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ウィーン・フランチスカーナ修道院オルガン・プレゼンテーション

2023年09月23日 | pocknのコンサート感想録2023
9月8日(金)ORGELPRÄSENTATIONEN(オルガン・レクチャーコンサート)

フランチスカーナ修道院(ウィーン)

【曲目】
1. フレスコバルディ/トッカータ
2.フローベルガー/カンツォーナ第2番
3. ブクステフーデ/プレリュード ト短調
4.フローベルガー/トッカータ
5.バッハ/マニフィカトによるフーガ BWV733

Org & レクチャー:ヨハネス・エーベンバウアー

1642年にヨハン・ヴェッケルにより製造された、ウィーンで最古というオルガン(Wöckherl-Orgel)がある一区のフランツィスカーナ修道院で、オルガンプレゼンテーションという催しが毎週金曜日にあるというので、日本からウィーンに到着した当日に修道院を訪れた。ほの暗い小さな空間に、見るからに歴史的なオルガンが据えられ、プレゼンテーションをやってくれるエーベンバウアー氏がオルガンを弾いていた。優しく温かな響きにすでに引き込まれた。




エーベンバウアー氏により、修道院について、このオルガンの歴史や修復の過程などについて説明があったあと(修復ではオリジナルのパイプの90%がそのまま使われたそう)、試奏と楽曲の演奏を交えながらプレゼンが進んだ。同じ音を、異なる音色のパイプで重ねて行くと響きがどう変化していくかを聴かせてくれたり、様々なレジストレーションを紹介してくれたりして、その特徴がよくわかる曲を演奏してくれた。懐の深い優しい響きや、澄んだよく通る音色、華やかで神々しさを感じる響きなど、それぞれの曲に合った響きが選ばれるなか、どの演奏でもどこか奥ゆかしい古風な雅やかさが感じられ、郷愁を誘うところに共通点を感じた。堂内の内壁には木材が使われているため残響も程よく、温かさをもたらす。

ブクステフーデを演奏しているとき、何やら妙な響きが聞こえた。これについてエーベンバウアー氏は、このオルガンは平均律ではなくミーントーンで調律されているために起こる現象だと説明してくれ、様々なハーモニーを鳴らして中にはハウリング現象を起こしたり、いくつかの調の音階を弾いてくれたりして、調によって2度の音程に微妙な差があることを示してくれた。最後にバッハを演奏。このオルガンでは音域や調律の問題から演奏できるバッハの曲は限られているとのこと。初めて聴くマニフィカトフーガは、厳かに静かに心に染み入った。この曲では送風の仕事(人力)を聴衆の一人に頼んで、それまでそれをやっていた女性は譜めくりに回った。

最後に「質問がある方、オルガンを弾いてみたいという方はいますか。」願ってもない話。パイプオルガンを弾いたことは一度もなく長年の夢だった。今回はオルガンの特別な催しなので、もしかしたら触れるかもと思い、バッハの短いコラールの楽譜を持ってきたが、自分から頼むのは気が引けていたところだったので、おかげで晴れてオルガンを演奏させてもらう栄誉に預かった。ドキドキで演奏台にのぼり譜面を置いた。譜面にある2曲のうちのひとつは変イ長調で、この楽器には向かないということで、イ短調のマタイの受難コラールを弾くことになった。曲に合ったストップを選んでもらって弾きはじめた。タッチは軽くてとても敏感に音となって帰ってくる。柔らかく温かな響きに包まれた。ドキドキだったのがこの響きに包まれていると気持ちが落ち着き、いつまでも弾いていたい幸せ気分に浸った。聴衆の皆さんから拍手。ヘタクソでこめんなさい。。

千載一遇の機会を得ることもできた忘れることのできないオルガンレクチャーとなった。帰りにエーベンバウアーさんがこのオルガンで演奏したCDを買った。


オルガンの裏にあるふいご装置。この女性がロープにつかまって体を使って送風作業を行っていた。


(順次更新予定)ウィーン&ベルリン音楽の旅(2023)

ウィーンとベルリンで訪れた演奏会&オペラ(2009)



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