1998年 アメリカ映画
10年位前に見て、今回2度目。とにかくエンディングが衝撃的で、いつかもう一度見てみようと思っていた作品。2回目ということもあって物語の概要は大体覚えていたし、今回は俳優たちの細かな演技を堪能できました。
物語の舞台はアメリカ。高校生だったデレクは、黒人に父親を殺されたことをきっかけに、異常なまでに人種差別主義に傾倒していく。ある日自分の車を盗もうとした黒人を殺害し、刑務所に3年間服役。その間弟のダニーは、デレクが所属していた白人至上主義集団に属し、ヒトラーを敬愛。兄の姿を追い求め、尊敬していたからこそ彼を真似たはずだったが、出所したデレクは全くの別人になっていた。
主演はエドワード・ノートン。弟役にエドワード・ファーロング。エドワード・ノートンを初めて見たのは、リチャード・ギアと共演した『真実の行方』。このときの役も衝撃だったわ。そして抜群に演技がうまくて、役柄の特徴を演じ分けられるのよね。演じられる役柄が幅広いだけでなく、同じ人物の中のいろんな側面を明確に表現できる。調べてみてわかったけど、この『真実の行方』が彼の映画デビュー作で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたそう。あの演技なら、納得よ。演技力の高さから、芸歴長いんだろうなと思っていたけど、映画デビューが1996年。この『アメリカン・ヒストリーX』が1998年だから、デビュー2年目であの存在感と演技力かぁ。あそこまで様々な役を演じきれる俳優って、なかなかいないわ。
彼本人の顔の作りは「優男」だと思うのだけど、それこそ今回のアメリカン・ヒストリーXで演じたDerekのような優男とは正反対の男も演じているし、それに違和感が全く無い。この映画の中だけでも1人の人物の3つの表情を、もう見事としか言いようの無いほどに演じ分けていて、その怪物振りには脱帽です。服役前・出所後、そしてデレクの高校生時代もエドワード・ノートン自身が演じているんだけど、そのシーンを初めて見たときは「似てるけど、いやー、若い俳優を使ってるんだな」と思ったほど。高校生役さえも違和感が無いの。なんかすごすぎて、すごい以外の言葉が出てこないくらい。黒人を殺害した後の彼の瞳孔の開いた「イッちゃってる」表情の恐ろしいこと!!!
そしてエドワード・ファーロング!最近見ないわよね。ターミネーター2で一気に知名度を上げて、当時は日本の女子中高生の間でもアイドルとして大人気だったのを覚えてるわ。彼がカップヌードルだったかインスタント・ラーメンの日本のCM(ホットヌードルでした)に出てたのを覚えてる方、います?それに、日本語でCDなんかも出しちゃったりして。同じクラスの同級生の女の子、買ってたもん。私はなんか恐ろしくて聴けなかったけど。ターミネーター2のあとしばらくして彼の姿を見たのが、今回のこの作品。彼も、ただ見てくれがいいというだけではなくて、演技がうまいし雰囲気があるというのを再確認しました。10代の男の子なんだけど、若さや初々しさではなく何処と無く陰りがあり、それと同時に透明感もある。アイドルはアイドルなんだけど、独特だったなぁと思う。最近は映画に出てるのかしら?最近の彼を見たことがないので今はどうなのかわからないけど、子役として本当にうまかったなぁ、としみじみ思うわ。
この映画を見ながら、思い出した映画が2本。『This is England』そして『クラッシュ』。10代の子供をある種「洗脳する」と言う意味で、ダニーが白人至上主義に傾倒していく様が、『This is…』の少年・・・に。『クラッシュ』はこのブログに感想をあげていないけど、こちらもアメリカの人種差別の負の連鎖を描いた作品です。これもものすごく衝撃的な映画で、私の感想を一言で言うなら「Helpless」。救いようが無い。映画が悪いとかそういうことではなくて、描いている内容がね。映画としてはいい作品です。でも何度も見たくはない。
話を今回の作品に戻して…。デレクがあれほどまでに人種差別主義に傾倒していったきっかけは彼の父親の死なのだけど、そうなっていったのは家族の中で彼だけなのね。そこにはやっぱり理由があるのね。アメリカの人種差別問題の根深さ。映画の中ではさらっと触れられているんだけど、その「さらっ」とほんの短いシーンの中に、その根深さがしっかりと描かれていて印象的です。刑務所の中の人間関係、「ああ、どの世界も一緒なんだ」と妙に納得させられたり。デレクは素直で、利害関係のためにその主義に走ったわけではないからこそ、深く深くそこにはまり込んでしまった。3年間も待っていたデレクの彼女の、彼に対する態度の豹変振り(理由はデレクが変ってしまったからなんだけど)は、その主義を主張する集団の「浅はかさ」がよく表現されているように思います。
そうそう、同じ集団に属しているふとっちょがいるんだけど、彼って『タイタンズを忘れない』に出てた彼かしら?どうやらEthan Suplee(イーサン・サプリー)と言う俳優さんだそう。タイタンズでは黒人差別が当たり前の時代に、誰よりも早く黒人チームメイト(アメフト)と打ち解ける役柄なのよね。間逆の役どころで面白いです。
おすすめ:☆☆☆☆★
10年位前に見て、今回2度目。とにかくエンディングが衝撃的で、いつかもう一度見てみようと思っていた作品。2回目ということもあって物語の概要は大体覚えていたし、今回は俳優たちの細かな演技を堪能できました。
物語の舞台はアメリカ。高校生だったデレクは、黒人に父親を殺されたことをきっかけに、異常なまでに人種差別主義に傾倒していく。ある日自分の車を盗もうとした黒人を殺害し、刑務所に3年間服役。その間弟のダニーは、デレクが所属していた白人至上主義集団に属し、ヒトラーを敬愛。兄の姿を追い求め、尊敬していたからこそ彼を真似たはずだったが、出所したデレクは全くの別人になっていた。
主演はエドワード・ノートン。弟役にエドワード・ファーロング。エドワード・ノートンを初めて見たのは、リチャード・ギアと共演した『真実の行方』。このときの役も衝撃だったわ。そして抜群に演技がうまくて、役柄の特徴を演じ分けられるのよね。演じられる役柄が幅広いだけでなく、同じ人物の中のいろんな側面を明確に表現できる。調べてみてわかったけど、この『真実の行方』が彼の映画デビュー作で、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされたそう。あの演技なら、納得よ。演技力の高さから、芸歴長いんだろうなと思っていたけど、映画デビューが1996年。この『アメリカン・ヒストリーX』が1998年だから、デビュー2年目であの存在感と演技力かぁ。あそこまで様々な役を演じきれる俳優って、なかなかいないわ。
彼本人の顔の作りは「優男」だと思うのだけど、それこそ今回のアメリカン・ヒストリーXで演じたDerekのような優男とは正反対の男も演じているし、それに違和感が全く無い。この映画の中だけでも1人の人物の3つの表情を、もう見事としか言いようの無いほどに演じ分けていて、その怪物振りには脱帽です。服役前・出所後、そしてデレクの高校生時代もエドワード・ノートン自身が演じているんだけど、そのシーンを初めて見たときは「似てるけど、いやー、若い俳優を使ってるんだな」と思ったほど。高校生役さえも違和感が無いの。なんかすごすぎて、すごい以外の言葉が出てこないくらい。黒人を殺害した後の彼の瞳孔の開いた「イッちゃってる」表情の恐ろしいこと!!!
そしてエドワード・ファーロング!最近見ないわよね。ターミネーター2で一気に知名度を上げて、当時は日本の女子中高生の間でもアイドルとして大人気だったのを覚えてるわ。彼がカップヌードルだったかインスタント・ラーメンの日本のCM(ホットヌードルでした)に出てたのを覚えてる方、います?それに、日本語でCDなんかも出しちゃったりして。同じクラスの同級生の女の子、買ってたもん。私はなんか恐ろしくて聴けなかったけど。ターミネーター2のあとしばらくして彼の姿を見たのが、今回のこの作品。彼も、ただ見てくれがいいというだけではなくて、演技がうまいし雰囲気があるというのを再確認しました。10代の男の子なんだけど、若さや初々しさではなく何処と無く陰りがあり、それと同時に透明感もある。アイドルはアイドルなんだけど、独特だったなぁと思う。最近は映画に出てるのかしら?最近の彼を見たことがないので今はどうなのかわからないけど、子役として本当にうまかったなぁ、としみじみ思うわ。
この映画を見ながら、思い出した映画が2本。『This is England』そして『クラッシュ』。10代の子供をある種「洗脳する」と言う意味で、ダニーが白人至上主義に傾倒していく様が、『This is…』の少年・・・に。『クラッシュ』はこのブログに感想をあげていないけど、こちらもアメリカの人種差別の負の連鎖を描いた作品です。これもものすごく衝撃的な映画で、私の感想を一言で言うなら「Helpless」。救いようが無い。映画が悪いとかそういうことではなくて、描いている内容がね。映画としてはいい作品です。でも何度も見たくはない。
話を今回の作品に戻して…。デレクがあれほどまでに人種差別主義に傾倒していったきっかけは彼の父親の死なのだけど、そうなっていったのは家族の中で彼だけなのね。そこにはやっぱり理由があるのね。アメリカの人種差別問題の根深さ。映画の中ではさらっと触れられているんだけど、その「さらっ」とほんの短いシーンの中に、その根深さがしっかりと描かれていて印象的です。刑務所の中の人間関係、「ああ、どの世界も一緒なんだ」と妙に納得させられたり。デレクは素直で、利害関係のためにその主義に走ったわけではないからこそ、深く深くそこにはまり込んでしまった。3年間も待っていたデレクの彼女の、彼に対する態度の豹変振り(理由はデレクが変ってしまったからなんだけど)は、その主義を主張する集団の「浅はかさ」がよく表現されているように思います。
そうそう、同じ集団に属しているふとっちょがいるんだけど、彼って『タイタンズを忘れない』に出てた彼かしら?どうやらEthan Suplee(イーサン・サプリー)と言う俳優さんだそう。タイタンズでは黒人差別が当たり前の時代に、誰よりも早く黒人チームメイト(アメフト)と打ち解ける役柄なのよね。間逆の役どころで面白いです。
おすすめ:☆☆☆☆★