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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

映画「福田村事件」~何も変わらない日本~

2024年09月01日 | pocknの気まぐれダイアリー
2023年 9月29日(金) 一時

あまりにむごく、あまりに悲しい映画。そしてあまりに重いメッセージが詰まった映画だった。観終わってからしばらく、身動きできなかった。これは田舎の小さな村の特異な事件でもなければ、あの時代だから起きてしまった事件でもない。あのおぞましい事件を引き起こした遺伝子は脈々と受け継がれ、私たちのなかにも生きていると思うと、恐ろしいというか、汚らわしささえ感じた。

あのような事件を繰り返さないためにやらなければならないことは何か。それは、事件を徹底的に検証し、反省し、後世に語り継ぐこと。けれど、日本はその大切な使命をないがしろにし続け、今年は100年という節目の年であるにも関わらず、日本という社会はあまりにこのことに無関心だ。それどころか、朝鮮人虐殺の事実を闇に葬り去ろうとしている人達が、政府や自治体のトップ(小池百合子東京都知事)に居座り続け、それを私たちは許している。これでは同じことが繰り返されても何の不思議もないではないか。

同じような恐ろしい殺戮が、戦前・戦中のドイツでは更に大規模に行われた。また戦後の冷戦時代には、壁を越えようとする東ドイツの多くの市民が、国家の命令で同じドイツ人によって殺害された。日本人に限らず、人間は状況によって狂気に陥るということだ。けれど、日本とドイツには決定的な違いがある。ドイツは負の歴史を直視し、責任を負って償い、後世に伝え、世界に向けて発信している。強制収容所跡や資料館などの大規模な施設が随所にあり無料で公開されているだけでなく、もっと身近なところでも情報を発信し続けている。例えば、ベルリンのバイリッシャープラッツの周囲には、路上の至るところにプレートが掲げられ、ユダヤ人があの時代にどんな扱いを受けていたかが記されていた。


ベルリンのバイリッシャープラッツ附近にはあちこちにこうしたボードが掲げられていた


「ユダヤ人の混雑時の公共交通機関の利用を禁ずる。
立っている乗客がいない場合のみ座席に座ることが許される。(1941.9.18)」


ボードの片面にはイラストが描かれている。


「ユダヤ人は夜の8時以降(夏は9時以降)自宅を出てはならない。(1939.9.1)」

映画のなかに「日本人は朝鮮人をずっとイジメてきた」というセリフが出てくる。だから仕返しが怖いという文脈だが、僕は日本人が朝鮮人にどんな扱いをしていたかを知らない。これは、日本が教育で敢えて触れなかったからに他ならない。日本が自らの負の歴史に向き合おうとしなければ、あのむごい歴史を繰り返すことになってしまう。現に、法を犯す殺人ではなく、形を変えてもっと陰湿なやり方で、多くの人の心が殺されている。集団心理、同調圧力の恐ろしさもあの時代と何も変わっていないことは、コロナ騒動が明らかにした。そして、マスコミがそこに加担する構図も同じだ。

朝鮮人虐殺という事件から100年を機に、政府も重い腰を上げるかも知れない、マスコミが大々的に追求し、政府に対応を求めるかも知れないという淡い期待は消え、日本の将来には益々闇しか見えなくなった。また恐ろしいことが起こるという思いも強まった。その中で、このような映画が生まれたことはせめてもの光だ。そして、この映画が大きな反響を呼び、3週間で10万人越えの動員となって上映館を増やしているということに一縷の希望を繋げたい。映画では、朝鮮人だけでなく、被差別部落民の問題にも焦点を当て、差別ということを大きく取り扱っている。差別のない世の中なんてあり得ないが、差別に声を上げて立ち向かう人が一人でも増えることが大切だと思う。この映画を一人でも多くの人に観てもらいたい。そして、どんな小さなことでも構わないので、行動を起こす人が増えることを願っている。

映画「福田村事件」公式サイト
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コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~

やめよう!エスカレーターの片側空け


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