河野裕子と永田和宏は、
オシドリ夫婦として有名であった。
刺激しあい、支えあって、
40年の間に、
妻から夫に500首、
夫から妻に450首が
捧げられている。
そして、
永田が逝ってから、
河野が生き抜いたうえ、
2人で天国で暮らそう、
と誓い合っていたのである。
ところが、
河野が54歳で乳がんを発病し、
64歳で早逝してしまった。
このような経緯から、
多くの逸話、歌集が生まれた。
62歳で乳がんは再発した。
乳癌の再発は、余命を著しく縮める。
あと2年、とふまれた。
次に示す3首は、
死を前に静謐な気持ちでつくられた。
心をうたれる。
……
大事なのはお母さんでゐること山茶花よご飯を作りお帰りといふ
泣くのなんかやめてしまった筈なのに十歳の櫂を抱きしめる ああ生きたい
元気ならば生きゐることは楽しからむ烏だってさうだこゑなき分けて
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