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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

ミンコフスキ/ レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル

2018年03月02日 | pocknのコンサート感想録2018
2月27日(火)マルク・ミンコフスキ指揮 レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴル

東京オペラシティコンサートホールタケミツメモリアル

【曲目】
1.メンデルスゾーン/序曲「フィンガルの洞窟」Op.26
2. メンデルスゾーン/交響曲第4番イ長調 Op.90「イタリア」
3.メンデルスゾーン/交響曲第3番イ短調 Op.56「スコットランド」

ミンコフスキ指揮レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルは、近年よく話題になっているし、センセーショナル的な評判もよく耳にしているので、来日公演で大好きなメンデルスゾーンをやると知り、録音も含めて演奏を聴いたこともなかったが、すぐにチケットを購入した。

最初の「フィンガルの洞窟」、穏やかな曲調の導入部を、聴き慣れた演奏より起伏に富んだ訴えかけで迫ってくるか、それとも思いっきりテンポを上げて疾走するか、どんなエキサイティングな演奏をしてくれるかとワクワクして聴き入ったが、表立って奇抜なことは一切なく、印象的だったのは響きがとても澄んでいるということ。穏やかに凪いだ海は透明度抜群で、中を覗くと、海藻がゆらぎ、大小色とりどりの魚たちが泳いでいるのがくっきりと見える、そんな、静かで透明で、色彩豊かな世界が広がって行くのを感じた。これが、僕が感じたミンコフスキ/ レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの最大の特徴で、透明ななかに個性の異なる様々な歌や語りが聴こえてきた。

もっとアグレッシブで起伏の激しいメンデルスゾーンで圧倒してくるかと思ったが、「イタリア」も「スコットランド」も、アプローチ的には極めてオーソドックスで、ピリオドオーケストラの演奏でイメージするような激しさや奇抜さは皆無と言っていい。各パートの「歌」もとても優美で滑らか。弦は要所でしっかりヴィヴラートをかけて、豊かな表情の歌を聴かせていたし、管楽器ではとりわけクラリネットの音色と表情がふくよかで美しかった。

トゥッティで迫ってくる場面でも響きが濁ることはなく、異なる楽器による異なる動きが緻密にかみ合い、かっちりと明晰なアンサンブルを聴かせ、それを積み重ねて行く。このように、響きは常に明晰ではあるが、聴こえてきてほしいパートが必ずしも主役として聴こえてこないのが気になったり、音楽が盛り上がる聴かせどころで、もう一つギアアップしたパワーや推進力に結びつかないように感じたりして、聴いていてエキサイティングな要素に物足りなさを感じた。

ピリオドオーケストラだからと言っても、必ずしもアグレッシブを売りにしていない集団もあるということで、ミンコフスキ/ レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルは、僕が求めていたものとは違う路線を行く音楽集団ということなのかも知れない。そういうことなら、ラモーやクープランなどのフランス・バロックあたりを聴かせてくれていたら、もっと感銘は大きかったように思う。


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