葛西紀明が優勝した。TVh杯。競技界ではそれなりの権威を持つ大会だ。もし若い人が聞いたら何でそんなにニュースなの? ところで、それ誰? くらいに思うかもしれないが、日本のスキー・ジャンプを支えてきた51歳だ。国内大会での優勝は22年以来2シーズンぶり、50代では初となる。1回目125メートルで4位。2回目は130・5メートルと伸ばして優勝した。表彰台の中央に立ち「やっと戻ってきました」と笑顔を見せた。
葛西は少年時代から天才と称され、16歳で日本代表入り、19歳でアルベールビルオリンピックに出場した。ツアー戦であるW杯では17勝を挙げている「レジェンド」だ。
長野オリンピックでは、代表に選ばれながらも団体戦の4人には選ばれなかった。同僚選手に「落ちろ、落ちろ」と思ったこともあると聞いた。
その時のエース原田雅彦は引退し、船木和喜は現役を続けながらも独自の道を行く。
それぞれの人生だが、葛西は競技を極めようとし続けた。そしてこの優勝。オレはうれしい。テレビ中継があっただけに、見ればよかったと後悔している。
ともあれ、すぐにW杯の日本大会もあるそうだが、ぜひご健闘してほしい。