エッセイと虚構と+α

日記やエッセイや小説などをたまに更新しています。随時リニューアルしています。拙文ですが暇つぶしになれば幸いです。

日記(2013年6月3日月曜日)

2013-06-04 03:38:21 | 日記
そういえばこのgooBlogを始めたばかりの頃は日記を書くことを主にしていたけれど、最近はあまり書かなくなったかもしれない。
2013年も6月になりなんとか32歳になれそうな感じがしてきた。
今年1番の驚きは何度もブログの記事内で書いているが、村上春樹さんの小説が面白かったということだ。これは去年アイドリング!!!に深くのめり込んだ事よりもより大きな衝撃だった。
大きな視点で考えるなら30代(といってもまだ20代後半の気分だが)になり、アイドルの応援やよく話題になる村上春樹さんの小説といういわゆる一般的な趣味が自分の中で芽生えてきているということかもしれない。

そもそもぼくはいままでJPOPでも洋楽でも、そのロックバンドやアーティストのLIVEというものに行ったことがなく、また本も偏ったものしか読んでこなかった。
中学か高校から流行り物はあえて避けてきたし、2002年の日本開催のW杯ではどうしてもその波に乗れず他所の国で開催して欲しいとさえ思っていたくらいだ。
行ったことのあるLIVEといえばかなりマニアックなサブカルチャー的なもので回数も少ない。本も心理学系や思想やエッセイばかり読んでいて読書の王道である小説はあまり読んできていない。その小説の日本での1番人気の村上春樹さんにはあまり良いイメージがなかったし、ノルウェイの森が松山ケンイチと菊地凛子と水原希子で映画化された3年くらい前に文庫で買ってきて読んだが上巻の半ばで読むのをやめてしまった。映画はDVDがレンタルになってから見て原作が読めなかった物語を補完した。いい映画でもあった。

今日は喫茶店シャノアールに行ってきました。その後、部屋の机の上で書き溜めている中編の79~81枚目を書いた。400字詰・原稿用紙を3枚書いたことになる。中編の100枚を目指しているけれどあと19枚書かなくてはならなく、2013年6月30日〆切の文学界新人賞への挑戦は取り敢えず見送りということになるわけです。
中編小説を書き始めたのが4月の始め頃なのでまあ次の2013年12月末の〆切の文学界新人賞(秋シーズン)を目指すのが妥当だと思われる。
前の記事で来年に持ち越しと諦めたという表現は一応の訂正ということになる。やはり今年の文学界新人賞に挑戦するという事は変わらずでもそれが6月30日〆切から12月末の〆切に変更しただけであり、それはむしろいい事であった。まず原稿用紙100枚を手書きで仕上げたとして、パソコンに打つ作業が結構大変で、それにその作業をしながら100枚の中編小説の内容を削ったり、足したり推敲する。それによって完成を目指すわけで、手書きやつをパソコンに清書しながら綺麗に整えていくことをあと半年かけてやって行く訳です。その作業はあと25日足らずでは確実に出来ないので6ヶ月ははじめからかけるのが妥当であった。
たとえばもしそれをしてもうまくいかないということもある。その場合こそ来年に持ちこしということになる。
文学界新人賞の選考委員の名だたる作家さん達の(吉田修一さん、角田光代さん、花村萬月さんなどなど・・・)選評を読んで思わず震え上がったのも事実。小説というより文学はやはり魔道なのだなということが新人賞・該当作品なしの選評を読んで骨身に染みた。到底無理そうな気がしてきたのだが、エベレストでも登らないことには先の風景も見えないような気がしてきて無理そうだからこそ、11月には書き上げて送付して玉砕してみたいという根っからのぼくの中のマゾヒシズムが疼いた。
やはり6月30日のあと25日後に送付は性急過ぎるので、どうせ玉砕するならばBestな中編小説の文章で玉砕してみたい。そのためには6月中には雨がしとしとと降る中取り敢えず手書きで、原稿用紙100枚を最後まで書き切ることをしなくてはならない。
ようするにあと19枚なのだ。
19枚手書きで原稿用紙を書きさえすればあとはプラモデルを組み立てるように小説を構築していけばいいのではないかと考えている。100枚の中編小説の原稿はいわばその部品を取り敢えず書き出して並べたということになるのかもしれない。
しかし81枚は手書きでも書いた。あと19枚だけだと思いすぐに書けると思っていたしいるのだが、これがなかなか進まない。もしかしたら創作とはそういうものなのかもしれない。
なんにせよ100枚という目標の残り、19枚を書ききらないことにはすっきりしない。今日3枚書けたのだから単純計算であと6日で、ようするに6月10日にはなんとか達することが出来ると思う。
しかしもし風邪を引いたらそれは延びてまた筆が止まればやはり延びる。
とにもかくにもこうなったのなら根性しかないような気もしてきたわけです。
まぁでも梅雨の季節にまったりと読書と音楽鑑賞とアイドル応援をしながらなんとか下書きの100枚を書き上げます。
書いて半年かけて編集して11月には送付して玉砕してみたいと思っておりますm(_ _)m☆♪!

まぁ12歳頃からなんらかの小説の新人賞には挑戦したいと思ってきたので、やっとそのレースに参加出来るだけでも光栄かな。(といってもあと19枚書かないことには余裕はもっていられない)
奇しくも30歳を越えてから、アイドルの応援への参加、ベストセラー村上春樹小説ブームへの参加が出来て、その流れで小説の新人賞の参加が出来るようになった。なんともありがたいことである。
最近何かと話題のオリンピックの参加することに意義があるという言葉は誰が言ったのか知らないけれど含蓄のあるものなのだと感じる。
挑戦と再チャレンジはぼくのようなブレやすい優柔不断な男にとっては人生の醍醐味なのかもしれない。
受験は夏が勝負と中学3年の時のSAPIXという塾の英語の青野先生は言っていた。そして賽は投げられたとも。また何かを得るには何かを犠牲にしなくてはならないとも。ぼくは学校の先生とはほとんど関わりなく過ごしたけれど塾のその英語の青野先生からはたくさん直のアドバイスを頂いた。
それを17年振りに思い出して2013年の7月~9月という夏はまたもや書くことを頑張っちゃおうと思った(@_@)☆♪!
SAPIXの青野先生ありがとう!
また頑張ります。
今度は着せられた目標に向かってではなく自らが選んだ目標に向かって。それで玉砕するならば誰も責めることは出来ないぶんなんだかスッキリしていて爽やかでいいかもしれない。
でもその自分が選べる目標に向かえるのも最初の目標を着せてくれた親のお陰であることは間違いないし、いまもそうなのだ。
だから玉砕した後は久しぶりに馴れない親孝行をしてみようかとも思っていますm(_ _)m! あくまで予定は未定ということで(@_@)☆♪!

今日の日記 以上でしたm(_ _)m☆!
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自分のペースを取り戻したい(@_@)☆♪!

2013-06-01 12:20:46 | エッセイ
今年は村上春樹さんについて考えることと三宅ひとみちゃん・ひぃちゃんについて考えることに集中しよう。

半分は過ぎてあと夏と秋と冬は村上春樹さんの小説を読むことと三宅ひとみちゃん・ひぃちゃんの応援に当てよう。それがいまのぼくにとって1番有効な時間の使い方のような気がした。

いまの状況だと文学賞に原稿を送ってもはたして本当に届くのかという疑問がある。昨年ある詩の出版社に送ったはずのメールが全く別の場所に届いてしまったということがあったようだ。

村上春樹さんの1Q84はやはり名作だった。とにかく面白い。

文学の新人賞は来年以降に持ち越しです。
Blogに書ければいいかな。

最近は村上春樹さんの小説を読むことが楽しくて、それは書くことよりも楽しい。それにキリスト教とかについての本を読むことが面白い。まぁそれもいつまで興味が続くかわからないけれど。

とにかく最近というか5月になってから書くことよりも読むことが楽しくなってきた。6月はより読むことを楽しみたいな。

たくさんの小説や本を読むことはぼくには出来ないけれど、少ない読書を楽しむことはできる。
村上春樹さんを読まず嫌いからどちらかというとファンになってしまったのは今年の大きな収穫だ。もうすぐ32歳である。

ひぃちゃんのその美しい姿をBlogが更新されるのを楽しみに待ち、目の保養や生きる糧や働くモチベーションにしている人がたくさんいることを知った。それは何物にも変え難い貴重なものでありネットワークであり、一種の小さなコミュニティーのようなものなのかもしれない。
それはアイドリング!!!という番組、グループ全体に関しても言えることなのかもしれない。

ひぃちゃんなりのできることをできる範囲でやればきっといいのだと思い、
ぼく自身も、ぼくなりのできることをできる範囲でやるしかないと思った。

ゆえに新人賞への投稿は辞めたんだ。

Blogの更新を優先します。たぶん・・。 インターネットはまだまだ未知なものだし市民権も得ていないけれど、やはりインターネット世代のデジタル小僧(@_@)!としては相性が良いのです。

もっと心を自由にしてみたい。先への保険や貯蓄がうてなくても。
笑われたり傷つけられることは辛いし苦しいし嫌だけれど、慣れてきたこともあるし、でもやはり腹が立つときもある。喜怒哀楽があってこその人間だと思うし、ぼくはそれをうまくまだまだコントロールしなくてはならない。

でももっとたくさんの人が互いに喜怒哀楽を流動的に交換しあえればもっと社会やご近所や職場や学校の雰囲気は絶対に良くなるはず。
斎藤孝教授も本で書いていたからたぶんそんな気がした。

わたくしは(@_@)!なによりも感情のコントロールとにもかくにも「怒」の抑制とコントロールを何よりも今年は心がけて「怒」をなるべくしないように気をつけていきたいです(@_@)!
不必要な「怒」でいままでたくさん損をしてきたので喜怒哀楽のバランスがとれるようになりたいものです。
なかなか難しい。だから信仰というものがあるのかもしれない。
学術的にキリスト教を読んでいるだけで教会などには行っていないけれど、大きな存在に依り生きたいと思いキリスト教は全ての人に開かれているし、そこから学べるものを学ぶことが必要なのかもしれないと「怒」をむやみにたまに表してしまう私自身の感情の抑制とコントロールのために村上春樹さんとプラスαの食わず嫌いであったものを見直してみることが32歳そしてこれから歳をもっととってそれなりに生きていくためには必要なのかもしれないと思った。

気分屋でわがままなのでまたコロコロと考えが変わってしまうのだけれど、その度にまた立ち戻ることを反復運動して推進力に変えていけたら、痩せることができるかもしれない。

(@_@)!とりあえず以上です
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エセ探偵小説

2013-06-01 12:08:36 | 小説
住宅街にほど近い通りに点在する雑居ビルの一角にオフィスを構えるナチュラルシェイドという探偵事務所にはオーナーの田辺68歳と43歳の宮下隆俊と、大手の探偵事業グループが開設している専門学校を卒業したばかりの坂野智美24歳しかいなかった。
坂野は高校卒業以後ずっとフリーターをしていたが2年前に、海外ミステリーを読んだことによりハードボイルドの世界への憧憬が膨らみ過ぎて探偵の養成所とでも言うべきような専門学校へ貯めていたアルバイト代全額をはたいて入学し無事に卒業した。そしてここにやってきた。

1階が中華料理店である3階建てのビルはJR御徒町駅が最寄り駅の古びた造りであった。内装などはお洒落にしたが、外観はいたって普通というか寂れている。昭和風味という言葉が適当であろうか。
その2階にナチュラルシェイドは存在していた。カタカナの事務所名と外観はいささか不釣り合いな物であった。

探偵事務所と聞けばミステリーやハードボイルドという非日常の響きがするのだが、そこでは犬や猫やウサギや鳥や爬虫類まで失踪してしまったペットや動物の調査・発見を専門としていた。たまに浮気調査や盗聴器などの発見などのどこでもがそうしている探偵事業もするが、失踪してしまったペットの調査・発見が事業の8割以上を占めていた。
オーナーの田辺が長年動物園に勤めていたことがその理由といっても過言ではなかったが、隙間産業としての他事務所との差別化の狙いもあったのだ。

首都高を宮下隆俊が運転するホンダのフィットが青空の下を走っていく。
助手席には失踪した犬の案件の資料が入ったクリアファイルを見ている坂野智美がいる。
首都高を降りて三軒茶屋に到着すると適当な駐車場を見つけてホンダのフィットをそこに停めた。車から降りると宮下隆俊は歩き出した。
クリアファイルを手に持ちながら坂野智美も宮下隆俊の少し後ろを歩く。
オーナーの田辺から電話が掛かってきた。宮下は携帯に出る。
「新しい情報が加わった。探すべきはポメラニアンの5才の♂そして茶色の毛並み、好物は鳥のササミ、あまり人懐っこくはないという事が依頼主からの基本情報であったが、背中の毛の真ん中あたりに10円ハゲがあるという事だ。実際には10円玉よりは大きいらしいが500円玉よりは小さい円形脱毛らしい。以上が依頼主からの追加連絡だ」
田辺の年齢よりかは若い声に
「了解」とだけ応え宮下は電話を切って携帯をスーツの胸ポケットに仕舞う。
坂野はクリアファイルの中の資料にその情報をペンでメモした。そして
「失踪の出発点いわば依頼主の家があるのは中目黒の駅近くの場所。そして飼い主がよく散歩していたコースは三軒茶屋方面。その駅付近までくると鳥のササミを与えることが多かったという・・」と資料を読み上げ宮下の背中を見る。
「そう、だからいま三軒茶屋を私たちは歩いている」と宮下は坂野に言った。坂野は「たしかにそうかもしれません・・・」と首を傾げながらも頷いた。

宮下も坂野もポメラニアンを見つけようとそれなりに気を配って歩いていたが、目にする事が出来たのは飼い主により紐でつながれている犬だけだった。
とりあえず休憩として宮下と坂野はコンビニの冷房で涼んだ。
ヘルシアを宮下はレジに持っていき店員に
「この辺に野良犬がいるという噂を聞きませんか?」と尋ねる。
店員は「存じ上げません」と言うと
ピッとバーコードを読み込んだ。宮下は一瞬たじろいだがすぐに体裁を立て直した。明智小五郎はこんなことで動揺するはずがないのだ。

コンビニの前で坂野はヘルシアを飲む宮下に「足で噂を聞いて探すだけで見つかるのですかね?」と言う。
「いままでそうして19年間やってきた。何匹ものペットを飼い主の元へと還らせた」と宮下はフチなしの眼鏡をキラリと光らせて、坂野の目を見ることもなく言うとペットボトルをゴミ箱に捨てまた歩き出した。坂野ははたして大丈夫だろうかという冷や汗を背中に感じ先を行く宮下のあとをついて行った。

6月の梅雨時とはいえもうほとんど夏だ。蒸し暑さに行方知れずのポメラニアンも動きを遅くしているはずだ。宮下はそう思いコンビニの袋を下げ歩いた。中には鳥のささみが入っている。猫用の物しか置いてなかったがそんなことを気にしていたらハードボイルドなんてやっていられないと、宮下は事務所の神棚の横に飾るようにして並べてある江戸川乱歩全集に想いを馳せる。

三軒茶屋をうろちょろと2人で探し回るのでは埒が明かないことに気付いて宮下と坂野は自衛隊の駐屯地の周りををそれぞれ手分けして行方の知れぬポメラニアンを探すことにした。
はじめからそうするべきなのになんだかな~と坂野は思ったが、押し黙り何を考えているかのよくわからない宮下の方を振り返りもせずに駐屯地の壁に沿いながら中目黒方面へと行く。

一方、宮下はハードボイルドにキメたと思っていたアルマーニのスーツの下にはびっしょりと汗をかいていた。坂野という女性の新入探偵が事務所に半年前に来た時からどう話しをしていいか全くわからなかった。
彼にとっての探偵としてのハードボイルド雰囲気はそんな女性にな臆病な自らを覆う為の隠れ蓑にしか過ぎないものになってしまっていたのだ。
1人で探偵の実務をこなしていた時はハードボイルドな心象風景にただ落ち着かせていれば失踪したペットは自然と見つかった。数人の近隣の住民に野良犬や野良猫の噂を聴き込みして、あとは彼らの好物を明智小五郎になりきって閃いた場所に置く。ただそれだけだった。神棚の横の江戸川乱歩全集をその度に宮下は拝んだ。
自衛隊の駐屯地の壁はそんなに長く作られていた訳ではなく宮下の行く手をすぐに未開の土地へと放った。
外国製のクールビズはあまり風の通しが効いていないように思えた。

坂野は駐屯地をだいぶ離れて中目黒の方へと行くと電柱下に丸くなり寝そべっている茶色の犬を見つけた。驚かさないように近付く。背中に10円玉よりはだいぶ大きくなった円形脱毛があった。さらに近付いて持ち上げようと手を腹の下に入れようとした。背中に円形脱毛がある茶色のポメラニアンはギャッと吠えて立ち上がると一目散に中目黒とは反対方面のいままで坂野があるいてきた道を走っていってしまった。ちくしょうと心の中で坂野は思い携帯電話を宮下に掛けた。
「なかなか見つからないな。そっちはどうだ!?」と疲れているが悠長な宮下の声がした。坂野はせっかく見つけたポメラニアンを取り逃がしたことも合間ってイラッとして
「自衛隊の駐屯地方面にポメラニアンが走っています」と語気を強めて言った。
「見つけちゃったのか・・・」と宮下は残念そうに言ったが手元の鳥のササミをとりあえず開けて駐屯地方面へと急いだ。坂野は電話を切り携帯をバッグにしまうとポメラニアンを追った。

自衛隊の駐屯地の門の前まで来て宮下は明智小五郎と江戸川乱歩全集を思い浮かべた。そして鳥のササミの開いた缶をアスファルトの地面に置いた。そこで腕を組み、ハードボイルドを意識して立ち尽くしていた。空気は静まりかえって時が止まっているようにさえ感じた。

3分後舌を出してハァハァと息を切らせながら、チャカチャカと道路を走る茶色のポメラニアンと「待て~」と言いながらそれを追う必死の形相の坂野が怒涛に、自衛隊の駐屯地前の立ち尽くしている宮下に向かって走ってきた。宮下の足元には鳥のササミの缶が置いてある。
ポメラニアンは鳥のササミの缶を蹴飛ばすとそのまま先へと行ってしまった。坂野は宮下の前で膝に両手をつき肩で息をしている。
「大丈夫か!?」と宮下は混乱していたが精一杯のハードボイルドな声で坂野に声をかけた。
「大丈夫なわけないでしょ」と坂野は苦しそうに言った。
宮下は鳥のササミの缶を拾うと
「事務所に帰ろう・・・」と坂野に言い駐車場へと歩き出した。
坂野はハードボイルドなんて読まなきゃ良かったと思って宮下の少し丸まった背中を見ながら歩いた。
その日はホンダのフィットで事務所まで帰った。宮下は田辺にポメラニアン取り逃がしましたと言い神棚の横の江戸川乱歩全集を改めて拝んだ。
田辺は「そうかまぁそんなこともあるよな」と落ち込む宮下と坂野に言った。坂野はポメラニアンを取り逃がした苛立ちが収まってきていた。そして家に帰ると本棚のエドガー・アラン・ポー全集から1冊とってソファーに座り読んだ。ハードボイルドの世界はやっぱり面白いとクスッと笑った。

宮下はアパートに帰るなりスーツを脱いでシャワーを浴びた。そして出ると発泡酒を呑んでいた。携帯の着信が鳴る。それをとると
「あぁあのポメラニアン依頼主の中目黒の家に帰ってきたって」と田辺の元気な声がした。宮下はTシャツにボクサーパンツでソファーに座ってまた一口発泡酒を呑んだ。そして明智小五郎を思い浮かべて、ハードボイルドってやつは難しいなぁとため息をついた。

それから失踪したペット捜索の主導権は坂野が持ち、宮下隆俊は19年目にしてペット捜索探偵業務の下働きに戻った。最初に田辺の元でそうしていたように。
宮下隆俊はハツラツと探偵業務をこなす坂野智美の姿を見つめながら、笑顔で「やれやれ」とつぶやく日々を幸せに思い江戸川乱歩全集と明智小五郎と田辺に感謝した。



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