絵じゃないかおじさん

言いたい放題、自由きまま、気楽など・・・
ピカ輪世代です。
(傘;傘;)←かさかさ、しわしわ、よれよれまーくです。

仮想はてな・ストーリィ  ぽたら送り 15/後16

2015-02-24 07:44:36 | 仮想はてな物語 


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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
                   




「あれま、このジィさん、ボケが治りよりましたで。
 打ち所が悪かったんじゃのう。ワシらは、船に乗って、
 ぱたらのお浄土参りに行くんじゃが」

おカネ婆さんが相手をしています。
「ぽたらって! 何でこの儂がっ??」

喜助さんも、ぽたらの名前ぐらいは、ご存じのようです。

「お前さまは、ボケておられたのたのじゃ」
「儂はボケてなどおらん」

「ボケておったから、この船に乗せられたのじゃ」


喜助ジィさんは、よろけた足取りで上に上がってゆきました。
しばらくして、帰ってきてから不機嫌そうな顔をして、
ブツブツとつぶやいております。



{バカ息子めが、こんなもんに乗せよって。
 あれほど働いてきたのに、このザマか。
 バァさんも、バァさんじゃ。いったいどうなっとるんじゃ。
 邪魔になれば捨てられるのか。
 何が、ぽたらじゃ。ご浄土じゃ。そんなもんあるかい。
 儂ゃ、まだまだしたいことがいっぱいあるんじゃ。
 温泉にいって、うまいもん食べて・・・
 それなのに・・・}


ボケの次は、ボヤキですか。いくらでもお気の済むまで、
ボヤキなさい。聞いてあげますよ、喜助ジィさん。
でも、あなたの伴侶は、半年前に亡くなったんですよ。

「美代ちゃん、白坊、お願い」

おカネ婆さんが、声をかけると、二人の仕事が始まります。
隅においてある手桶を白坊が取ってきて、
美代ちゃんに渡すのです。

「臭いのう。バァさん動けんのかい」
「このクソじじぃ。そう手前勝手なことばかり言うでねえ。
 ついさっきまで、ボケてたくせに。大きい口たたくな」


おカネ婆さんは、ついに頭に来たようです。
そのおカネ婆さんの声につられて喜助ジィさんが、
まじまじと見つめ始めました。

「おカネさん?」
「えっ?」


「お前さんは、おカネさんではないのか?」
「そうだけど・・・」



「儂じゃ、喜助じゃ。川南村の喜助じゃ!」
「・・・あっ!
 ああーっ!!!
 はずかしいーっ」

     
                            つづく





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