価格なモノと引き換えに人がうしなったチカラ…。
考えてみれば、とっても引き換えに人間が差し出したさまざまな能力を思えば、とっても高くつきましたね。ちょっと前は地頭力がブームでしたが、地頭力も代表的なものかもしれません。
こうした事情が、今を生きる現代人が、生きているようでいてしっかりと生きた現実感が無い、その理由かもしれませんね。
今日はわたしはのこぎりのテクで、たて引き、というのをマスターし、とってもうれしかったです。
早速アマゾンでたて引き用ののこをチェック。こんどホームセンターに行って買ってこよう!

蒔ストーブの音、スプーンを削るのみの音、静かで幸福な時間でした。