こんにちは。だんだん春の兆しがあちこちで見られるようになってきましたね。
今日は「がらくた学級の奇跡」という絵本をご紹介したいと思います。
パトリシア・ポラッコ作 入江 訳
小峰書店:2016年6月23日初版
新しい学校でむかえる新学期、トリシャはわくわくしていた。
小さいころから識字障がい(現在ではLDと言ったほうがわかりやすいかもしれません)を抱えているトリシャは、1年限定で、父親が住む
場所(夏休みはこちらで過ごす)にそのまま残り、こちらの学校に通うことが許された。
「ここでは 私がやっと字が読めるようになったばかりだということは誰も知らない・・・私が特別学級にいたことを誰も知らない!!」
「誰も私のことをからかったりはしないだろう。。。。」と思っていたのだった。
ところが、ここでも「がらくた学級」と呼ばれる特別クラスに入れられたのだった。
落ち込むトリシャだったが、あたたかいクラスメイトと担任のピーターソン先生に迎えられる。
担任のピーターソン先生は「がらくた学級学級にようこそ!!」とあいさつをした。
同じ班になった仲間とは日々の生活の中でともにいろいろな体験をし、絆を深めていく。
がらくた学級の子どもたちは、みんな個性的だった。
いろいろな心無い人たちの言葉や態度に傷つきながら、それでも仲間と共に頑張って乗り越えていく。
ある日、先生に「先生がどんなに元気づけてくれたって、ぼくたちはどうせがらくた学級の子なんだ。ぼくたちはくずなんだ、がらくた
なんだよ。まわりはみんなそう思っているんだ」
と仲間の一人が言った時、先生は「それは違う!!、あなたたちひとりひとりが、私の大切な宝物なのよ!・・・」
がらくた置き場がほんとうはどんなところか、あなたたち気づいてないの?」
「すばらしい可能性に満ちた場所なのよ!」と言い、みんなをがらくた置き場に連れ出した。
そして、みんなにここにあるものを使って、新しいものを作る提案をする。
クラスのみんなは班ごとにいろいろなものを集め、「新しいもの」作りに励む
さて・・・トリシャの班は何を作ろうとしたのでしょう?
班の仲間はそれぞれ得意な事を活かしながら新しいものの作成に夢中になる。
途中いろいろな出来事があるが、暖かいピーターソン先生やそれぞれの家族の支えもあり、
トリシャと班の仲間はそれらを乗り越え・・・とうとう・・・夢の実現の日を迎える。
この絵本はパトリシア・ポラッコさんの自伝的絵本で3部作の1冊のような絵本です。
主人公のトリシャはパトリシアなのです。
今でいう「特別支援学級の先生」であるピーターソン先生は、クラスの子どもたち一人一人の持って生まれた能力と可能性を信じ、暖かく指導しています。
絵本の最初に 「ピーターソン先生とわたしたちの班が起こした奇跡に捧ぐ」 と書いてあります。
指導者が子どもたちの能力と可能性をひたすら信じ、それが子どもたちに通じているからこそ、まっすぐに夢に向かって励むことができたのかな?と感じました。
班のメンバーそれぞれの心の底からの目標が一致し、一人一人の力が結束され、大きな力となり、奇跡が起こった!?ように感じました。
対人援助職に携わっている人に一番必要なこと・・・・
それは、何より 対象者の「能力と可能性を心から信じることができること」なのではないかと思っています。
対人・・・に限らず 他の生き物や「物」「こと」についても同じことが言えるのかな?とも思います。
自分が関わる「こと」や「物」や他の生き物に対して、それらが持つ「力と可能性」を信じること・・・
そして、対象から発するものによく耳を澄まし・・・対話をする(口での会話だけではなく心の対話も含めて)
それがやがて・・・大きな力を生み出すような気がしてなりません。
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