第33回紅葉自然観察会の様子をお伝えしようと思います。
前日の駒ヶ岳登山から引き続き参加されている方もいれば、自然観察会のみ参加の方もいらっしゃいました。今日は田苗代湿原~岳岱自然観察教育林~太良橋とのこと。
自然観察会は藤田公紀さんがメインガイドを務めました。
快晴です。たぶん前日よりも良いくらい。朝は気温が下がって寒かったですが、出発の9時頃には温かくなっていました。
昨日も通った道を再び走りますが、見落としていたポイントもチラホラ。この間の雨で山肌が崩れてしまったそうです。
ほかにも、森林鉄道が通っていた時の橋なども教えてもらいました。
太良鉱山には最盛期は250人(だったかな?)いたそうです。白神山地周辺では青森県側にあった鉱山には2000人いたそうです。
この日も3班に分かれて行動しました。私は大森さんがガイドを務める2班。2班のメンバーは皆さん前日の登山も参加した面々でした。
大森さんは、
道端の雑草は雑草と言わず、道草といいましょう。道草を覚えながらみちくさすれば、もっと野山が楽しくなる。とおっしゃっていました。
フキノトウというと雪解けの春をイメージしますが、今から準備しているんだそうです。
見分け方の分かる方々は感心しきりでしたが、私にはどれのことなのか・・・。
この日は前日に続いて天気も良く、ツアーもたくさん計画されていたようです。ガイド協会の方々もフル稼働で、田苗代湿原だけでも何人と出会ったことやら。
ユリの仲間だった気がします。秋というと赤い実が真っ先に思い浮かびますが、真っ黒。
中が空洞になって、皮がギュッと巻き込みを見せている、典型的なラムズホーン。
前日の筋肉痛など感じていないのか、足取り軽く進む2班メンバー。興味津々に話に耳を傾けていました。
大森さんの山野の知識は豊富で、他の班の方々ははるか先に進んでいますが、私たちはじっくり山野草を見ながらです。
大森さんがふたつの枝を鋏で切ってくれ、ちょっとかじってみてくださいと配り始めました。
右がクロモジ(と、なんだったかな~)。ちょっと斑点みたいなのがついていました。ミントみたいな、爽やかな香りが。殺菌効果があるようです。
湿原エリアに到着しました。昨日より天気がいい!
キンコウカなども見ることができました。尾瀬には「アヤメ平」と呼ばれる場所があるそうですが、実は咲いているのはキンコウカなんだそうです。アヤメと似ているため間違ったみたいです。
キノコもたくさん。
山の植物は3年分のエネルギーを蓄えているそうで、これは来年咲いて
こっちは再来年咲くそうです。
この日もビデオカメラで熊撮影の方々がいらっしゃいました。双眼鏡片手に遠くの木々を見ていて、何かが動いたような気がするとのことでした!
コシアブラ
油を漉したから、コシアブラだそうです。
田苗代湿原を発ち、岳岱へ。到着して間もなく昼ご飯となりました。食事中もたくさんの方が目の前を通り過ぎていきました。白神山地は今が旬ですね。
食事後、約1時間半かけて教育林の中を散策します。
400年ブナ~モリアオガエルの池~湧き水~千手ブナといったコース
大森さんが持っているのはミゾソバという植物。
葉っぱの形がウシに似ていることから別名、ウシノヒタイというそうです。
ほかにも、ヌルヌルしたウナギも掴めそうなくらいザラザラした茎をもつ、その名も「ウナギツカミ」なんていう植物もありました(笑)
ブナの葉っぱにも特徴があるそうで、
葉っぱの縁のくぼんでいるところに側脈が伸び、縁まで達するのはブナだけなんだそうです(実際には縁の直前でちょっとカーブしてる)。
フキを使ったコップの作り方も披露してもらいました。
葉の裏に小さな粒々が付いているホシダ
400年ブナにたどり着くまでも足元には見どころ満載でした。
久しぶりに見た森の巨人、400年ブナ
実は先日の強風で、ここから数十メートルの場所を突風が通過し、大木が軒並み倒れてしまったそうです。奇跡的に助かったのです。
樹上にできたギャップに向かい、細い木々が左に曲がりながら伸びていました。
もうしばらくは、この姿を見ることができそうです。
モリアオガエルの池に向かう途中、大森さんが指さしたブナの木。幹を黒い線が縦に走っていました。
ブナは幹に水分が集まるような姿をしているそうで、雨が降ると葉っぱについた水分が幹を伝って流れ下ちるそうです。なので、あの黒い線を樹幹流というそうです。
岳岱は岩の上に成長した木々が多くみられますが、これは風雨などの浸食作用によって周りの地面が削り落ちて岩が露出してしまった結果なのだそうです。この辺りはもっと降水量が多かったことが分かっているそうです。
また、多く見られる岩は噴石ではなく、山が崩れたことによるものだそうです。
なんとなくですが、川か何かが流れていたかのように地面がくぼんでいる気がしないでも。
表面にびっしりキノコが生えた幹も!
湧き水の場所まで到着しました。成分を調べてもらったら最高の軟水だ!とお墨付きをもらったとのこと。冷たくておいしいです。
湧き水の近くにはロープが張られた地点がありました。この辺りはブナの一生を観察できる貴重なエリア。
幹に生えたコケ
大森さんの身長の2倍近くのところから上にコケが見えますが
あそこまで冬は積雪するためとのことでした。
キノコがびっしり!
ツキヨタケだったかな。毒キノコですね。
切り株を利用したテーブルと、背もたれまでついた木のイス。こんなところでコーヒーとか飲んでたら気持ちいいだろうなぁ。
倒木によってできたのか、林間ギャップから見える青空。
途中で、ブナの実をいただきました。アーモンドみたいな感じでした。
三角形をしていましたが、帰りのバスでの藤田さんの話だと、三辺がちょっと内側に湾曲していて、今年は栄養がちょっと足りないそうです。豊富だと三辺が外側に向かって膨らんでくるそうです。
千手ブナ
コブがたくさん生えた木
シーサーとクマが見えますか?
岳岱を後にしてから太良橋に向かいました。橋にはひらがなと漢字で両側にプレートが付けられていて、理由があるそうです。参加者全員で橋を歩いて渡ってみました。
町
「太良橋」
|
| 橋
|
「だいらばし」
山
漢字は、その方向に町などの集落があるんだとか。昔の人は山を抜けて町へ向かうときの目印にしていたそうです。
橋の秘密を聞いてからバスに乗り込み、藤里館へと戻りました。到着すると、午後3時。セグウェイの体験やツェルトカフェなど、白神ウィーク関連のイベントにギリギリ間に合いました。
ツェルトの説明を聞いた時、テントや寝袋は畳めば500mlペットボトル大の大きさになると教えてもらいました。思った以上にコンパクト!
でも、スノーシューなど本格的な登山用品を揃えるとなると、どれも5万円前後するという・・・。
白神山地の奥は落葉が始まっているようでしたが、里山はこれからが見ごろです。
峨瓏の滝や田中の大イチョウ、不動の滝などなど、世界遺産25周年を体感してみてはいかがでしょうか。
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