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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
「あれま、このジィさん、ボケが治りよりましたで。
打ち所が悪かったんじゃのう。ワシらは、船に乗って、
ぱたらのお浄土参りに行くんじゃが」
おカネ婆さんが相手をしています。
「ぽたらって! 何でこの儂がっ??」
喜助さんも、ぽたらの名前ぐらいは、ご存じのようです。
「お前さまは、ボケておられたのたのじゃ」
「儂はボケてなどおらん」
「ボケておったから、この船に乗せられたのじゃ」
喜助ジィさんは、よろけた足取りで上に上がってゆきました。
しばらくして、帰ってきてから不機嫌そうな顔をして、
ブツブツとつぶやいております。
{バカ息子めが、こんなもんに乗せよって。
あれほど働いてきたのに、このザマか。
バァさんも、バァさんじゃ。いったいどうなっとるんじゃ。
邪魔になれば捨てられるのか。
何が、ぽたらじゃ。ご浄土じゃ。そんなもんあるかい。
儂ゃ、まだまだしたいことがいっぱいあるんじゃ。
温泉にいって、うまいもん食べて・・・
それなのに・・・}
ボケの次は、ボヤキですか。いくらでもお気の済むまで、
ボヤキなさい。聞いてあげますよ、喜助ジィさん。
でも、あなたの伴侶は、半年前に亡くなったんですよ。
「美代ちゃん、白坊、お願い」
おカネ婆さんが、声をかけると、二人の仕事が始まります。
隅においてある手桶を白坊が取ってきて、
美代ちゃんに渡すのです。
「臭いのう。バァさん動けんのかい」
「このクソじじぃ。そう手前勝手なことばかり言うでねえ。
ついさっきまで、ボケてたくせに。大きい口たたくな」
おカネ婆さんは、ついに頭に来たようです。
そのおカネ婆さんの声につられて喜助ジィさんが、
まじまじと見つめ始めました。
「おカネさん?」
「えっ?」
「お前さんは、おカネさんではないのか?」
「そうだけど・・・」
「儂じゃ、喜助じゃ。川南村の喜助じゃ!」
「・・・あっ!
ああーっ!!!
はずかしいーっ」
つづく
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