歴史が古い日本の温泉で、日本三古湯(にほんさんことう)と呼ばれるものがあります。
これには2つの説があり、
書紀、風土記に登場する三古湯、道後温泉(愛媛県)、有馬温泉(兵庫県)、白浜温泉(和歌山県)と延喜式神名帳に基づく三古湯、道後温泉、有馬温泉、いわき湯本温泉(福島県)です。
愛媛県の道後温泉は、そのどちらにも挙げられていおり、歴史は古く、三千年の歴史があるといわれています。始まりは、足に傷を負った白鷺が岩間から湧き出る湯に足を浸していた所、何日か後には、すっかり傷が癒え飛び立っていったという事を見ていた人々が傷を癒した温泉「熟田津の温泉(にきたつのゆ)」がその後の「道後温泉」となっていったということです。後世、この伝説を記念し、鷺石と称する石を置き、現在は道後温泉駅前の放生園に移され、保存されています。
水口酒造の仁喜多津の銘は、「仁愛と喜び多き津渡」の意を込めて誕生した道後の地酒ですが、
万葉集 第一巻 8番歌 額田王の歌の「にきたつ」からといわれています。
『熟田津に船乗りせむと月待てば
潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな』
(にぎたつに ふなのりせむと つきまてば
しほもかなひぬ いまはこぎいでな)
熟田津で 船出しようと 月の出を待って いると
潮も幸い満ちて来た さあ今こそ 漕ぎ出そうぞ
この歌は、661 年(斉明 7 年)に、唐・新羅軍の攻撃を受け、滅亡に瀕した百済国救済のため、救援軍は 難波津(大阪)を出発し、1月14 日に伊予国 熟田津の石湯の行宮に立ち寄ります。伊予で軍備、水軍力の確保強化を終え、満を辞して熟田津から九州の娜大津(現在の博多港)に向けて軍船団が出航する際に額田王が斉明天皇に代わり、渾身の力を込めて鼓舞するために、この歌を詠んだといわれています。
仁喜多津 大吟醸酒
酒造好適米「山田錦」を35%まで磨き上げ、仕込み水には熟田津の良水 を使用しました。フルーティーな味わいと、独特の立ち香、含み香のある大吟醸ならではの華やかな味わいが特徴です。一世紀以上に渡る歴史の中で育まれてきた蔵人の技が生きる逸品です。
歴史ある温泉町唯一の日本酒の銘柄には、歴史ある有縁があるのですね。
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