武田酒造さんは、愛媛県東部の西条市にあります。
この地は、道前平野が広がり、北は瀬戸内海に面し、南は西日本最高峰の石鎚山(標高1,982m)を中心とする石鎚連峰を背にし、瀬戸内海地方特有の温暖な気候に恵まれています。特に石鎚山は、約1330年前に修験道の開祖である役小角が開いたとされ、多くの修験道者が修行し、長く女人禁制でした。また、信仰の拠点となる石鎚神社、前神寺、極楽寺、横峰寺などがあり、山そのものに深い畏敬の念を抱かれていたために森林は無闇な開発を逃れ、生い茂る木々は「自然のダム」としての機能を維持してきました。これにより、西条市内の広範囲にわたり地下水の自噴井「うちぬき」がみられ、その数は約3,000本といわれ、1日の自噴量は約13万㎥にも及んでいます。1985年(昭和60年)には環境庁より「名水百選」に選定され、水質の良さは折り紙付きです。
創業者の武田近平氏は仲買業と萬屋(よろずや)を兼務する傍ら、自らが嗜むお酒は自らが造ろうと思い立ち、1904年(明治37年)現在の地(愛媛県西条市三芳)に創業し、1952年(昭和27年)に武田酒造株式会社に改名し、現在に至ります。
武田昇三 杜氏 は、1977年生まれで、2002年3月に広島工業大学環境デザイン学科を卒業後、建設会社勤務を経て、実家である武田酒造株式会社に就職しました。
それまで、同社の杜氏を長年勤めていたのは、四国最多の歴史と伝統を誇る西宇和郡伊方杜氏の中にあっても屈指の銘杜氏といわれた上田益男 杜氏でした。そのもとで、8年間修業し、2013年から杜氏として酒造りを始めます。
「媛一会」は、武田酒造が2010年に販売開始し、武田杜氏自身が中心となり立ち上げた新銘柄で“愛媛”と“一期一会”に由来します。少しずつ丁寧に醸し、小槽搾りにこだわり、雑味の無いまろやかな味に仕上げたそうです。また、大学時代の知識を生かしラベルデザインも自身で手掛け、ラベルの「●」は、円をあらわし「円=ご縁」を意味しています。
武田杜氏は、お酒造りについて自社のHPで以下のように語っています。「酒造業界も機械化・デジタル化が進んでいますが、自分の肌で感じるものが真実だと考え、手造りにこだわりながら酒造りに精進しています。味や香りはもちろん、麹の見た目や感触、米が発酵するときに出る泡が弾ける音などを五感でフルに感じながら真実を見極め、いつか自分にしか造れない“一本筋の通った日本酒”を造ることが目標です」
「円=ご縁」と「一会」のデザインのとっても素敵なピンバッジ、私たちの最後の応援にふさわしいものとなりました。
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