9月8日(金)ヤクブ・フルシャ指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ウィーン・コンツェルトハウス
【曲目】
1.ヤナーチェク/C.マッケラス編/歌劇「利口な女狐の物語」組曲
2.エネスク/管弦楽のための組曲第1番ハ長調 Op.9
3.ラフマニノフ/交響的舞曲 Op.45
7年振りに聴くウィーン・フィル。ここコンツェルトハウスで聴くのは14年ぶりとなるが、重厚で煌びやかな会場という印象は変わらない。ウィーンの町中では以前ほど見かけなかった日本人がここには沢山来ていて、最上階(Galerie席)の僕の周りにも日本人が大勢いた。指揮はヤクブ・フルシャ。今年の2月にN響定期で聴いた指揮者だ。
最初はヤナーチェク。弦が哀愁を漂わせてまとわりつくように忍び寄ってくる。しっとりとした潤いと淡い陰影を湛えて、そこから柔らかな光が仄かに発せられる。コンマスと次席のヴァイオリンデュオの歌心溢れるファンタジーが、更なる彩りを添える。管楽器もしっとりと温かくアンサンブルを包み、哀惜や焦燥、得体の知れない不安をデリケートに表現した演奏で、早々とウィーン・フィルの魅力を堪能した。
続いてエネスクの組曲。冒頭から延々と続く弦のユニゾンにいきなり引き込まれた。まるで管が入っているようなふくよかで豊かな響きに、何度も管楽器が演奏していないことを確かめてしまった。しなやかで雄弁で孤独な、息の長いモノローグが、ティンパニの連打と共に終わりを迎えた。その後は管楽器も加わり、ウィーン・フィルサウンドを存分に味わわせてくれた。このウィーン・フィルの独特の響きを何と表現すればいいだろう、色と香りと光の奥ゆかしさ、響きそのものが芸術だ。そしてそれぞれの楽器も独特の味わいを醸し出す。哀愁漂うオーボエ、柔らかくふくよかなホルン、フルートの音色も澄んだ音色を浮かばせながら、全体に優しく溶け込む。デリケートな詩情のなかで幸せ気分に浸った。
休憩後は更に大編成の布陣でラフマニノフの交響的舞曲。ほどよい厚みの響きと節度あるアプローチで始まった第1楽章。絶品は第2楽章のワルツ。ウィーン・フィル独特のリズム感が、ロシアの作曲家の作品にウィーンの赴きをもたらしたのは指揮のフルシャの意図というよりは、ウィーン・フィルに染み込んだワルツ魂が滲み出たのだと思う。単に一拍目と二拍目が詰まっているというのではなく、自然に涌き出たような間合い、歌心、奥行きで、全体からノスタルジックな詩情が滲み出たホレボレする演奏。コンマスのソロも、前半のエネスクと同様にとろけるような歌心を聴かせた。
ただ、この曲は高いテンションでガンガン盛り上がるバワーも聴きどころだと思うのだが、フルシャはあくまでもデリケートな演奏スタイルに重きを置いているようで、パワーという点ではもう一歩の盛り上がりが欲しかった。けれど会場は最後の打楽器の余韻も収まらないうちから大喝采と大歓声で盛り上がった。ウィーン・フィルならではの魅力を味わうという意味では大満足の演奏会だった。
フルシャ 指揮 NHK交響楽団(2023.2.15 サントリーホール)
(順次更新予定)ウィーン&ベルリン音楽の旅(2023)
ウィーンとベルリンで訪れた演奏会&オペラ(2009)
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7年振りに聴くウィーン・フィル。ここコンツェルトハウスで聴くのは14年ぶりとなるが、重厚で煌びやかな会場という印象は変わらない。ウィーンの町中では以前ほど見かけなかった日本人がここには沢山来ていて、最上階(Galerie席)の僕の周りにも日本人が大勢いた。指揮はヤクブ・フルシャ。今年の2月にN響定期で聴いた指揮者だ。
最初はヤナーチェク。弦が哀愁を漂わせてまとわりつくように忍び寄ってくる。しっとりとした潤いと淡い陰影を湛えて、そこから柔らかな光が仄かに発せられる。コンマスと次席のヴァイオリンデュオの歌心溢れるファンタジーが、更なる彩りを添える。管楽器もしっとりと温かくアンサンブルを包み、哀惜や焦燥、得体の知れない不安をデリケートに表現した演奏で、早々とウィーン・フィルの魅力を堪能した。
続いてエネスクの組曲。冒頭から延々と続く弦のユニゾンにいきなり引き込まれた。まるで管が入っているようなふくよかで豊かな響きに、何度も管楽器が演奏していないことを確かめてしまった。しなやかで雄弁で孤独な、息の長いモノローグが、ティンパニの連打と共に終わりを迎えた。その後は管楽器も加わり、ウィーン・フィルサウンドを存分に味わわせてくれた。このウィーン・フィルの独特の響きを何と表現すればいいだろう、色と香りと光の奥ゆかしさ、響きそのものが芸術だ。そしてそれぞれの楽器も独特の味わいを醸し出す。哀愁漂うオーボエ、柔らかくふくよかなホルン、フルートの音色も澄んだ音色を浮かばせながら、全体に優しく溶け込む。デリケートな詩情のなかで幸せ気分に浸った。
休憩後は更に大編成の布陣でラフマニノフの交響的舞曲。ほどよい厚みの響きと節度あるアプローチで始まった第1楽章。絶品は第2楽章のワルツ。ウィーン・フィル独特のリズム感が、ロシアの作曲家の作品にウィーンの赴きをもたらしたのは指揮のフルシャの意図というよりは、ウィーン・フィルに染み込んだワルツ魂が滲み出たのだと思う。単に一拍目と二拍目が詰まっているというのではなく、自然に涌き出たような間合い、歌心、奥行きで、全体からノスタルジックな詩情が滲み出たホレボレする演奏。コンマスのソロも、前半のエネスクと同様にとろけるような歌心を聴かせた。
ただ、この曲は高いテンションでガンガン盛り上がるバワーも聴きどころだと思うのだが、フルシャはあくまでもデリケートな演奏スタイルに重きを置いているようで、パワーという点ではもう一歩の盛り上がりが欲しかった。けれど会場は最後の打楽器の余韻も収まらないうちから大喝采と大歓声で盛り上がった。ウィーン・フィルならではの魅力を味わうという意味では大満足の演奏会だった。
フルシャ 指揮 NHK交響楽団(2023.2.15 サントリーホール)
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