■パンカップ店主の昭和的こころ 「三角ベースボール」

アラカン・パンカップ店主の昭和的こころの復活記◇昭和の時代・日本の伝統を見直しませんか?!

佐々紅華「寄居小唄」と「玉淀小唄」元譜

2012-05-05 16:23:15 | 再発見 佐々紅華の会

【パンカップ店主 5/13のイベント】
昭和6年頃の正喜橋(しょうきばし・寄居・埼玉)
当時吊り橋だった正喜橋、ヨイトマケの唄が聞こえてくる。のどかな昭和初頭の寄居風景。

こんななか寄居駅に務めていた十九歳の金子貳次(かねこたかつぐ/金子虹かねこにじ)という石川啄木を心から愛する文学青年と佐々紅華との出会いがある。寄居小唄という舞踊小唄の作詞が金子虹によるもの。
 まさに昭和の寄居風景だ。13番まであるがレコード吹き込みは1. 2. 3. 13. となっています。十九歳の青年に...しては「よく出来過ぎている」ということで「盗作」ではないかといわれたという。※彼は武町(うちの町内/寄居・埼玉)の鳥羽家に婿に入ったが昭和39年に54歳で亡くなった。夫人とよさんは平成18年に94歳で亡くなったが、お元気な時に古い冊子をワープロで打ちなおすよう頼まれた。手書きの文で、継ぎはぎをして書き直された個所もある。「寄居小唄」であった。昭和20年頃東京より疎開していた画家 安井曾太郎に鳥羽家自慢の手打ちうどんをご馳走するといったら、紋付はかま姿で現れたとか。巨匠らしい振る舞いに思わず笑いがこみ上げてきた。ちなみに金子虹の実家は俳人 金子兜太の本家と聞いた。  

 
        寄居小唄 
  金子虹作詞 佐々紅華作曲


色はうす紅 玉淀さくら 霞む日ごとの 水かがみ
まわる日傘に ほろほろと さても愛しい 花が散る

桑の雫に 白粉といて 夢のよにひく 眉の墨
紺の蛇の目が ちらほらと 水の玉淀 夕時雨

思ひかけはし よりゐに桟けて 君と逢瀬が ままならば
川を隔てた 西ひがし 泣いて苦労は せぬものを

城は鉢形 御城下町に 昔 鳴らした 意地もある
思いきるまい 心なら せめて二度咲け 山つつじ

君が来ぬ日は 鐘撞堂の 峯の朝ぎり 雨となる
恋のあま沼 瀬の水に ざんざ降れ降れ なみだ雨

小鮎躍るか 城下あらし 水が散る散る 銀の珠
よりゐ舞妓が ふりそでに サッと棹きる 鮎漁船

河鹿なけなけ 月夜の岸を 波の砕ける 岩陰に
白い素足が ほんのりと 露の笹原 とぶ蛍

朝も早よから 工場の煙は 繭が生糸に なるけむり
花の都の はで好み 一つ語ろか よりゐ絹

吹くよ秋風 雀の宮の 松の梢の 夕ぐれは 
チロロ チロロと なく虫に むせぶ川瀬も 身にしみる

高根山裾 紅葉の寺は 藤田、北條の 墓どころ
金襴どんすの 絵巻物 昔偲べと 松のかぜ

茸は松茸 羅漢寺山の 秋のみのりの ほどのよさ
鳥も帰るか 山越えて 風が泣くよな 鐘の音

君は一すじ 頼みの綱よ 妾しゃ 吊り橋 正喜橋
そぞろ歩きの 象ヶ鼻 月が二人の 縁むすび

よりゐ良いとこ 秩父の山が 雪の化粧(けはい)の しなのよさ
娘まけるな 紅つけて しゃんとすませよ ミス・ヨリヰ


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