植物のふしぎ

植物をはじめ、生物のふしぎな生態をレポートします。
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鼻高で横顔素敵なナスがとれちゃいました!

2024年08月11日 | 家庭菜園

じゃじゃ〜ん。イケメンなナスです!どうぞよろしく。これはかなりの汗だくだぁ。暑い日だったので霧吹きで汗の演出作戦(^^;;・・・。

鼻の穴はあるかなぁ?・・・もちろん無いですね。白矢印については下記で解説。


これは舌出し果と呼ばれるもので栽培現場ではよく見られる奇形果の一つです。このナスは「あのみのり」という品種で元々奇形果ができにくいということなんですけれど。。

なぜこんな実ができるのでしょうか。以下に説明していきたいと思います。

この実を縦切りにしたところ、「鼻」の付け根から上部の部分に種子(白矢印)が見られました。「鼻」には正常部分とは別に種子や胎座などの構造が付随することから、単に表皮部分が盛り上がってできたのではなくて、正常とは別の実がくっついているらしいことがわかりました。

さらに理解を深めるために花の構造から・・自分で絵を描いたよ。

ナス科は子房上位の花です。これは子房が花被基部よりも柱頭方向にあるという意味。花粉は虫に運ばれる他、下向きに咲くのでこぼれ落ちた花粉が自家受粉し実が成長していきます。正常に発育すれば絵のように子房の中に種子が整然と収まるはずです。しかし、3枚前の「鼻の穴チェック」の写真に印した白矢印のように、本来一つである花柱痕のほかに「鼻」の先端にも小さいながら花柱痕が見られました。なので、花の時期から一つの子房に花柱が2本あるなどの異常がみられたはずです。

そして正常果の輪切りの構造について

ナスは、果心を中心に複数の心皮が合着して実を形作る中軸胎座で、この写真の実ではおそらく8個の心皮が集まっています。舌出し果では何らかの原因でそれらの集まりから心皮の一つが外れてしまったと考えられます。

心皮の数について、5角形の実で有名なオクラでは5と一定です。一方、ナス科の栽培品種ではそれが曖昧な部分もあって分化時に心皮を作り過ぎるとこのような現象が起きてしまうということ。そのため、元々舌出し果を多く生じる品種もあるようです。

品種以外に舌出し果を生じる原因とは何でしょうか。栽培ナビ系の本には、多肥、多灌水と低温で生じる とあります。花芽が栄養過剰になると分化段階で心皮が多数生じ、また低温であるとそれを正常に納める生理にも影響し過剰な心皮が弾き出されてしまうと考えられます。多灌水というのは肥料を急激に吸収させるために必要な条件ということです。

今回の場合、これらの条件はどうだったのかというと・・・

接木苗を購入したのが4月25日、鉢上げを26日、定食が5月12日。第1果を小さめで収穫したのが6月16日。問題の舌出し果は第3〜4果(記録逃し)で6月22日に収穫しました。おそらくですが、花芽分化の時期は鉢上げ後のゴールデンウィーク頃かと・・

(参考:日本種苗協会の資料:「播種後 30 日前後、本葉 3 枚展開時に花芽分化し、本葉 7 ~ 9 枚で第 1 花をつけ、播種後約 60 ~ 65 日で第 1 花が開花する」サカタのタネの資料:「開花後15~20日前後で収穫できます」)

気象庁データで5月2日の長野は、最低温度が7.4℃でした。鉢上げに使用した培養土は肥料はたっぷりで水の量も十分。舌出し果ができやすい条件が揃ったということなのでしょう。

コメント
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