10月29日(月)ネヴィル・マリナー指揮 NHK交響楽団
サントリーホール N響ロマンティック・コンサート
【曲目】
1.ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」(「和声と創意の試み」op.8-1~4)
Vn:堀 正文
【アンコール】
ヴィヴァルディ/「四季」~「冬」の第2楽章
2.モーツァルト/交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
【アンコール】
モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調K.136~第2楽章
先週に続くマリナー指揮のN響の演奏会、今夜はサントリーホール主催の特別演奏会で、これはマリナーの良さを伝える素敵なコンサートになった。
「四季」ではマリナーの持ち味である豊かでつややかな音色で、瑞々しく、喜びに溢れた心地よい清々しさを伝えてくれた。小編成(ヴァイオリンは第3プルトまで)のアンサンブルが朗々と鳴り響く。
「四季」にはいくつかのヴァージョンがあるとのことだが(プログラム・ノート)、今回のもユニークな部分がたくさんあった。とりわけ、チェンバロが随所で通奏低音の枠を超えたようなソロイスティックな音形をちりばめていたこと、チェンバロに加えてポジティヴオルガンも入り、緩徐楽章でとてもポエティックな味付けをしていたこと、それにソロもトゥッティもフラジオレットを要所要所で使用して、それがたいへん効果的だったこと等々…
こうした音形や音色的な効果だけでなく、テンポやアクセントやアーティキュレーションなどがとても活き活きとして、またよく歌い、意外性もあり、とても新鮮。もう大昔、アーノンクールの衝撃的な「四季」を聴いた時に似た新鮮な驚きを、モダンの演奏から味わうことができた。
これらの「効果」は、しかし決してわざとらしくならず、自然な流れのなかで現れ、音楽が息づき、歌っている。「四季」というのはいろいろな試みや可能性を受け入れる許容力のある音楽なんだな、と思ったと同時に、それを実にうまく使って新鮮な驚きを与えてくれたマリナーに大いに感心した。
そして、ソロを弾いた堀さんのヴァイオリンはこの素敵な演奏の最大の引き立て役。柔らかな語り口が持ち味の堀さんだが、ここでは艶やかな明るい音色も十分に聴かせ、滑らかなタッチの「歌う」ヴァイオリンで魅了した。マロさんのヴァイオリンや藤森さんのチェロとの「デュオ」も素敵だ。
演奏後、楽員が「自分達の仲間」からのソリスト、堀さんに温かな拍手を送り、それに嬉しそうに応える堀さんの表情が何ともよかった。
後半の「ジュピター」も良かった。先週のブラームスのようなビンビンに鳴らす演奏ではなく、エレガントで温かなモーツァルト。音色はやはりとても磨かれて明るく、陽性の演奏。その明るさには人肌の温かさが通っていて、中のほうまでぬくもりを伝える。
木管と金管のアンサンブルがたいへん柔らかく、演奏全体を中から温かめているような「奥ゆかしさ」がある。第3楽章などトランペットがもっとガンガン前に出てくる演奏もあるが、マリナーはこれを全体の響きの中に溶け込ませる。動きを実感できる速めなテンポもいい。第4楽章の終盤のドッペル・フーガではテンポをぐっと落としてじっくりと「熱く」聴かせてくれて、心地よく火照っていた気持ちが燃え上がった。
N響の演奏会でアンコールが聴けるのも嬉しいが、そのアンコールのまた素晴らしかったこと!何と表情豊かで、喜びに溢れ、それに音色の美しいこと!ああ、これも全曲聴けたらなぁ、とつくづく思った。次の客演ではモーツァルト・プロをやって欲しいな。
サントリーホール N響ロマンティック・コンサート
【曲目】
1.ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲集「四季」(「和声と創意の試み」op.8-1~4)
Vn:堀 正文
【アンコール】
ヴィヴァルディ/「四季」~「冬」の第2楽章
2.モーツァルト/交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
【アンコール】
モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調K.136~第2楽章
先週に続くマリナー指揮のN響の演奏会、今夜はサントリーホール主催の特別演奏会で、これはマリナーの良さを伝える素敵なコンサートになった。
「四季」ではマリナーの持ち味である豊かでつややかな音色で、瑞々しく、喜びに溢れた心地よい清々しさを伝えてくれた。小編成(ヴァイオリンは第3プルトまで)のアンサンブルが朗々と鳴り響く。
「四季」にはいくつかのヴァージョンがあるとのことだが(プログラム・ノート)、今回のもユニークな部分がたくさんあった。とりわけ、チェンバロが随所で通奏低音の枠を超えたようなソロイスティックな音形をちりばめていたこと、チェンバロに加えてポジティヴオルガンも入り、緩徐楽章でとてもポエティックな味付けをしていたこと、それにソロもトゥッティもフラジオレットを要所要所で使用して、それがたいへん効果的だったこと等々…
こうした音形や音色的な効果だけでなく、テンポやアクセントやアーティキュレーションなどがとても活き活きとして、またよく歌い、意外性もあり、とても新鮮。もう大昔、アーノンクールの衝撃的な「四季」を聴いた時に似た新鮮な驚きを、モダンの演奏から味わうことができた。
これらの「効果」は、しかし決してわざとらしくならず、自然な流れのなかで現れ、音楽が息づき、歌っている。「四季」というのはいろいろな試みや可能性を受け入れる許容力のある音楽なんだな、と思ったと同時に、それを実にうまく使って新鮮な驚きを与えてくれたマリナーに大いに感心した。
そして、ソロを弾いた堀さんのヴァイオリンはこの素敵な演奏の最大の引き立て役。柔らかな語り口が持ち味の堀さんだが、ここでは艶やかな明るい音色も十分に聴かせ、滑らかなタッチの「歌う」ヴァイオリンで魅了した。マロさんのヴァイオリンや藤森さんのチェロとの「デュオ」も素敵だ。
演奏後、楽員が「自分達の仲間」からのソリスト、堀さんに温かな拍手を送り、それに嬉しそうに応える堀さんの表情が何ともよかった。
後半の「ジュピター」も良かった。先週のブラームスのようなビンビンに鳴らす演奏ではなく、エレガントで温かなモーツァルト。音色はやはりとても磨かれて明るく、陽性の演奏。その明るさには人肌の温かさが通っていて、中のほうまでぬくもりを伝える。
木管と金管のアンサンブルがたいへん柔らかく、演奏全体を中から温かめているような「奥ゆかしさ」がある。第3楽章などトランペットがもっとガンガン前に出てくる演奏もあるが、マリナーはこれを全体の響きの中に溶け込ませる。動きを実感できる速めなテンポもいい。第4楽章の終盤のドッペル・フーガではテンポをぐっと落としてじっくりと「熱く」聴かせてくれて、心地よく火照っていた気持ちが燃え上がった。
N響の演奏会でアンコールが聴けるのも嬉しいが、そのアンコールのまた素晴らしかったこと!何と表情豊かで、喜びに溢れ、それに音色の美しいこと!ああ、これも全曲聴けたらなぁ、とつくづく思った。次の客演ではモーツァルト・プロをやって欲しいな。
コンサート結構かぶりますね(笑)
こういうプログラムになると、マリナーの真骨頂。
本当に気持ちいい演奏で、オケも気持ちよさそうでした。
N響はフレキシビリティの高いオケだと感じ入りました。
私も、アンコールがとても気に入りました。
連日、充実したコンサートに行かれてますね!
10月は少々演奏会に行き過ぎました。もう10月は「これ以上はコンサートは入れない」と思ったあとからも行きたいのがいろいろでてきてしまって困りました。
11月はまた通常程度になると思いますが、是非アフターコンサートご一緒したいですね!