6月18日(土)ラデク・バボラークの個展 

~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2022~
サントリーホール(小)ブルーローズ
【曲目】
1.バッハ/ジョリー 編/「神は堅き砦」
2.バッハ/サーストン 編/「御身が共にあるならば」
3.バッハ/ジョリー 編/「いざ来れ、異教徒の救い主よ」
4.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K. 304
5.シューマン/幻想小曲集 Op.73
(アンコール)
♪ グリエール/悲しきワルツ Op.35-7
♪ ♪ ♪
6.ドビュッシー/ホイト編/シャルル・ドルレアンの3つの歌
7.ベートーヴェン/六重奏曲 変ホ長調 Op.81b
8.フランセ/夜想曲と嬉遊曲
9.ブルックナー/ヘルツェル編/アンダンテ
(アンコール)
♪ フォーレ/パヴァーヌ Op.60
【演奏】
Hrn:ラデク・バボラーク、福川伸陽(6,7,8,9,e-2)、今井仁志(6,8,9,e-2)、石山直城(6,8,9,e-2)/Pf:菊池洋子(1~5,e-1,e-2)/アトリウム弦楽四重奏団(7,e-2)
サントリーホール主催で毎年6月に行われる室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」。去年は中止になってしまったが、今年は一部外来演奏家による公演を除いて予定通り始まった。5公演分を予約したうちの(このうち1公演は中止)今夜は初日。目玉のメシアンに武満も加わった魅力的なプログラム。
最初のピアノ曲は、武満が17歳の時の発掘ものとのこと。すでに武満らしい穏やかに香るハーモニーと永続性が感じられる一方で、武満が避けていた日本的なメロディーが聴こえた。小菅は温かな詩情でじんわりとこの曲を聴かせたあと、すでにスタンバっていた3人のプレイヤーが加わり、カトレーンⅡが始まった。これは、後半のメシアンの作品に触発された武満が、同じ楽器編成で書いた曲だ。
金川とクレックナーの織り成す弦のハーモニクスは、薄明のなかで光る琥珀が極薄の層で削り取られて浮遊するようなイメージ。そのなかで浮かび上がる歌も美しい… けれど、聴いていて集中力を持続させるのが難しく、これといった掴みどころは感じられず仕舞いだった。事前にもっと聴きこんでおいた方がよかったかも。
これに対し、後半のメシアンは明快なメッセージを持つ音楽で、聴き手の心をぐいぐいと掴んできた。この曲は、捕虜収容所という特異な環境のなかで生まれたことを抜きに聴くことはできない。今夜の演奏からは、メシアンが極限の捕虜生活(実際はどうであれ)のなかで研ぎ澄まされた感覚、高めた信仰心、強めた他者(演奏家たち)との絆から生まれた音楽であることを、様々なシーンから感ぜずにはいられなかった。緊迫感と集中力が演奏全体を貫いていた。
なかでも鮮烈だったのは、吉田のソロによる第3曲「鳥たちの深淵」。無の世界からピアノ(p)が何個並んでいるかと思う微弱音が生まれ、滑らかなグラデーションを辿りながら、最後は堰を切ったような怒濤の強音へと至る驚異的な表現力で、まさに深淵の世界を描き切ったと云える。これがどんなに名曲でも、このような演奏があってこそ真価がわかる。
終曲「イエスの不滅性への賛歌」での金川のヴァイオリンも強いインパクトで迫ってきた。第1曲では1本の絹の糸のようなデリケートな音と表情を聴かせたヴァイオリンが、ここではチェロを思わせる太くて包容力のある歌を聴かせた。それが徐々に高揚していく様子からは、神が昇天していくような神々しさや、とてつもないエネルギーが伝わってきた。金川は当初出演予定だったシトコヴェツキーの代役だが、以前シトコヴェツキーを聴いた印象があまり残っておらず、金川の演奏でこれを聴けたのは良かった。
ピアノパートはあまり目立たないが、小菅のピアノは弾力性と温もりのある人間的な存在感を示していた。クレックナーのチェロは悪くはなかったが、もう少しアグレッシブに迫ってきて欲しかった。日本人プレイヤーの存在感が光った。長い静寂のあと、盛大な拍手が続いた。
アトリウム弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル 2022.6.16 ブルーローズ
P.ヤルヴィ指揮 N響定期(Hrn:バボラーク) 2018.9.27 サントリーホール
チマチェンコと日本の名手たちによる室内楽(Hrn:福川伸陽/Pf:菊池洋子)2015.4.27 紀尾井ホール
菊池洋子ピアノリサイタル 2013.10.26 小金井市民交流センター
紀尾井シンフォニエッタ東京(Hrn:バボラーク)2006.9.22 紀尾井ホール
その感染対策、本気???
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~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2022~
サントリーホール(小)ブルーローズ
【曲目】
1.バッハ/ジョリー 編/「神は堅き砦」
2.バッハ/サーストン 編/「御身が共にあるならば」
3.バッハ/ジョリー 編/「いざ来れ、異教徒の救い主よ」
4.モーツァルト/ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K. 304
5.シューマン/幻想小曲集 Op.73
(アンコール)
♪ グリエール/悲しきワルツ Op.35-7
6.ドビュッシー/ホイト編/シャルル・ドルレアンの3つの歌
7.ベートーヴェン/六重奏曲 変ホ長調 Op.81b
8.フランセ/夜想曲と嬉遊曲
9.ブルックナー/ヘルツェル編/アンダンテ
(アンコール)
♪ フォーレ/パヴァーヌ Op.60
【演奏】
Hrn:ラデク・バボラーク、福川伸陽(6,7,8,9,e-2)、今井仁志(6,8,9,e-2)、石山直城(6,8,9,e-2)/Pf:菊池洋子(1~5,e-1,e-2)/アトリウム弦楽四重奏団(7,e-2)
サントリーホール主催で毎年6月に行われる室内楽の祭典「チェンバーミュージック・ガーデン」。去年は中止になってしまったが、今年は一部外来演奏家による公演を除いて予定通り始まった。5公演分を予約したうちの(このうち1公演は中止)今夜は初日。目玉のメシアンに武満も加わった魅力的なプログラム。
最初のピアノ曲は、武満が17歳の時の発掘ものとのこと。すでに武満らしい穏やかに香るハーモニーと永続性が感じられる一方で、武満が避けていた日本的なメロディーが聴こえた。小菅は温かな詩情でじんわりとこの曲を聴かせたあと、すでにスタンバっていた3人のプレイヤーが加わり、カトレーンⅡが始まった。これは、後半のメシアンの作品に触発された武満が、同じ楽器編成で書いた曲だ。
金川とクレックナーの織り成す弦のハーモニクスは、薄明のなかで光る琥珀が極薄の層で削り取られて浮遊するようなイメージ。そのなかで浮かび上がる歌も美しい… けれど、聴いていて集中力を持続させるのが難しく、これといった掴みどころは感じられず仕舞いだった。事前にもっと聴きこんでおいた方がよかったかも。
これに対し、後半のメシアンは明快なメッセージを持つ音楽で、聴き手の心をぐいぐいと掴んできた。この曲は、捕虜収容所という特異な環境のなかで生まれたことを抜きに聴くことはできない。今夜の演奏からは、メシアンが極限の捕虜生活(実際はどうであれ)のなかで研ぎ澄まされた感覚、高めた信仰心、強めた他者(演奏家たち)との絆から生まれた音楽であることを、様々なシーンから感ぜずにはいられなかった。緊迫感と集中力が演奏全体を貫いていた。
なかでも鮮烈だったのは、吉田のソロによる第3曲「鳥たちの深淵」。無の世界からピアノ(p)が何個並んでいるかと思う微弱音が生まれ、滑らかなグラデーションを辿りながら、最後は堰を切ったような怒濤の強音へと至る驚異的な表現力で、まさに深淵の世界を描き切ったと云える。これがどんなに名曲でも、このような演奏があってこそ真価がわかる。
終曲「イエスの不滅性への賛歌」での金川のヴァイオリンも強いインパクトで迫ってきた。第1曲では1本の絹の糸のようなデリケートな音と表情を聴かせたヴァイオリンが、ここではチェロを思わせる太くて包容力のある歌を聴かせた。それが徐々に高揚していく様子からは、神が昇天していくような神々しさや、とてつもないエネルギーが伝わってきた。金川は当初出演予定だったシトコヴェツキーの代役だが、以前シトコヴェツキーを聴いた印象があまり残っておらず、金川の演奏でこれを聴けたのは良かった。
ピアノパートはあまり目立たないが、小菅のピアノは弾力性と温もりのある人間的な存在感を示していた。クレックナーのチェロは悪くはなかったが、もう少しアグレッシブに迫ってきて欲しかった。日本人プレイヤーの存在感が光った。長い静寂のあと、盛大な拍手が続いた。
アトリウム弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル 2022.6.16 ブルーローズ
P.ヤルヴィ指揮 N響定期(Hrn:バボラーク) 2018.9.27 サントリーホール
チマチェンコと日本の名手たちによる室内楽(Hrn:福川伸陽/Pf:菊池洋子)2015.4.27 紀尾井ホール
菊池洋子ピアノリサイタル 2013.10.26 小金井市民交流センター
紀尾井シンフォニエッタ東京(Hrn:バボラーク)2006.9.22 紀尾井ホール
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