les 60 ans

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  (60歳を前にして 日々思うこと つれづれに:改題)
 小型AT二輪免許とその周辺の話

小型AT限定二輪免許の話 (016) 「車校 entracte(001)」

2022-07-24 20:39:31 | バイク

 

 私は昭和時代に多くの教育をうけた人間です.テキストというものは本,あるいは印刷された配布物であることが刷り込まれている世代です.

 今回の教習にあたって,第一段階半ばの時点で,書店で「小型二輪AT限定免許」の本を探しました.みつかりません.「原付(50cc)」,「二種免許」あるいは「高齢者教習用テキスト/試験問題」は売っています.もうすぐ必要です.しかし「二輪免許」だけでなく「普通車(四論)免許」のテキストもみられません.

 世代の違いを感じます.高齢者教習を受ける方々,あるいはある程度の年齢になって「二種免許(普通/大型)」をとるかたは,令和時代のいまでも印刷された本というものが頼りでしょう.ネット/SNSですべてを理解できる若い方には理解できない存在でしょう.

 わたしは本を探すほうの世代です.しかし電子書籍はまだ対応できます.しかし家のPCです.スマホで見る電子書籍の文字は小さく,スワイプ/ピンチさせると今度は画面に見える文字数が少なくなります.タブレット端末は,私の年代では片手で持つには重いのです. 紙の本がいいのです.

 売っていません.紙に印刷された「二輪車教習」の本を実店舗では売っていません.ネット書店で在庫がありました.「普通二輪免許パーフェクトBOOK(小型限定二輪普通免許 AT限定普通二輪免許完全対応」(日本文芸社2015初版 2021年3刷)です.後半の「小型」「AT」という言葉を信じて買いました.届いてから気が付いたのは「小型AT限定」とは書いてないことです.

 しかし私のようなオールドタイマーには「写真」がたくさんある「紙の本」は信頼できるものです.教習に通い始めてからYouTubeの関連映像は見ています.しかしまだそれを理解できるレベルに達していませんでした,車校の教本,それと今回入手した本で学びます.イメージトレーニングです.

 前述の通り車校の小型二輪AT限定免許,教習の第一段階が終了しました.次回からは「本当の道を,ほかの車両とともに法規に従って走っていく」段階になります.何度も繰り返しますが,私が今持っている免許は「中型8t MT ゴールド」です.40年持っています.公道の走り方,法規やマナーは理解しています.しかし今は「二輪」というパラレルワールドに挑むことになるのです,

 これから「炎の八日間」が始まります 衣装はいつもと同じです.厚い長袖とカーディガン.厚いコーデュロイパンツとワークマンのひざ靴下.NBのスニーカーです(いずれも黒ではありません).車校の走路はコンクリートであり,赤銅色ではありません.マシンは車校にあるものであり,空から降ってきたりしません.免許証には「運転条件:メガネ等」とはあります.(何度もいいますが,それがどうしたというのでしょうか)


小型AT限定二輪免許の話 (015) 「車校 第一段階 みきわめ E」

2022-07-23 20:39:10 | バイク

 

 仕事を早退しての教習です.

 この時期にしてはめずらしい青空と白い積乱雲.気温も含めて夏の陽気です.しかし教習時間半ばで黒雲がわきおこってきました.ジェットのヘルメットをかぶっている自分にも遠くの雷音が聞こえてくるような気がする,そんな黒雲です.

 指導員から「集合所に戻ります」という指示です.私は指導員の二輪車のあとをついていくだけのヒヨコですので,そのまま戻っていきます.ほかのそれぞれのグループも順次,二輪車教習生の集合場所,すなわち二輪車がたくさん置いてある屋根の下に戻ってきます.」

 10人ほどの教習生全員が戻ってきたところで激しい夕立が降り始めました.まさに滝のような雨です.60年の人生経験上30分ほどで止む雨だと思われますが,そのころには既定の教習時間は終わっています.指導員があつまって相談しています.教習生はヘルメットとグローブをしたまま待っています.

 審判員の協議が終わって審判長の説明があります.違います.前頭筆頭クラスの重量のリード125教習車のわきで,指導員のなかのリーダー格の方が教習生に説明します.後で知ったのですが,この方は数少ない「技能検定員」という卒業検定を行う方なのです.本当にこの方には繰り返し厳しく/なおかつ丁寧に指導いただきました.ありがとうございます.

 技能検定員「これから雨合羽をきてもらいます.建物で着替えてください カッパの上からゼッケンをつけてください」

 指導員と教習生はまとまって行動しなければならない約束ごとがあります.10人強の教習生がぞろぞろと二輪校舎に戻って着替えます.その間約10分.教習の時間が短くなります.

 雨は小やみになってきましたが,傘なしで歩くのはつらい程度の降雨です.指導員「ではまた私のあとをついてきてください」 

 初めて雨に濡れた走路を走ります.二輪専用コースではなく,「試験のコース」をもう一度走ります.腕時計を見ると,残された時間はわずかです.とにかくS字.雨の中のクランクや坂道を走っていきます.

 ふたたび二輪車教習生コースの集合場所に戻ります.どうやら今日の教習はこれで終わりのようです.指導員「では降りてください」 規定に従って後方確認,キーを切る,スタンドをかけて,ハンドルを左に曲げます.

 指導員「おつかれさまです.@@@さんは次,二段階の最初のシミュレータですので.ヘルメットはいりません.靴とグローブは同じもので来てください」

 ...いいの? これで第一段階を終わりにして? 書かなかったのですが「左足を出して止まる」は何とかできるようになっていたのです.松の木にむけての発進は,何回も急発進を繰り返していたのですが,止まるほうは降雨の前に形ができてきていました.

 事故を起こさないために停まる.これができているということでしょうか.ポジティブに考えます.

 入校時に「22,000円余計に払って」卒業までの日程を組んだことは前述しています.基本的に1日1時間であることも配慮です.

 次回の教習から怒涛の8日間が始まります.第二段階と卒業検定の「炎の8日間」です.私の運転免許の条件は「中型車は8t車に限る」のほかに「眼鏡(メガネ)」があります.(だからどうだというのだ)

 


小型AT限定二輪免許の話 (014) 「車校 第一段階 みきわめ D」

2022-07-22 22:05:15 | バイク

 

 人というものは,なにか夢中になるとほかのことを忘れます.

 落語では「三道楽煩悩(さんどらぼんのう)」という言い方をして,「酒」「女」「博打」の三つを挙げています.仕事もまわりもすべて放り出して夢中になってしまうこと.

 これは男性の視点です.「女」を「男」に変えると,令和時代のいまならホストにいれあげてしまう方.「酒」は仕事や生活のトラブルから逃げるためにのめりこんでしまう方.いずれもあるでしょう.

 「博打」:勝負事に夢中になってしまうのはどうでしょうか.二輪車にのるのだ,という意思は一つのバクチかもしれません.乗れなくても生きていけます.むしろ四輪車免許のほうが実利的です.二輪教習に10万円単位の費用を払って得られるものはなんなのでしょうか.

 それでも二輪車乗りは,二輪車教習生はハンドルを両手で握って,前だけを見て進んでいくのです.今の私がそうです.

 本来仕事がある日なのですが,早退して 17:00という時間の教習を受けます.普通二輪免許を持っている若いヤツが理解を示してくれて協力してくれました.彼にとっても「60歳前で二輪の免許」というのは驚きでしょう.今日は駅からタクシーにのります.青空です.季節外れの夏のような雲が多く見られます.

 第一段階.みきわめの2時間目です.前回「発進」と「停止」ができないのでもう一時間教習です.そのそも,乗りものを操縦するのに「走り始める」と「止まる」ができない.というのは基礎とかいうもの以前のものです.この現実を真摯に受け止めます.

 衣装はいつも通り.厚手のコーデェロイパンツとワークマンのひざ靴下.NBのスニーカー.厚手の長袖シャツです.

 教習前に免許証の裏表確認があります.今回10人ほどいる教習生の誰も持っていないであろう「中型8tMT ゴールド」です.でもそんな過去の栄光は何の役にも立ちません.今の還暦前のジジイに何ができるかだけが要求されるのです.外資系企業の人事評価のようなものです.

 いつもどおり,手足のストレッチです. 体を動かしてあたためてから,自分の名前が呼ばれていつものリード125のわきに行きます.不思議なもので,3回目となると車体が自分を待っていてくれるような気がします.前頭筆頭の重量のマシンが.自分との出稽古を待ってくれているのです.二輪車乗りには「車体と自分が一体化した」というような表現がありますが,それに近づいているのでしょうか.

 そんなわけはない.

 いつも通り,二輪車コースを指導員に従って何回か回ります.そのあとで外周を含めて本コースを走ります.このころに気が付いたのですが,指導員は必ず同じコースを走ります.そのあとを追ってどこで指示器を出すか.どの位置で曲がるかを気にしていたのは前述しています.現段階では指導員は二輪校舎のモニターにある「検定コース 1」をいつもはしっているのです.今の時点では.

 いつも. 今の段階でコースを覚えていくことは重要です.

  二輪専用コースに戻って,スラロームです.小型二輪ですがスラロームです.やはりできません.ただ「できない」というレベルが前よりはマシになったような気がします.そのあと一本橋(平均台)です.スラローム,一本橋.これを繰り返します.実車3時間目では信じられないことですが,一本橋で2回に1回は成功できるようになりました.走り抜けてしまうのを含めてです.ただS字同様に「なぜ自分が成功しているのか」がわかりません.

 気が付くと暗く陰っています.黒雲が空を覆い,明らかに雷や夕立が近いことを示しています.

 指導員「集合所に全員もどってください」 私の小型から,本コースの大型二輪教習生まで全員が二輪車教習生集合所:これは検定等で使う「開始」「終了」のポールのわきです:に戻ってきます.あっというまに黒雲から激しい夕立が降ってきました.

 雨のなかの教習になるのでしょうか.

 

 

 


小型AT限定二輪免許の話 (013) 「車校 第一段階 みきわめ C」

2022-07-21 21:45:47 | バイク

 

 車校での小型AT限定二輪免許教習の話は,まだ第一段階のみきわめです.それも3回目に突入です.どうして,こうモタモタと進んでいくのでしょう.

 それはまさに,私の教習の進み方と歩調をあわせて書いているからです,ゆっくりです.決してのんびりではありません.アドレナリン最大分泌です.しかしわきを走り抜けていく大型二輪教習車のように早く,力強くは進みません.千里の道も足下から.指導員に従って,あとをふらつきながら,時に急発進しながら,コースを外れない努力をしてついていくだけです.

 まさに親鳥の後を行く「ヒヨコ」です. 還暦のヒヨコ.

 第一段階のみきわめ,最後の10分ほどは,再び松の木のほうです.松の木にむかって,指導員の通りに,発進,数メートル走って停止.これを繰り返して松の木に向かって行きます.

 指導員「左足を出すとバランスがとれてしっかり停まれますよ」.それが私にはできないのはなぜ? 卒業までの実車教習の期間中にいつも自問自答しています.「なぜできないのだろう?」

 卒業後に改めて思うと,「年のせい」で「なれるのに時間がかかる」,さらには「自分の体が,いまどういう状態(体勢,位置)であるかがわかっていない」のです.リード125にまたがるだけで精一杯なのです.急発進と急制動の繰り返しです.前々回にも書きましたように,松の木は「急制動」試験の発進位置の近くです.松の木までの直線で急制動のまねごとをしても仕方がありません.

 指導員のあとについて松の木を回ります.そのあとパイロンを曲がって,逆向きに松の木を回ります.いわば半径の大きな「8の字」です.スラローム,波状路同様に小型ATでも訓練するのです.この繰り返しですが,3回目くらいにはなんとか指導員のコース通りに走れるようになってきます.一時間目に本コースのS字をなんとか走れた私です.先ほどの「慣れ」がここででてきます.

 指導員のあとを走り続けます.通るときに初めて気が付いたのですが,砂利をコンクリートで固めた一角があります.指導員はその上を走っていきます.私もそのあとをついていきます.

 「@@@@@@」 本日2回目,15分の間に2度目の衝撃です.波状路でよく転ばなかった,と思っていたのですが,この「丸い」「すべる」石の上というのは尋常なものではありません.前頭筆頭たるリード125に小手投げで倒される恐怖を感じます. しかしなんとか通り抜けます.しかし指導員はパイロンを曲がって,再び砂利の上を走ります.再び砂利の上.前回よりはまだなんとか対応が出きました.

 二輪車でオフロードを走る,というのは大昔からあることで,その目的で作られているバイクは数多く見られます.私が取得を目指しているAT125でもハンターカブという車種があり,ここで引用を繰り返している小説「スーパーカブ」にも登場しています.しかし実際の世界では雨の日,非舗装の道路など悪条件の道を時速60km走ることができる(無理しないように),その技術が必要なのです.それを実感します.マンホール,波状路,砂利道.よくできている順番です.

 ここで50分が終了です. 待機場所へ帰ります.

 指導員「おつかれさまでした」  紅潮した循環器系と,思うように動かない手足と,うまく操作できないでへこんでいる神経でできた59歳がここにいます.

 指導員「@@@さん.次の教習の2段階は本当の道路を想定して走る訓練なんですが,まだ発進と停止に問題があります.もう一時間乗ってもらえますか?」 文法上は疑問形でですが,実際は命令です.

 本音ではガッカリです.しかし校内で事故を起こさない,人に迷惑をかけないということを自分に誓って入校した自分です.「ありがとうごさいます.もう一時間乗ります」声が上ずっているのは疲労からくるものだけではありません.

 指導員「では,受付で予約の手続きをしてください」 教習原簿をもらって,二輪コースから二輪の建物へ戻り,ゼッケンとプロテクターをはずし,ヘルメットをいれた布袋をもって受付に戻ります.

 予約は自動式です.初めて自分で操作するので,受付の方が教えてくれます.ちなみに後日の2回目以降(予想していました)の予約は自分で行いました.

 二輪車の教習は「教習の順番」があり,学科教習のように「すきなところから」「飛ばして」というわけにはいきまん. 私は卒業までの予約が全部入っているので・次の「2段階1時間目」の前に「1段階みきわめ」を予約する必要があります.混んでいて空きがなく.仕事を半日休むことにして予約を取ります.

 今日は時間を待って駅までのバスに乗ります.歩く気力がありません.

 

 


小型AT限定二輪免許の話 (012) 「車校 第一段階 みきわめ B」

2022-07-20 18:17:05 | バイク

 

 いま車校で胸を貸してもらっているのは,前頭筆頭に相当する重量のホンダ・リード125教習仕様です.なかなかこちらの考え通りには動いてくれません.

 それでも外周ではしっかり走ってくれます.坂道でも,急発進のクセは治りませんが後退はしません.申し分のない稽古相手です.

 1段階みきわめの後半は,二輪車コースを中心に走ります.前回同様,周回して,ポールのところで止まります.そのあとで平均台(一本橋)です.正しい名称は「直線狭路コース」というのだそうです.教本には「平均台(一本橋)」とあります.二輪の教習には独特の言葉が多くあり,60年近く生きていても知らない言葉が出てきます.例えば「立ちゴケ」,この「一本橋」「アクセルをあける」等.不思議なことに一度聞いてすぐにその意味が理解できます.二輪車乗りに脈々と伝わっている言葉なのでしょう.わたしはいまその仲間に入っているのです.この年齢で.

 「一本橋」. 教本では 1.線で一時停止  2.左右確認  3.やや速めの速度で乗る  4.ハンドルを左右に動かしながら進む とあります. 

  1と2はできます.当たり前です. 自転車に50年以上乗っているのです. 乗れなくてもできることです. 

  3はうまくいきません.「速くのる」と後輪がそもそも台の上に乗りません.ゆっくり行くと3mくらいで前輪から落ちていきます. 4などはまぼろしの世界です. パートナーの教習生も,私と同様に落ちている様子がうかがえます.

  4回目くらいで初めて走り切ることができました.一本橋は15mです.半分くらいのところで前輪が落ちそうになったので,思い切ってアクセルを「開けて」走り抜けました.3秒かかっていないでしょう.前頭筆頭をわずか3秒の電車道で倒しています.

  審査では「小型は5秒以上」です.あちこちに書かれているように「落ちるくらいなら走り抜けろ」.これを実践したのです(もちろん意識してではありません).ちなみにこの車校では一本橋の向こう側に大きなクッションが立っています.走り抜けても安心です.私はちゃんと止まりました.左右を確認して発進です.

 指導員「ではスラロームを走ってください」  私は小型ATです.でもお稽古です.指導員の後に従って,少し右,大きく左,大きく右,大きく左 を繰り返します.嘘です.やはりできません.パイロンにぶつかる,倒す,大きく膨らんでスラロームコースから外れます. 何回かスラロームコースを走りますが,一番良かった時で「パイロンに2度触った」というレベルです.指導員がATのハンドル操作だけで走っていることが不思議です.

 では「私のあとをまた走ってください」  指導員は「波状路」を斜めに横切っていきます.私もその通りに走ります.後で知りましたが,波状路の波の高さは5cmです.玄関のちょっとした敷居の高さです.前輪がのります.

  「@@@@@@@」恐ろしいほどの揺れです.斜めに走るので後輪がやはり違う揺れ方をします.シミュレータのマンホールのレベルではありません.逆にあのマンホールの経験が生きています.5cmの高さが二輪車にとってこれほどの脅威になるとは知りませんでした.

 今日の波状路はこれだけです.この時間の残りは,また発進,停止,整地されていない道での走行と続くのです.