大阪芸大ジャーナリズム研究会

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この際チェック!ハザードマップ 南河内の災害<地震編>

2024-08-16 17:35:09 | ニュース

 2024年8月8日に宮崎県で震度6弱の揺れを観測した、マグニチュード7.1の地震で、気象庁は南海トラフ地震の想定震源域では大規模地震が発生する可能性がふだんと比べて高まっているとして、注意を呼びかける「臨時情報」を出しました。
 地震の発生から1週間たった8月15日、この呼びかけを終了しましたが、南海トラフ巨大地震が起きる確率は今後30年以内に70パーセントから80パーセントとされ、いつ大規模地震が起きてもおかしくないといわれています。
 いざというとき命を守るために、私たちが学び暮らす大阪南河内の地震被害の可能性をちょっとおさらいしておきましょう。<取材班>

▼海の底で起きることが多い<海溝型の地震>
 
 南海トラフ巨大地震などは、海のプレートと陸のプレートの間や、海のプレート内部で起きる「海溝型」の地震に分類されます。
 下の分布図は、南海トラフ巨大地震発生に<あるモデル>を設定して大阪府内の揺れの予測を地図に当てはめたものです。

(大阪府サイト「第4回南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会 検討資料」2013年10月30日から
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/2473/5_shiryou_3.pdf


  揺れは、地震発生の場所がちょっとずれたり、規模が少し違うだけで変わってきますのであくまで目安ですが、南河内はおおむね「震度6弱から6強」の地域です。
 建物の強度や、その場所の地盤(たとえば、山の硬い地盤か、ため池を埋め立てた地盤かなど)によっても、揺れ方や被害は違ってきます。阪神淡路大震災のときは、細い道を挟んで一方の建物は倒壊、もう一方は無事と言うことがありました。

▼浅いところで起きる<直下型の地震>
 
 こうした海底周辺で起きるタイプの地震以外に、比較的浅い地中にある活断層による地震があります。
 下の地図を見てください。大阪は実はこの活断層に取り囲まれています。
 大阪平野を取り囲む山々は、地震を引き起こす可能性があるのです。また大阪平野の真ん中を南北に走る上町断層帯も直下型地震を引き起こす可能性が高いと指摘されています。

 いずれの地震も南河内への影響は大きく、揺れの想定は震度6弱から震度6強。局地的に震度7の想定もあります。


(画像:「大阪府の断層帯」赤い文字・線が断層帯。政府の地震調査研究推進本部サイトから)

【関連サイト】
大阪府の地震活動の特徴(政府 地震調査研究推進本部サイト)
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_kinki/p27_osaka/

 まず河南町の形を覚えておきましょう(大怪獣ガメラ=1965年大映=が大空を飛ぶ姿を、下から見た時の形に似ています)。北西の突端に、大阪芸大のある東山地区があります。


▼河南町で地震にあったら 大阪芸大も「避難場所」や「避難所」
 
 河南町で地震にあったら、あなたはどう行動しますか?
 大阪府自然災害総合防災対策検討(地震被害想定)報告書(2007年3月)をもとに、河南町は100メートルメッシュで、地震のタイプ別の「ゆれやすさマップ」を作成しています。
 詳しいメッシュ図は、サイトを開いてみてください。
 直下型地震の場合は、震度6弱から震度6強。局地的に震度7が予想された地区もあるのがわかります。



(画像上:上町断層、生駒断層が動いた場合の、河南町の揺れやすさマップ。上町断層がこの想定で動いた場合は、大阪芸大キャンパス付近に赤い「震度7」のメッシュが表示されている。)


(画像上:震度6弱から震度7の体感や被害 河南町サイトから)

【関連サイト】
「河南町 地震揺れやすさマップ」(河南町公式サイト)=https://www.town.kanan.osaka.jp/soshiki/sogoseisakubu/kikikanrishitsu/gyomuannai/1/3/4/1/1244.html

 とりあえず住民が集まる「避難場所(指定緊急避難場所)」には、『大阪芸術大学グラウンド』をはじめ26か所が指定されています。
 また、一定期間滞在する「避難所(指定避難所)」に、『大阪芸術大学総合体育館第1アリーナ』のほか、小中学校や老人集会所、公民館が指定されています。

 余震が続いて、下宿アパートが危険と感じたら、まずはこうした「避難場所」や「避難所」に行って身の安全を確保したうえで、情報収集をしたり、友人の安否を確かめ合ったりして、その後の行動を考えてみましょう。


(画像上:左は一旦身を寄せる「避難場所」。右は一定期間滞在することのできる「避難所」のピクトグラム)

【関連サイト】
「河南町 緊急時の避難場所一覧」(河南町公式サイト)=https://www.town.kanan.osaka.jp/soshiki/sogoseisakubu/kikikanrishitsu/gyomuannai/1/3/3/5004.html


▼怖いのは揺れだけじゃない 建物倒壊、火災、土砂災害、ため池決壊、津波

 地震で恐怖を感じるのは大きな揺れです。
 そして、揺れることで住宅やビルの倒壊が起きる場合もあります。家具が倒れてきたり、梁などが落ちてくると圧死するなどの危険があります。
 建物に閉じ込められたところに、火災や津波が押し寄せるとたちまち命の危険にさらされます。
 また、これまでの地震では、揺れて崖崩れや地滑りが発生するなど、土砂災害も発生しています。
 沿岸や河口付近は津波の危険性があるのはもちろんですが、南河内などの内陸では、ため池が決壊したり、川の流れが塞がってたまった堰き止め湖が決壊したりする危険性もあります。
 大地の揺れでさまざまな現象が引き起こされ、人の命が奪われる可能性がありますます。

【関連サイト】
▽「『中村君はまだ中にいる』 阪神淡路大震災 灘区六甲町の火災」(僕たちの阪神大震災ノート)=http://1995kobe.d.dooo.jp/photo17.html

▽「西宮仁川百合野町の地すべり現場~阪神淡路大震災」(サンテレビ)=https://youtu.be/41AZdcSYhgI?si=exAZfjtMIjV30blO

▽「生活を助ける『ため池』が東日本大震災で決壊」(FNNプライムオンライン)=https://www.fnn.jp/articles/-/143351


▼いざというとき助け合える仲間を

 阪神・淡路大震災のとき、高台の硬い地盤にあった神戸大学 (六甲台地区)の建物はほとんど無事で、多くの学生や市民が身を寄せました。
 学生たち(とりわけ下宿生)は、大学で友人と情報を交換して、引き続き学内の避難所に留まったり、丈夫なマンションの友人宅に集まったり、友人や自分の実家に避難したりしました。
 災害時の学生たちは、避難だけでなく、倒壊下宿からの救出など、学科やゼミの仲間とのつながりに大いに助けられました。
 連絡方法が途絶する災害時。いざというときは、遠くの肉親より、近くの人の力が命を救ったのです。

【関連サイト】阪神・淡路大震災の大学生の体験(神戸大学ニュースネット)
▽「研究室から神戸の街を見ると何本も煙が立ち上っていた 里田明美さん(当時・自然科学研究科修士)の証言」=https://x.gd/YXg0i

▽「落研の後輩の安否確認をして… 落語家・桂吉弥さん(当時・教育学部5年)の証言」=https://x.gd/vtmZ1


◼️地震のタイプ別 大阪南河内はいずれも震度6弱以上

 今回の南海トラフ地震の「臨時情報」を機会に、大阪芸大周辺の南河内にはどのような自然災害があるか、地元自治体や政府の公表しているハザードマップをチェックしてみましょう。

 これらの予測は、あくまでモデルを設定しての値です。モデルと違った地点で地震が発生した場合は、場所によってはこの予想より大きな被害が出ることも考えられます。


□南海トラフ巨大地震で「震度6弱」のエリア

 大阪府では、内閣府が2012年8月に公表した南海トラフ巨大地震による震度分布、液状化可能性等を踏まえ、地盤条件を大阪府独自に作成したものに置き換えて検討しました。
 下記の大阪府のマップを見てください。右下の矢印のところに、(ガメラの形の)河南町があります。
 この想定を見る限り、河南町や富田林市など南河内地区は、山間部を除いてほぼ「震度6弱から6強」のエリアと予想されています。
 震度6弱は、「立っているのが困難な揺れ」で、屋内では、「固定していない家具の大半が移動する」という状況になります。木造家屋は、瓦が落ち、倒れるものも出てきます。窓ガラスの落下など、危険な状態が身の回りに起きます。


(画像上:南海トラフ巨大地震の震度分布の予測。大阪府と内閣府で震度想定は違う 大阪府サイト「第4回南海トラフ巨大地震災害対策等検討部会 検討資料」2013年10月30日から)
https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/2473/5_shiryou_3.pdf


□大阪府は直下型の地震もいろいろ予想されている

 大阪府に被害を及ぼす地震は、こうした太平洋側沖合で発生する地震(南海トラフ地震など)のほかに、主に陸域の浅いところで発生する直下型の地震(中央構造線や上町断層帯、生駒断層帯などで発生)もあります。大阪湾の海底にも活断層が確認されています。
 
▽上町断層帯の震度予想

 上町断層帯は豊中から堺や岸和田まで大阪府を縦断していることがわかっています。南河内を含む大阪府南部も大きな揺れが予想されます。
 上町断層帯地震の今後30年以内の発生は、2〜3%の確率と推定されています。我が国の主な活断層の中では高い確率のグループに属しています。
 南河内の平野部は、予想マップを見るかぎり震度6弱前後の揺れが予想されています。



(画像上:上町断層帯の震度予想。いろいろな想定・解析があるが、いずれも南河内の平野部は「震度6弱」以上のエリアだ。 政府 地震調査研究推進本部サイトから)
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/f080_uemachi/


▽生駒断層帯の震度予想

 生駒断層帯は、大阪府の枚方市から羽曳野市までほぼ南北に延びる全長約38kmの断層帯です。
 南河内は、予想マップを見ると震度6弱・6強前後の揺れが予想されています。


(画像上:生駒断層帯の震度予想 想マップを見ると震度6弱・6強前後の揺れが予想ている。政府 地震調査研究推進本部サイトから)
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/f077_ikoma/


▽中央構造線断層帯の震度予想

 中央構造線断層帯は、南河内のすぐ東側の奈良県境にある金剛山地の東縁から、和歌山県境の和泉山脈の南縁、淡路島、四国北部を横断し、伊予灘、九州の別府湾を経て由布院に達する長大な断層帯です。
 南河内は、予想マップを見ると震度6弱・6強前後の揺れが予想されています。


(画像上:金剛山地の奈良県側である、香芝市から五條市付近までの区間の「金剛山地東縁区間」で中央構造線断層帯が動いた場合の震度予想。南河内でも震度6弱・6強前後の揺れが予想されている。 政府 地震調査研究推進本部サイトから)
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/rs_chuokozosen/


(画像上:和泉山脈南縁のうち、奈良県五條市から和歌山県紀の川市付近までの区間の「五条谷区間」で中央構造線断層帯が動いた場合の震度予想。南河内では震度6弱・6強前後の揺れが予想されている。 政府 地震調査研究推進本部サイトから)
https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/rs_chuokozosen/


 ちなみに、政府 地震調査研究推進本部が公表している全国の活断層の一覧は、下記サイトを参照してください。判明して分析されているだけでこれだけの数です。
 こうしてみると、地震国・日本に住んでいる限り、地震に対する備えは、マストだといえそうです。

【関連サイト】
「全国の内陸の活断層」(政府 地震調査研究推進本部サイト)=https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/