いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

歌人は長命か?

2019-01-04 18:58:40 | 短歌


歌人は長命だ、
と言う説がある。
仕事上、
長命な人として

政治家
画家
歌人

が挙げられることがある。
政治家は、
あらゆることに備えがあり、
神経が太くないとできない仕事なので、
長命。
画家は、
自ら思うことを作品を作ることを通して
ストレス発散できるから
長命だ、
というのだ。

では、
歌人は?

そもそも、
短歌を作っても、
それだけで食う、なんてとんでもないことである。
与謝野晶子の「みだれ髪」
俵万智の「サラダ記念日」
のような大ヒットは、
100年に1回である。
多くの歌人は、
生業を営みつつ歌をつくるのである。
したがって、
歌を作るために
すべてを擲つ、など、夢のようなことなのである。
しかるに、
短歌をつくるゆえに、
こまごまとした感情を表現してしまうので、ストレスが軽減される、
というのが、
その根拠である。

果たしてそう断定できるのかどうか、微妙である。

あなたの見解はいかがですか?

歌集「行け帰ることなく」~春日井建~

2019-01-04 18:32:05 | 短歌


春日井建は、
短歌でデビューしたのち、
ドラマ台本、
ディスクジョッキー
テレビ出演、
と、
八面六臂の活躍をした。
同時代の寺山修司の存在も意識していたろう。
昭和55年、
31歳の時、
第2歌集「行け帰ることなく」
を出版した時、
歌との別れを宣言する。
しかし、
のち、
歌壇に復帰することになる。
一端、断筆することになったときに出した歌集
「行け帰ることなく」は、
痛ましさを帯びた歌集だと言われる。
この歌集から、
4首取り上げる。

‥‥‥

悲しみを問へ問へ問へと笛の音いつしかも鬼は舞ひ狂いたり

この祭はかなしみ多し雪が疾り鬼が裸体であることなども

女を抱けば水兵きみには海霧に潰れし視野より暗からむ視野

革命よりガラスの玉を愛すれば生きのびて寒し市民ケーンも

二十世紀なしと歌人佐藤佐太郎

2019-01-04 13:52:38 | 短歌


梨の実の二十世紀といふあはれわが余生さへそのうちにあり

‥‥‥


新品種「二十世紀」梨は1888年に発見された。

1909年生まれの歌人佐藤佐太郎は、
斎藤茂吉の弟子である。
自分の人生が20世紀のうちに尽きることを思いながら、
70歳前後の頃に冒頭の歌を詠んだ。
実際、20世紀のうちに人生を終えた。
1987年、78歳でこの世を去ったのである。
激動の20世紀を深々と振り返っている。
ごく身近な二十世紀梨をとおし、
彼の20世紀における生を重ねて
歌ったと思われる。