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ピエタリ・インキネン指揮 日本フィルハーモニー交響楽団

2022年10月26日 | pocknのコンサート感想録2022
10月21日(金)ピエタリ・インキネン指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
第744回東京定期演奏会
サントリーホール


【曲目】
1.ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調 Op.93
2.ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調 Op.92

これまでに聴いたインキネン指揮の日フィルは、全てシベリウスがメインに置かれていたが、今回はベートーヴェンのシンフォニーが2つというプログラム。シベリウスでは毎回素晴らしい演奏を聴かせてくれ、信頼関係も篤い首席指揮者のインキネンと日フィルがベートーヴェンでどんな演奏をするか、期待して出かけた。

インキネンが指揮台に立ち、腕が柔らかく上がった。まるで空気を優しく包み込むような動きに「これで本当にベト8が始まるの?」、と、音が出る前に一瞬戸惑った。けれど、ちゃんとベートーヴェンの第8交響曲が鳴った。それも、この曲のイメージとは随分異なるソフトで優美な演奏。まるで宮廷の広間で貴族たちを前に演奏するように上品。これがインキネンのベートーヴェンか。ただお行儀がいい演奏というのではなく、各パートが伸びやかに歌い、全体が生き生きと調和している。第3楽章メヌエットのトリオでの管楽器のアンサンブルなどは、ソロパートが生き生きと豊かな表情を湛え、親密な室内楽を奏でていた。

7番も同じスタンスで、各パートの動きや表情が豊か。オーボエのソロもいいし、第2楽章の弦バスなど、あまり目立たないパートも音楽のなかで果たしている役割がよく聴こえてくる。中間部のポリフォニーの緻密な動きも、各声部が自分の言葉をしゃべりつつ滑らかなアンサンブルを形成していた。

その一方で、8番にしても7番にしても、僕がこれらの曲に抱いている最もベートーヴェンらしいと感じる瞬発的なエネルギーの放出とか、押しつけがましいぐらいのアグレッシブな主張とか、覚醒させずにはおかない新鮮な刺激などでは物足りなさが付き纏った。7番の最後の追い込みでは流石に緊迫感を湛えて熱く畳みかけてきて、このアプローチを全体に施せば、刺激もあり優雅さも具えたベートーヴェンに出会えたのではないだろうかとも思った。

ところで、マスクや手指の消毒を求められることが全くなかったイタリアの公共施設を体験して、ほぼ1カ月ぶりにサントリーホールを訪れたが、感染対策のアナウンスで人との間隔を保てとか、会話を控えろといった無駄な呼びかけが少なくなり、時間差退場もなくなっていた。これから寒くなる季節を迎え、クロークも早く再開して欲しい。感染対策は心配な人が個人レベルで行えばいいというスタンスに戻してもらいたいものだ。

インキネン指揮 日フィル (2019.6.7 サントリーホール)
インキネン指揮 日フィルのシベリウスチクルスⅢ (2013.4.26 サントリーホール)
インキネン指揮 日フィルのシベリウスチクルスⅡ (2013.4.19 サントリーホール)
インキネン指揮 日フィルのシベリウスチクルスⅠ (2013.3.16 サントリーホール)
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