facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ひろこのボローニャ便り Vol.6 ~齋藤ひろこ(S) & 田中梢(Pf)~

2024年09月17日 | pocknのコンサート感想録2024
7月23日(日)ひろこのボローニャ便り Vol.5
サロン ドゥ ミューズ(下北沢)

【曲目】
第1部「サロン音楽によせて」
♪ シューベルト/千人の天使の合唱
♪ ロッシーニ/"La serata musicale"~非難、別れ、誘い
♪ ロッシーニ/無 人知れず嘆こう
♪ リスト/神秘の夢
♪ レハール/あなたが私を虜にした

第2部「プッチーニ没後100年によせて」
♪ そして小鳥は(プッチーニの子守歌)
♪ 「ジャンニ・スキッキ」~私のお父さん
♪ 電気ショック(ピアノソロ)
♪ 「蝶々夫人」~第2幕抜粋(語り入り)
【アンコール】
♪ 命の歌
♪ 久石譲/スタンド・アローン
♪ Non ti scordar di me

【出演】
S:齋藤ひろこ/Pf:田中梢/語り:髙橋さぎり/お話し:井内美香

旧前田家本邸洋館




長年に渡りボローニャで音楽活動を精力的に続けている歌手の齋藤ひろこさんの、3年連続となる夏の一時帰国リサイタル、今回は重要文化財に指定されている歴史的建造物の旧前田家本邸洋館という素敵な場所で行われた。洋館は自由に見学が出来て、開演前に豪華な館内を巡ってリサイタルへの気分が高まった。

「サロン音楽によせて」と題された第1部では、この会場の雰囲気に相応しいロッシーニを中心とした上品で親しみやすい小品が並んだ。中でも注目は、ひろこさんがボローニャで発掘したというロッシーニの「無 人知れず嘆こう」。これは日本初演とのこと。とても短い曲だったが、穏やかでしっとりした情感を湛えた珠玉の名品と云っていい歌だった。シューベルトの「千人の天使の合唱」は、有名なシューベルトの子守歌のイタリア語版で新鮮に感じた。リストの「神秘の夢」は「愛の夢第3番」の歌曲用アレンジで、歌とともに田中さんのピアノも素敵だった。

後半は今年没後100年を迎えるプッチーニの特集。おなじみの「私のお父さん」は、アリアだけ聴くと健気で純粋な歌に聴こえるが、井内さんのお話しで下心が潜んだ歌だと知り、そう思って聴くとひろこさんの歌がとてもウィットに富んで聴こえてきた。田中さんのピアノソロで「電気ショック」という珍しい曲を聴けたのも貴重だった。

第2部の白眉は「蝶々夫人」第2幕の抜粋。井内さんの蝶々さんへの同情溢れるお話しでこの悲しいストーリーへの共感が高まった後、朗読と歌が続いた。ひろこさんの歌は艶やかで濃密な声で、魂がこもっている。蝶々さんの思いを熱くひたむきに届けてくれた。髙橋さんの朗読は落ち着いた口調で表現力が豊か。蝶々さんの気持ちや情景へのイメージを更に膨らませてくれた。オペラの一部を上演する際にこうした語りが入ると、聴いていて気持ちが入りやすくなる。田中さんのピアノも熱くてドラマチックで、悲しい結末の前の心高ぶる喜びのクライマックスへと3人が導いてくれた。

終演後は隣接する和館も見学してコンサートの余韻を楽しんだ。

旧前田家本邸和館


ひろこのボローニャ便り Vol.5~ 2023.7.23 サロン ドゥ ミューズ
ドニゼッティ《アンナ・ボレーナ》の世界 ~齋藤ひろこリサイタル~ 2022.7.23 Studio Waves 西麻布
きらめきのカンパネラ ~田中梢 ピアノリサイタル~ 2019.8.31 王子ホール

pocknのコンサート感想録について
拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
コロナ報道への意見に対する新聞社の残念な対応
やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やめよう!エスカレーターの... | トップ |   
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2024」カテゴリの最新記事