捻挫と膝痛 正常なアライメントで怪我なく登ろう!

2012-12-08 10:16:48 | 山のアレコレ
■ アライメント

登山では、膝の痛みと捻挫がもっともありふれたトラブルです。

登りたいけど膝が痛い。 はよく聞く話。 

捻挫のほうはハイカットの登山靴を履くことであらかじめ予防できます。

…が、結局は登山靴と言うギプスに頼っているってことを実はもっと自覚すべきかもしれないですね。
地下足袋は足首の固定がないので、昔の人はもっと足首が強かったハズです。

で、私はヨガを教えているので、歩いている人を見るとつい歩き方を見てしまいます。

アライメントが崩れている人がたくさん… アライメントというのは、骨の並びです。

運動を安全に怪我無く行うには、アライメントが正しいことがとても重要です。アライメントが整っていないと、重力があらぬ方角に掛かってしまい、筋肉を痛めたり、筋を痛めたりします。

アライメントの基本は、「骨で立つ」です。 

イメージしていただきたいのは、筋肉が無く、骨だけになった骸骨の自分がきちんと壊れない
ケルンのように積み重なっているかどうかです(笑)

崩れたアライメントの例。捻挫しやすい。お尻はでっちり。腹筋は弱く、太ももは太くなりやすいアライメント。

■ つま先、足首、膝の向きは、同じで!!

一般に、捻挫というのは足首の過伸展です。膝痛は膝の過伸展です。
   
その過伸展はどうして起こるのか? それはもちろん伸展すべきでない箇所に体重が掛かるからですよね。

そして、なぜ伸展すべきでない場所に体重を乗せてしまうか?というと、それは脚のアライメントが崩れているからです。

アライメントというのは日本語で整列。骨の並びです。

私は不思議で仕方がないのですが、登山の健康本などを見ても、
    
       つま先、足首の向きと膝の向きが一致しないといけない、

という歩行の大前提についてほとんど言及されていませんが、一体なぜなのでしょう?

登山は歩行です。基本的には膝の屈伸運動です。山は傾斜面を歩くので、端的に言えばスクワット運動ですね。

で、スクワットで、足首と膝の向きが違うと、どうなるでしょう? 

日本人の立ち方で多いパターンは、男性だとつま先を外に開いた蟹股です。女性はその反対で内股です。

蟹股をそのままに、膝の屈伸運動をすると、どうなるでしょう? 人間の体の構造的に足首の内側、ウチくるぶし側は関節が固く伸びません。ので、足首とつま先は整列されますが、膝はつま先より内側にあるわけです。そこで膝が過伸展されます。つまりこうなると膝の痛みが出ます。

では内股だとどうなるでしょう。 内股で屈伸運動をすると、太ももの前の筋肉、大腿四頭筋に
ものすごく負担がかかり、太ももは反応性の良い筋肉なのですぐに筋肥大してきます。
そして、足首は内側に巻き込んでいるわけですが、足首の外側、外くるぶしは非常に可動域が大きく柔らかいので、すぐに過伸展します…足首の過伸展=捻挫です。

なので蟹股の人は膝痛。 内股の人は捻挫と肥大した大腿四頭筋、ということになります。

まとめると

 蟹股=膝痛
 内股=捻挫

です。一歩一歩つま先を出すときは膝の向きとつま先の向きを一致させる。

これだけで怪我や痛みを避けることができます。蟹股も内股も若いうちは支障が出ません。
なぜなら筋力が勝っていて重力に抗してくれるからです。

けれども筋力が落ちれば、崩れたアライメントの上にある筋や小さな弱い筋肉に負担がのしかかってくることになるのです。

■ハムスを使おう!

歩き方はとても奥が深く、山慣れしたオジサン達を見ているとほんとに上手に歩くわね、と思うのですが・・・

先日は温泉に浸かっていたら下山してきた女性が入ってきたのですが・・・ビックリするほど
体型が壊れていたので気の毒になりました… 脚がかわいそうなほど太く醜かったのです。
私のバレエの先生が見たら失神しそうでした…思わず何とかしてあげたくなりました。 

最近は山ガールが増えていますが、山に登って体型が崩れるなど、女性としてはあってはならないことです!!

登山で使うメインの筋肉と言えば、脚の筋肉です。大腿四頭筋。英語ではクアドといいます。

大腿四頭筋は、全身の筋肉の中で、最も強くて大きい筋肉。代表的な速筋です。

大腿四頭筋は太ももの前の筋肉ですが、人間の体は筋肉の収縮で運動をコントロールしていますから、大腿四頭筋が収縮したとき、伸張される筋肉があります。それがハムストリングスですね。

ハムスと省略して言いますが、ハムスは日本語で何と言うのだろう?あまり聞かない。

とりあえず、

 太ももの表=クアド
 太ももの裏=ハムス

と覚えてください。

余談ですが、山歩きが健康にいいのは肉体の中で一番大きな筋肉を使用するからですね。
人間の老化というものは、言い換えると筋力の喪失のプロセスだからです。山を歩いていると
メインに大腿四頭筋を使うので、老化を遅らせる効果があるわけです。

さて、やっとここまで来て脚の話になるのですが…歩くとき、ハムスを使う。これは疲れない歩き方の鉄則です。

バレリーナはあんなに細いのに直径3センチほどの点に全体重をかけて片足立ちすることができます。

それはなぜか?

それはハムスを使うからです。大腿四頭筋ではなくハムスです。脚を上げるときも、太ももの前の筋肉で持ち上げるのではなく、後ろのハムスで押しているのです。

山なれた人の脚を見ると大抵ハムスと内転筋がとても発達しています。お尻はきゅっと持ち上がりかっこいい。背中もすっと伸びています。

これは山を長く歩こうと思えば、短距離走向きの白筋クアドではなく、長距離走向きのハムスを使うようにならざるを得ないからです。その歩き方が燃焼効率的に最も効率がよく、少ないエネルギーで長時間歩けます。

山は基本、エンデュアランス(持久運動)です。長く細く・・・が旨。太く短くという山を繰り返して、筋力任せに瞬発的な体力で登る山を繰り返していると体型は崩れてムチムチとしてきてしまいます。むろん、そういう山スタイルもありですが…登山も慣れてくると長い時間をお山で過ごしたくなってくるのが通常です…そうなると筋力任せの登り方ではすぐに限界が…

という訳で使う筋肉や体型にも山のスタイルが表れているな、と思う私でした。




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