いい日旅立ち

日常のふとした気づき、温かいエピソードの紹介に努めます。

名歌鑑賞㉔~森のように獣のように~河野裕子

2019-04-17 08:53:35 | 短歌


河野裕子は、
多くの弟子、ファンに
「裕子ちゃん」と呼ばれ、親しまれた。

のちに夫となる永田和宏と恋仲であったとき
詠った次の歌は、
若い女性の新しい恋、新しい歌の先駆けとなった。

……

夕闇の桜花の記憶と重なりてはじめて聞きし君が血のおと

夕闇に咲く満開の桜。それは、はなやかでなまめかしく、同時にはかない。
抱き合って訊いた恋人の血の音、心臓の鼓動が思い出される。

……

河野裕子が短歌の世界に登場したのは、
昭和40年代の半ばである。
学園紛争がピークを過ぎ、
当時の学生たちは、
徐々に新しい価値観を模索し始めていた。
戦後の新しい時代の登場が待ち望まれていた。
河野裕子は、この「桜花の記憶」などの歌によって、
その旗手となったのである。

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